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青森・函館旅行記 1  
2009年3月20日() 一日目   <八戸(市立博物館、根城跡、フライ)、青森(三内丸山遺跡、ラーメンとホタテとじゃっぱ汁)>


八戸散策 国宝土偶と根城と伝説のフライと>

 三連休前日の木曜夜のこと。吉祥寺駅を歩いていた僕は、みどりの窓口に貼られていた「三連休パス」の宣伝ポスターに目がとまりました。そうか、明日から三連休なのかと。三連休パスは、三連休限定で発売されるフリーきっぷで、JR東日本+函館までの新幹線・特急・在来線が乗り放題になるというもの。26000円です。そのポスターに吸い込まれるようにしてみどりの窓口に入り、試しに最終日函館発の最終便はまだ席が取れるか聞いてみたところ、「最後1席だけ残っています」と。そう言われると早くしないといけないような気がして、その場で行くことを即決しました。こういうときの決断力は本当に早い。この決断力を他の場面でも使うことができたなら。

 前回三連休パスを使ったときは青森・秋田・岩手といった北東北を巡ったので、今回は函館メインで巡ってみようかと思います。とにかく、これで未踏の地北海道に足を踏み入れることになりました。北海道にはいつ行けるだろうと思っていましたが、函館くらいなら案外思いつきでパッと行けてしまうものです。

 家に帰ってからすぐに宿を手配し、そのまま寝ずに明けて20日午前4時半に出発。時間を有効利用するために、6時発の臨時始発新幹線「はやて」に乗ります。というか三連休だとその後の新幹線からは全て満席になってしまい、選択肢として臨時始発しか残されていません。キヨスクでサンドイッチとお茶を買い、指定された座席へ。 


<いつものように始発>

<6時前の東京駅新幹線ホーム>

 指定された座席は二列シート通路側のD席。窓側のE席に座っている人を見て、僕はがっかりしました。ものすごく体格の男性で、僕のD席にまで食いこんでくるようにしてスポーツ紙を読んでいます。それでもD席は僕の席なので、「すみません、いいですか?」と言って身を引っ込めてもらいました。自分の席に座るのに謝らないといけないなんて、何か釈然としません。午前6時、新幹線は八戸に向けて出発。隣の席から圧迫されつつ、朝食のサンドイッチを食べ始めましたが、それと同時に隣の男性がプロレス雑誌を読み始めました。前のめりになりながら雑誌を読むので、嫌でも僕の目に入ってきます。しかも見ているページが流血シーン満載の結構グロテスクな場面。こんなの見たら食欲が・・・。

 この酷い状況に耐えつつ、新幹線はビューンと北へ。9時10分、終点八戸に到着しました。拷問のような3時間から解放されて清々しい気分です。今回の最初の目的地は八戸。八戸は前回乗り換えで1時間ちょっと滞在したものの、夜だったし街中に出てなかったしで、実質今回が初訪問のようなものです。日中の八戸は初めてなので、まだ新しい(といっても既に6年経っているけど)新幹線ホームや駅構内の写真をパシャパシャと撮ってからバス乗り場へ。ところが目的のバスはちょうど出たばかりのようで、次のバスは30分後・・・。だらだら写真を撮ってるんじゃなかった。ということで、30分の待ち時間は駅に直結した ユートリー に入り、八戸名物を眺めたりお土産を見たりして時間を潰しました。ちなみに八戸の気温は7度。前日の東京は23度あったので、一気に寒いところに来たような気がします。


<八戸駅新幹線コンコース>

<八戸駅>

<八戸三社祭の山車>

<南部せんべいがたくさん>

 9時50分のバスに乗り、まずは 八戸市立博物館 へ。前日に「合掌土偶」が国宝に指定されたということで、是非とも指定ほやほやの国宝を見ようとやってきました。博物館の前には「祝国宝指定 合掌土偶」の垂れ幕やポスターが。期待が高まるというものです。博物館と隣接する根城跡の入館料は400円。でも学生証を見せると240円。こういうとき、まだ大学院生でよかったと思います。差額でペットボトルのお茶1本買えるもんねぇ。


<八戸市立博物館>

<八戸の祖 南部師行像>

 三連休とは言え、休日の朝からわざわざ博物館に来る人も少なく、ひっそりと静まり返る博物館。石器時代からの八戸の歴史が展示されている中に、この度国宝に指定された「合掌土偶」がありました。単体で大事にケースに入れられて展示されています。が、良く見てみると、これは「レプリカです」。せっかくここまで来たのに、何ということか・・・。でもレプリカとはいえ、合掌土偶は今まで見たことのある土偶と比べ、ユニークで面白い格好をしています。ちょっと首が傾いているところが、人間っぽくてチャーミングです。


<博物館内>

<国宝 合掌土偶(のレプリカ)>

<縄文前期の土器>

<・・・アンパンマン??>

 その他の展示も、八戸がどんなところかが良く分かる内容でした。昭和30年代まで、八戸の主食は米ではなく稗や粟だったそうです。東北地方の厳しさが伺えます。

 博物館を出て、隣に広がる根城広場へ。南北朝時代に南部師行が八戸に入ってきて、城を築いたのがこの場所。戦国時代以前なので、一般的な城の概念とは異なり、館みたいな場所です。広々とした広場になっていて散策にはもってこいかもしれませんが、曇り空の東北地方は寒く、遮るものがないために風が吹きまくって凍えそうでした。他には人っ子一人いやしない。


<根城城門>

<水のない堀>

<広々した場所が広がる>

<復元された主殿>

<復元中>

<堀の向こうに街が見える>

 復元されていた主殿へ。江戸時代以前の質素な武家屋敷という趣で、実用性重視といったところでしょうか。


<主殿の居間>

<正月十一日の儀式を再現>

 博物館・根城公園を見物した後は、再びバスに乗り今度は中心街方面へ。八戸は新幹線が止まる八戸駅が中心街から離れていて、中心街に近いほうは本八戸駅となっています。ローカルな例えで恐縮ですが、山口県で言うところの宇部駅と宇部新川駅、新山口駅と山口駅みたいな感じです。一方通行が多い道を抜け、八戸の中心街である三日町で下車。意外と言っては失礼ですが、八戸の中心地は思ったよりも賑わっていました。人口も24万人もいるようだし、そりゃそうか。ただ、表通りから一歩裏に入ると、ちょっと寂れた感じがして、この辺が地方都市と言った趣です。地元に似ていて懐かしい。


<意外と都会の八戸中心街>

<表通りから入ると少し寂れた感じ>

 時間も11時半を過ぎたので、中心街で昼食にしようと、めぼしい店を見つけるべく街をぶらぶらしました。「みろく横丁」なる屋台村がありましたが、昼からやっている店はあまりないようで、シーンと静まり返っています。八戸と言えば「せんべい汁」と「いちご煮」が二大巨頭。それらが食べられる地元割烹みたいな店も何軒軒かありましたが、いちご煮の値段が高くてこれから先のことを考えるとちょっと手が出ません。いちご煮はイチゴを煮たものではなくて、ウニとアワビを使った吸物で、そりゃそんな食材だからを使っているのだから高くなるのは当たり前。ということで今回は諦めました。次こそは。

 中心街から歩いて本八戸駅へ向かう途中で、八戸市役所とその隣にある八戸城跡を発見。根城が戦国時代の城跡なら、八戸城跡は江戸時代の南部氏の居城です。公園は綺麗に整備されていますが、本丸跡が何となく寒々しく放置されているような気もしました。


<八戸城跡>

<本丸跡が寂しい>

<三八城神社>

<城跡からの眺め>

 八戸城跡から本八戸駅までは歩いてすぐの距離。市街地に近いということで、こちらの方が地元密着型の中心駅というところですが、駅前の通りは結構廃れ気味です。さっきから廃れ気味だの寒々しいだのマイナスなことばかり言っているような気がしますが、八戸関係者の皆様、どうか気を悪くしないでください。僕の地元である下関もこんな感じなので、個人的にはこういう廃れ具合には懐かしさというか安心感を覚えます。


<中心地に近い本八戸駅>

<本八戸駅前は結構寂れている>

 本八戸駅に着いたのが12時ちょうど。次の八戸行き電車は12時28分ということで、この空き時間を利用して駅前のスーパーを見物することにしました。地方に行ったときにスーパーをうろうろするのは楽しいです。なぜならその土地でしか売られていないようなものがたくさんあるから。今回もそれを期待して駅前の三光ストアへと足を運びました。すると、惣菜コーナーに八戸の高校生で知らない者はいないと言われる「フライ」各種が!噂には聞いていましたが、まさかここで目にするとは。


<本八戸駅前の三光ストア>

<八戸の高校生のお供、フライ各種>

 「フライ」とは八戸のむつ食品が製造している、総菜というか何というか・・・な食べ物だそうで、主に市内の高校の購買部で売られているそうです。種類もいろいろあって、メンチフライ、チキンカツと言った王道から、お好みフライ、グラタンフライといったちょっとした変わり種まで、いくつか種類があります。今回はお好みフライとメンチフライ、それに味噌おにぎりを購入。全部で458円という安さです。本八戸駅に戻って、早速待合室で食べました。ちょっと油っこくて、どこか懐かしい味がします。高校生のときこの味に出会っていたら、絶対病みつきになっていたに違いない。いちご煮は食べられなかったけど、そのお陰でフライを食べられたのだからよかった。せんべい汁やいちご煮はご当地グルメと言っても全国的な知名度がありますが、フライのような本当に地元密着型の食べ物を見つけると嬉しくなります。

 12時28分の電車に乗り、12時38分八戸駅着。12時49分の臨時特急「つがる11号」に乗り換えて、一路青森へ。八戸は駆け足になってしまいましたが、まだまだ見どころや食べものが多そうなので、次回またゆっくり訪れたいと思います。

<二回目の青森 三内丸山遺跡へ行く>

 三連休初日ではありましたが、臨時特急つがるの自由席の乗車率は半分以下といったところで、悠々二席占領させてもらいました。東北の車窓は長い冬が終わり、春の準備をしているためか一面の土色。これから春を迎えるに従って、鮮やかな緑に覆われていくことでしょう。


<臨時特急つがる(青森駅で)>

<地味な色の東北の車窓>

 1時54分、終点青森駅に到着。約一年半振り、2回目の青森です。昭和の香りが残る青森駅は、旅情を感じさせる駅でもあります。またしてもパシャパシャと写真を撮りまくってしまいました。特にてっちゃんという訳でもないのに。しかし、写真を撮っていたばかりに、八戸に続いてまたしても乗ろうとしていたバスに目の前で行かれる始末。次のバスは何と50分後!自分のタイミングの悪さを恨むばかりです。


<昭和の面影が残る青森駅>

<いいことを言う>

<青森の中心市街地>

<青森ベイブリッジ>

 時間が中途半端に余ってしまったので、ちょっと市内を散策。昼食がフライだけでは少なかったので、ラーメンを食べることにしました。青森津軽ラーメンの中でも有名な、 「まるかいラーメン」 へ。青森でも1,2を争うほどの有名店なので、僕も名前だけは知っていました。さすがに有名店だけあって、2時過ぎという中途半端な時間にも関わらず店内は満席。レジカウンターに座っているオジサンがかなり気合入っているような方で、最初ビビりました。何というか、サンドウィッチマンの金髪の人にそっくり。おどおどしながら席に着き、ラーメン(中)を注文。この店には基本的にラーメン(大)と(中)しかありません。

 津軽ラーメン特有の、煮干しとアゴ出汁の効いたスープ。中の割にはチャーシューも麺の量も多く、食べ応えがあります。派手な美味しさはありませんが、地元で愛されているラーメンなんだろうと思いました。地元にこういうラーメン屋があったら、帰省のたびに通ってしまいそうです。御馳走様。


<まるかいのラーメン(中) 550円>

<まるかいラーメン>

 ラーメンを食べてから再び駅前のバスターミナルに戻り、2時50分の免許センター行きバスに乗車。目的地は終点手前の三内丸山遺跡です。三内丸山遺跡は前回の旅行の時に行こうとしましたが、目の前でバスに行かれたので諦めた場所です。バスの乗客は8割老人で、地方の公共交通機関の現実そのままという感じです。その御老人たちも途中のバス停で三々五々降り、三内丸山遺跡まで行ったのは僕とカップル一組。バスを降りたら風がめちゃくちゃ冷たい!

 三内丸山遺跡は縄文前期から中期にかけての遺跡で、歴史の教科書にも載っているので知っている方も多いかと思います。これは極めて個人的見解ですが、僕は三内丸山・登呂・吉野ヶ里を合わせて日本の遺跡ビッグスリーと勝手に呼んでいます。そんなビッグスリーの一角を初訪問。入場料無料というのがありがたいところです。

 最初の建物に入り、そこのトンネルを抜けると三内丸山遺跡。ところが曇り空で本当に寒くて、写真を撮ろうものなら一瞬で手が悴んでしまうくらいでした。これは我慢できんと、とりあえず資料館へ。暖をとりつつ三内丸山遺跡の概要や出土品を見て回りました。本当に数多くの土器が出土しています。


<三内丸山遺跡>

<トンネルを抜けると遺跡へ>

<マスコットキャラクターらしい>

<資料館に展示されている数々の土器>

 資料館を出ると、さっきまでの曇り空が嘘のような青空が広がっていました。太陽が照りつけるので風があっても暖かく感じます。そして何より、青空だと写真も撮り易い。解説版を読みながら、広い遺跡を見て回りました。遺跡の規模としては吉野ヶ里遺跡よりも狭いように思いますが、ここに縄文人が住んでいたというだけで僕にとってはロマンです。

 4時50分のバスに乗って再び青森市街へ。駅近くのホテルにチェックインし、WBCの日本対韓国の結果を知らせるニュースを見ていたりしていると、時間はいつの間にか6時半。外も真っ暗です。夕食は取る場所を考えるのが面倒だったので、前回も行った 「おさない食堂」 へ。そして前回も注文したホタテ刺身定食(1200円)を注文しました。でも注文してから、「ううむ、今回の旅行はどうも守りに入っているな・・・」と思ったので、400円追加して味噌汁をたらのじゃっぱ汁に変えてもらうことに。じゃっぱ汁とはあら汁のことのようですが、鱈のぶつ切りがたくさん入っていて、食べ応えがありました。ホタテの刺身・ホタテ紐の塩辛も相変わらずおいしい。やっぱり青森は魚介類が美味しいなぁ。


<おさない食堂のホタテ刺身定食>

<たらのじゃっぱ汁>

 帰りは夜の青森をぶらぶらと散歩しつつ、青森駅で地元っぽい飲み物を購入。新郷村の飲むヨーグルトとJAあおもりのりんごジュースです。ホテルに戻って飲むヨーグルトを飲みましたが、これがびっくりするほど濃厚で驚きの一杯でした。僕はてっきりブルガリアの飲むヨーグルトのような、さらさらしたヨーグルト系飲料かと思っていましたが、本当に固形のヨーグルトをそのまま飲んでいるような濃さです。これで一杯150円なんだから安いように思います。もう2,3本買っておけばよかった。


<夜の青森駅>

<夜のベイブリッジ>

<夜のアスパム>

<飲むヨーグルトとりんごジュース>

 ということで、今日は青森止まり。明日はいよいよ津軽海峡を渡って北海道へと向かいます。


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