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東京見聞録  
2006年8月25日(金) 
 <出発、北京到着>


ノースウエスト航空で北京へ>

 昼過ぎに駒場の自宅を出発し、成田空港第一ターミナルに着いたのは午後3時。しかし、眠い。というのも、旅行前にできることは片付けておこうと思い、いろいろやっていたら昨晩徹夜になってしまったからです。しかもここ一週間腹具合も悪いし。旅行に行くには決して万全ではない体調で、北京に行くことになってしまいました。

 フライトは18時20分発のノースウエスト011便。格安航空券でも往復59000円(燃料費や空港使用料を合わせると70000円)と、そこそこいいお値段です。しかも英米系の航空機はテロで危ないと騒がれているときに、何が嬉しくてノースウエストに乗らなければならないのか。この3日前、オランダ発インド行きのノースウエスト機が、テロの疑いで緊急着陸したとかいうし、乗る前から不安が募ります。

 こんなことになったのは、格安航空券の性質が原因です。購入時、航空券は「航空会社未定」でした。僕はてっきり中国国際航空の便だとばかり思っていたので、それなら25日午前発、30日午後着で日程が有効に使えてちょうどいいわ、と思っていました。ところが蓋を開けてみると、25日夕方発、30日午前着のノースウエスト航空だったわけ。格安航空券は確かに値段が安いけど、こういうことがあるから恐い。だから格安なんだろうけど。(ちなみに正規の値段で成田—北京を往復すると、日本円で21万円もかかります。)

 しかし、時間帯よりもテロよりも、個人的にノースウエストが気にいらなかった最大の理由。それは機内のアルコールが有料だったことであります。他の航空会社では飲み放題のビールですら、一缶500円の有料。「結局そこかい!」と言われそうですが、飛行機が苦手な僕にとって、気持ちをやわらげてくれるアルコール類は必須のものなのです。それが有料なんて冗談じゃない。じゃああらかじめビールを買って飛行機に乗り込もうと思ったら、テロ未遂の影響でノースウエストの機内には液体飲料は全て持ち込み禁止とのこと。もうアルコール類に関しては完全なアウトだ、これは。

 そんな「万全でない体調・テロの可能性・日程・アルコール有料」の四重苦に陰鬱となりながら、成田空港で出国の手続きその他。空港は夏休み最後の週末を海外で過ごそうとする人でごった返していました。でも早めに手続きだけは終わらせてしまったので、大混雑には巻き込まれなかったようです。

 ノースウエストを始めとする英米系の航空会社は、テロ未遂の影響を受けて、警備がすごく厳重になっています。液体飲料を持ち込めないのを始めとして、薬も規制があるらしい。僕もスプレータイプの喘息発作薬を持ち込もうとしたら、処方箋がないからということでしばし中身の検査をされました。結局持ち込めることにはなったけど、手荷物持込に関してはかなりナイーブになっているみたいです。

 搭乗時間の1時間前に出発ロビーに着いてしまい、しばし待ちぼうけ。しかも使用機材到着の遅れとかで、出発は20分の遅延。おいこらノースウエスト!ということで時間ができたので、ロビーにあった軽食屋で海苔巻きとビール。「持ち込めないなら先に飲んでしまえ!」です。海苔巻きはしょぼい内容なのに400円と馬鹿高かったけど、空港価格なので仕方なし。


<ノースウエスト機を眺める>

 18時、搭乗開始。ここでも最後に持ち込み手荷物の中身をチェックされ、ようやく座席へ。北京行きのノースウエストの乗客は、欧米人:中国人:日本人=2:2:1という感じでした。欧米人多いんですねぇ。彼らは何が目的で日本から中国へ渡るのでしょうか?やっぱり観光かな??

 定刻から20分遅れの18時40分、いよいよ離陸・・・かと思ったら、全く動く気配がありません。何をしておるのだ!?と思ったところで機長からのアナウンス。「北京の天気が悪くて管制塔が着陸を制限しているから出発できない。出発は多分7時30分くらいになる」と。冗談じゃないよ、全く。結局飛行機内でずっと待機し、成田を離陸したのは定刻より1時間半も遅れた19時50分でした。狭いエコノミーの席の上に、隣に座った日本人男性が体格よかったから、窮屈でたまったもんじゃありませんでした。

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 無事成田を離陸し、安定飛行に入ったところで機内食。チキンカレーやサラダで、少なくとも大韓航空よりはおいしい。機内が暗かったし、例の右横の男性の圧迫感が半端じゃなかったので写真は撮れなかったけれども。。食事の後は、昨日も徹夜したことだし静かに寝ようか・・・と思ったけど、これが全く寝られません。気流の影響で飛行機の揺れが酷かったことや、右横の圧迫男の影響に加えて、左横に座っていた中国人女性がこれまたうるさい。彼女はヘッドホンをしてビデオを見ていたのですが、笑い声が半端じゃない。突如声をあげて笑うので、横にいるとびっくりします。飛行機の中では静かにしなさいよ!このお陰で全く眠れませんでした。右も左も塞がれた座席にアサインされるというのも、格安航空券の宿命ですね・・・。

 眠れなくなった僕は、上映されているアメリカ映画にも全く興味がなかったので、飛行機の航路や速度の画面を見て過ごすことにしました。英語と中国語と日本語のローテーションで流される現在の情報。当初の予定では18時20分成田発、21時15分(現地時間。日本では22時15分)北京着でした。しかし出発が1時間半の遅れたので、何とか遅れた時間を取り戻そうと飛行機はマックスの1200キロ超で運航し、予定到着時刻はめでたく21時30分に。これならまあ許せる。

 しかし、韓国のテジョンに差し掛かった頃、何故かエンジン音が小さくなると同時に右に大きく旋回を始めました。これは何事だ・・・?と思っていると、すかさず機長からのアナウンス。「北京の天気が悪くて着陸制限してるから、その辺でしばらくの間旋回しておけと言われました。到着は1時間くらい遅れる予定です。」

 ・・・もう疲れちゃったわ。結局飛行機はしばらくの間、韓国のテジョンとテグ辺りを何度もぐるぐるぐるぐる回っていました。ここまでくると何だかやるせません。右は圧迫してくるし、左はうるさいし。このような苦痛に耐え、小雨が降る北京首都国際空港に着いたのは現地時間で22時30分。飛行機が到着したとき、僕は一人心の中で拍手喝采をしてしまいました。よくここまで耐えたよ自分、と言う意味でね。しかしこれでようやく自由の身になれると思ったのも束の間、しかし入国手続きが長蛇の列で、ここで約40分。もっと窓口開けんかい!

 結局迎えに来てくれていたマルコフ教祖と落ち合えた時点で、23時を回っていました。日本時間なら日付変わってます。家を出てから12時間、ようやく北京に到着したのでした。徹夜明けで飛行機苦手男にとっては苦難の道のりだった。

<異文化の地、北京>

 初めての中国。そして韓国以外の初めての外国。飛行機到着時や入国手続き時は「中国らしさ」というものを感じることはありませんでした。空港は近代的で、規模を除けば成田や仁川と同じような雰囲気です。しかし、預けていた鞄を受け取り、晴れて自由の身になった時点から「中国らしさ」というものを立て続けに味わうことになります。

 まず、到着ロビーに出た瞬間に襲ってきたのは臭い。形容が難しいですが、むわーんとした人間の臭いと、それを何とか隠そうとする香水っぽい臭い。この二つの臭いの集合臭がします。人間の群れる臭いがするというのはそれもそのはずで、既に23時を過ぎているというのに、到着ロビーは到着を待つものすごい人であふれています。さすが世界一の人口を誇る中国の首都です。さらにマルコフによれば、中国人は2,3日風呂に入らないのは当たり前、という人が多いらしい。そりゃそういう臭いがするわけだ。気温の低い夜でよかったものの、これが日中のもっと人が多いときだったらと思ったらぞっとします。


<タクシーを待つ人々>

 空港からはタクシーに乗ってマルコフ宅へ移動。乗って驚いたことに、運転席を囲むように鉄製の防護壁のようなものが設置されています。これはタクシー強盗対処だそうで、確かにこれがあれば後ろから包丁を突きつけられるなんてことはなさそうです。なかなか考えたもんだ。しかしこれには欠点があって、運転手の後ろの席に座ると、何とも窮屈だということです。おまけに中国のタクシーは日本や韓国に比べると古い車が多いから、乗り心地もあまり快適ではありません。。

 北京空港は北京市街から約25キロの郊外にあります。空港からマルコフ宅がある五道口という地域までは、高速を飛ばして約40分。しかし、現在道路拡張工事中とかで、高速に乗るまでの道が大渋滞。おまけに北京では車の運転が本当に荒いので、事故すれすれの割り込みなんて当然で、滞在中何度も冷や冷やしました。東京が人間優先社会、ソウルが車優先社会だとしたら、北京は超車優先社会という表現がぴったり。驚いたのは「赤信号でも右折はできる」とかいう日本人にしたら訳分からん決まりがあることで、さらには横断歩道なんてあってないようなものだし、ここで生活するには相当な慣れが必要だわ。

 さて、タクシーでの移動に話を戻します。大渋滞だったことを見かねた運転手が、近道ということで別の道を通ってくれることになりました。ただその道というのが街灯はないのはおろか、広い道なのになんと車線が全く書いてないのです。その道をお構い無しに100キロ超で飛ばすタクシー。はっきり言ってこれは恐ろしいです。ボラれてるんじゃないかという恐怖と、事故が起こるんじゃないかという不安のダブルパンチ。実際向こうから車が走ってきて、相対速度200キロですれ違うときには、何度もびくびくしてしまいました。

 途中暑かったので(タクシーにはクーラーがない)窓を開けると、排気ガスを溜め込んだ空気が一気に入ってきました。中国の空気は相当酷いとは聞いていたけど、これは確かにすごいです。何を血迷ったか、思いっきり息を吸い込んだら案の定むせてしまったもの。喘息の人は北京では生活できないね。

 結局事故することボラれることもなく、無事に五道口に到着。値段は100元(日本円で約1500円。ちなみに現在のレートは1元=約15円)。渋滞のせいで五道口に着いたのは深夜1時前。

 五道口でタクシーを降りると、今度はまた違った臭いがします。排気ガス臭さもさることながら、今度は生ごみのすえた臭いがすごい。それもそのはずで、道を見ると至るところに生ごみが捨ててあったりします。水溜りからは得体の知れない泡が吹き出てたりして、そこが一番臭い。何かが発酵しているに違いない。

 とりあえず近くのコンビニで買出し。中国なのになぜか韓国系のコンビニで、中にある商品も半分以上がどこかで見たことのある韓国製品。長時間のフライトで腹も減っていたので、好きなカップラーメンとHiteビール(韓国製)を買ってマルコフ教祖宅へ。

 そしてようやくマルコフ邸に到着。東京・駒場の我が家から14時間、ついに目的地である北京・五道口のマルコフ宅へ辿り着きました。長かった・・・。まずは到着を祝してチンタオビールで乾杯。中国と言えばやっぱりチンタオビールよね。喉越しがよくて、疲れた体に染み渡ります。その後はさっきの韓国ラーメン。うまいうまい。


<チンタオビール>

<中国なのに韓国のカップ麺>

 ビールを飲みながら、お互いが今日はついてなかったという話なんかをしながら、今日一日を振り返りました。マンション最上階の6階に位置するマルコフ邸ですが、かなり快適です。タクシーの中で「あんまり快適な家ではない」なんて謙遜するもんだから、正直あまり期待していなかったのに、蓋を開けるとなんのなんの!超豪華じゃない。部屋もリビングと寝室で二部屋あるし、何よりもコーディネートがしっかりしている。家賃は日本円で3万ちょっとらしいですが、平均月収が800元〜1000元(日本円で12000円〜15000円程度)の北京市民からすると、豪華になるのは当たり前か。。ほんと、落ち着く家です。

 疲れもあったので3時には就寝。この日は疲れていたのか、ほとんど写真を撮っていません。文字ばっかりでごめんなさい。


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