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北京・西安調査 1  
2009年11月2日(月) 一日目   <出発、北京(前門大街、大柵欄、北京ダック)>


<3年振りの北京へ>

 7月中旬から続いてきた調査第5段は中国の北京・西安。今回は主に、中国黄土高原の退耕還林政策の取り組みについての調査ということで、自分の研究には直接関係ないかもしれませんが、その周辺分野で何かお役に立てれば(そして自分の研究に上手く取り込めれば)、という感じです。しかし2カ月で2回も中国に行くことになるとは思わなかった。

 つい一週間前に羽田北京間のフライトが就航したということで、今回もリッチに羽田便を利用することに。不便な成田に比べ、移動が便利な羽田便は本当にありがたい。前回の上海の時も感じましたが、羽田発だと負担が格段に違います。羽田発の国際便を利用すると、前原大臣の言う羽田ハブ化を応援したくなります。こんなに便利な場所に空港があるのに、原則に囚われて今まで有効に使い切れてなかったのが不思議。

 集合は9時に出発ロビーでしたが、準備にてこずって前夜徹夜になってしまったこともあり、少しでも寝ようものなら確実に遅刻して調査員失格の烙印を押されることは確実です。前回の上海でそういう事例を目の当たりにしたのだから、遅刻に対する恐怖心はますます高まっています。ということで、絶対遅刻しないためにも早く行ってしまおうと、吉祥寺駅発6時20分発のバスに乗って羽田へ向かいました。バスの中では完全に寝てしまい、気が付けば羽田空港に到着する頃。朝7時という集合時間の2時間前に着いてしまいましたが、遅刻するよりはましです。出発ロビーで今回の論文を読みつつ、2時間を潰しました。

 9時に調査団13名が集合し、10時30分発のJAL8823便に搭乗。徹夜で本当に眠くて仕方がなかったので、機内の個人ビデオを見ることもなく、機内食の時以外はほとんど寝て過ごしました。北京くらいの距離になると、機内食も「ビーフオアチキン」の二種類から選べるようで、今回はビーフを注文。「牛肉のソテー オイスターソース」です。飲み物は当たり前のようにエビスを注文し、午前中からありがたくビールをいただきました。月曜日の午前中から何となく背徳感全開ですが、みんな飲んでるから多分大丈夫。


<つい一週間前に就航したばかり>

<JALの機内食・ビーフ>

 現地時間13時35分(日本時間14時35分)、北京首都国際空港に到着。前回北京を訪れたのは2006年8月。そのときは深夜近くに到着したためか、薄暗くて古臭くてゴミゴミした空港というイメージでしたが、3年振りに訪れると見違えるほど綺麗になっていて本当に驚きました。北京オリンピックに合わせて作られた第3ターミナルだそうです。めちゃくちゃ広く、入国審査から荷物を受け取るまでに相当移動させられましたが。同じターミナル内の移動にシャトル電車だもんなぁ。あと前回は入国審査が長蛇の列で40分くらい待たされましたが、今回はほとんど待ち時間なく通過できたのは素晴らしい。空港だけ見ても、北京は相当進化しているようです。


<本当に綺麗になった北京首都国際空港>

<北京空港第3ターミナルの到着ロビー>

 空港からホテルまではタクシーに分乗して移動することに。タクシーも本当にきれいなもので、車体も薄汚れた様子もなく、車内のシーツも真っ白です。何より運転席を囲む防護壁がありません。本当に日本のタクシーのような快適さでした。空港からの高速道路も広々と整備されており、まっすぐな道をぶっ飛ばすタクシー。快適です。3年前、高速道路工事中で大渋滞だったのは、全てこのためだったのか。空港・タクシー・高速道路と、3年前と比べると本当に同じと都市とは思えません。オリンピック効果というのは絶大だ。


<タクシーまできれいに>

<道路も綺麗に整備済み>

 タクシーは45分でホテルに到着。今回宿泊するホテルはフランス資本の「ノボテルシンチャオ」で、四つ星です。地下鉄2号線の崇文門駅目の前で、前門や天安門、繁華街の王府井も一駅から二駅という立地の良い場所。今回僕はトリプルの部屋でしたが、その実はツインの部屋にエキストラベッドを入れたもので、部屋自体はかなり狭くなっています。まあタダで泊まることができるのだから仕方がない。外国資本ということもあってか、上海で泊まったホテルに比べてかなり綺麗で快適です。


<今回のホテル:ノボテルシンチャオ>

<ホテルのロビー>

 今日は移動日で調査は入っていないので、夕食の時間まで男数人で街をぶらぶらすることに。寒波のため、前日に例年よりも1ヵ月も早い大雪が降ったという北京。そのお陰か青空が広がる良い天気で、北京でこんなに澄んだ空を見ることが出来るとは思ってもいませんでした。ただし気温は最高で0度、夜はマイナスまで落ち込むということで、前日26度まで上がった東京と比べると30度近い差があります。冬物の厚いコートがかかせません。おまけに空気が乾燥しているので、静電気がビリビリ来て痛いったらありゃしない。

 とりあえず隣駅の前門まで歩こうということになり、崇文門西街大、前門東大街をまっすぐ西へ。距離にして約1.6kmですが、午後3時半にしてはかなり寒いので体に堪えます。そんなとき、街中に緑色した謎のキノコのオブジェを見つけました。髭の兄弟がお姫様を助ける、某ゲームの1UPキノコみたいです。街中にメルヘンチックなキノコオブジェがある様はかなりシュールですが、この1UPキノコからは暖かい水蒸気のようなものが出ています。これはここで暖を取れということなのか?それにしては排出量が少なくて、焼け石に水という感じですが。この1UPキノコの真の目的は一体何なのか。


<街中にある謎の1UPキノコ>

<前門へ向かう道(前門東大街)>

<比較的綺麗なトイレが出来ている>

<昨日の雪が残る北京>

 30分くらい歩いて前門に到着。北京内城を囲む城壁に作られた門の一つで、正門に当たります。皇帝が紫禁城で出入りする際の専用門だったそうです。ということで、遠く直線上に天安門や故宮が見えます。前回来た時も見たし、写真も撮った気がしますが、あまり記憶に残ってないんだよなぁ。


<正陽門(前門)>

<防御門にあたる箭楼>

 前門の南側、前門大街は古くからの繁華街になっているということで、3年前にもどんなものやらと訪れています。ところがその時はオリンピックに向けて絶賛改修中で、通りの店は全てフェンスで囲まれ、店は全て休業中でした。前門で有名な都一処のシュウマイを食べようと思っていたのに、食べることができずがっかりした記憶があります。道も狭く、車もびゅんびゅん走っていたので、歩くだけで一苦労、という場所でした。


<2006年当時の前門大街>

<3年前は工事中で車が走っていた>

 あれから3年。再開発は終わり、前門大街は見違えるほどお洒落な場所になっていました。清朝から民国時代にかけての古い街並みを再現したレトロな建物がずらりと並び、道は歩行者天国に。ミニ路面電車も走っており、まるで街中にテーマパークが出来たような雰囲気です。3年前との余りのギャップに思わず言葉を失ってしまいました。ほんと、見違えるほど綺麗な街になった。


<整備の終わった前門大街>

<古い街並みが再現されている>

<完全に歩行者天国に>

<ミニ電車も走る>

 綺麗になった前門大街をぶらぶらし、夕食前に軽くおやつでも、と路地の大柵欄へ。大柵欄の街並みも綺麗に整備されています。前回この通りにある肉まんの「狗不理」で食べた肉まんと豆粥セットがおいしかったので、今回もここで食べようと皆を案内しました。ところが3年間のうちに変わってしまったらしく、店内が若干高級な感じになっています。前は手軽なファーストフードといった趣の店だったのに・・・。ということで残念ながら狗不理は諦めて、大柵欄からさらに路地へ。一歩路地に入ると、そこは観光地とは全く違った日常の北京の生活が垣間見える場所で、何故だか理由は分かりませんがホッとしました。こういう通りの方が落ち着きます。変わってない北京もあったんだね、と。


<大柵欄>

<肉まんの狗不理>

<さらなる路地へ入る>

<意味は分からんが何となく怪しい>

 もう少し歩いて、前門の西側にある少し広めの路地へ。庶民の暮らしが感じられる通りです。店先にピザっぽいものが売られていたので、興味本位で買ってみることに。僕らは1枚買って4人で分けられればいいかと思っていましたが、10元出すと4枚程大量にビニールに詰めらました。そんなにいらん、というか10元は相当凄いのね。しかしこの冷めたビザっぽい食べ物は正直なところイマイチで、二枚目を食べる気にはなれず。温かかったら美味しいかもしれないけれど。

 ピザっぽいものが残念だったので、別の店の店頭で売っていた温かそうな饅頭を買うことに。肉まん製造機からもくもくと暖かそうな湯気が出ています。これだけでおいしそう。ただ、店の中から出てきた客っぽい人間に、店のオヤジが拳を振り上げながらものすごい剣幕で怒っていたのが若干気になりました。まあ外で買う分には問題ないだろうと、その大きく暖かそうな饅頭をくださいと指差して1個買いました。値段は何と1元(=15円)。安すぎです。中には大量のニラと申し訳程度の卵が入っていて、個人的には好物の味でした。量も多いので、これだけで腹が一杯に。1元でこんな美味しいものが食べられるなんて、路地裏は素晴らしい。


<路地を歩く>

<冷えたピザみたいな食べ物>

<饅頭を売っていた庶民的な店>

<1個1元の巨大ニラ玉饅頭>

 帰りは前門から地下鉄に乗ってホテルへ。地下鉄も以前と比べてきれいになっていて、自動改札機が完全導入されていました。前回は1,2号線はもぎりのおばちゃんがいたもんなあ。自動改札機導入で、チケットの値段も3元から2元に値下がりしたそうです。2元で市内どこでも移動できるのは素晴らしい。3年前は1,2,13号線の3路線しかありませんでしたが、オリンピックを契機に4,5,8,10,空港の各路線が出来あがっており、市内の移動が格段にスムーズになりました。ものすごい勢いで成長している都市です。


<地下鉄2号線前門駅>

<切符はもぎりから自動改札化>

 夜は翌日の訪問先である中国農業大学の先生方との会食ということで、ホテル近くのデパートへ。新しいデパートはもはや日本のそれとほとんど変わりません。4階のレストラン街から1階を見下ろすと、何とスケートリンクという驚きの構造になっていました。さすが中国、やることが違う。でも4階から物でも投げられたら危ないんじゃないだろうか。


<ホテル近くのデパート「新世界」>

<1階がスケートリンクという驚きの作り>

 夕食は北京ダックの 「便宜坊」 。1855年創業の老舗です。北京ダックと言えば全聚徳が有名ですが、便宜坊の方がさらに老舗のようです。北京初日から北京ダックということで、半ば興奮を抑えきれずに席に着きました。上海では飽きてしまってどうしようもなかった中国料理ですが、ここは北京。しかも北京ダックとくれば話は違ってきます。しかし、最初に出てきたのはC3やA2の、どこかで見たことのある料理。上海で連日出てきて、飽きの象徴となった「鶏肉ぶっ叩き」と「蓮根のもち米詰め甘煮」ではないか。せっかく華北に来たのに、また同じ料理に苦しめられるのか・・・。

 しかしその後に出てきた料理はなかなかのもので、特にA4・B4・C4といったあっさりした料理は食べやすくて助かります。あと個人的に好きなC5のトンポウローは南の方の料理だけど、これだけは別格。そもそも北京ダックも元々は上海を中心とした江南地方の料理らしいので、この店の料理も全体的に江南料理がベースになっているということでしょうか。お陰でB1の白酒が進みました。南では紹興酒が中心ですが、北では白酒が中心。日本ではなかなか飲めない酒です。38度あり、芳香もかなり強いですが、寒い夜には体を温める意味でもぴったりです。初日ということもあってか、少々飲み過ぎていい気分になってしまった。

ABC
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6

   

  

 一通り料理が出たところで、ようやくお待ちかねの北京ダック。料理人が部屋までやってきて、こんがりと焼けたアヒルを捌いてくれます。飴色の皮が何とも言えません。


<やってきた北京ダック>

<北京ダックの皮>

 パリパリのアヒルの皮を、味噌やキュウリやネギと共に小麦の皮で巻いて食べたら、ああ北京に来たんだなぁという気になります。北京ダックはおいしい。左下の写真の上側は僕が自分でまいたもの、下はウェイトレスのお姉さんが作ってくれたものです。僕のは上手く巻けていません。しかし僕が巻いた方が美味しそうに見えるのは気のせいでしょうか、それとも単なる自己満足でしょうか。北京ダックはかなりの量があったので、思う存分堪能させていただきました。御馳走様です。


<上が自分でまいたもの>

<北京ダックがこんなにたくさん>

 白酒を飲んで若干気分が良くなっていたこともあってか、余った白酒とゴマ団子を持ちかえり、ホテルの部屋で飲みなおすことに。ゴマ団子が大量に余っていたので、7個も食べてしまい、油と胡麻でかなり胃もたれしてしまいました。しかも前日徹夜だった上に度数の高い酒が入ったこともあり、いつの間にかベッドの上で寝てしまってこの日は終了。


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