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北海道調査 7  
2010年2月27() 七日目 <小樽(運河と洋館建築群)、余市(ニッカ余市蒸留所)、札幌(北大、JRタワー)>


小樽運河と北のウォール街> 

 昨晩は夜7時過ぎには寝てしまったので、起きたのは朝4時過ぎ。それでも9時間程寝られたので、かなり体力が回復しました。今回泊まったホテルは「スーパーホテルすすきの」で、学生なら3500円と格安の上に温泉大浴場も朝食も付いています。そして何よりベッドの寝心地がかなりよかったので、ついつい9時間も寝てしまったと。起きてから温泉に入り、7時前にホテルをチェックアウト。朝食は無料ですが、この一週間で食べ過ぎているのでパスです。地下鉄に乗って札幌駅まで。今日はよく晴れています。


<よく晴れた札幌駅>

<札幌駅前のビル群>

<オリンピックを見る人々>

<稚内行き特急宗谷>

 今日は最終日で夜の飛行機で東京に戻るだけ。最早調査でも何でもなくなりましたが、JAL便は土曜夜の便が安いのでこうなりました。夜までかなり時間があるので、時間を有効に利用して観光をしようと、まずは行ったことのない小樽へ。札幌駅のコインロッカーに荷物を預け、7時34分発の小樽行き電車に乗りました。9時間近く寝たのにまだ眠く、車内でもうつらうつらしていましたが、右手に日本海が広がるとついつい起きて見てしまいます。

 8時23分、小樽駅着。港町ムードが漂う駅です。駅舎が上野駅に似ています。


<「るたお」に到着>

<小樽駅構内>

<小樽駅>

<小樽駅前>

 小樽駅から歩いて、小樽一番のスポットであろう小樽運河へ。海が近いこともあってか結構寒いです。小樽運河は実際に訪れてみると、まあこんなもんかという感じがしないでもありません。夜のライトアップは綺麗なのかもしれませんが。ここでも観光客のほとんどは中華系でした。


<小樽運河1>

<小樽運河2>

<今日はそこそこ寒い>

<寒そうな兄弟>

 小樽運河から歩いて、「北のウォール街」と呼ばれる地区へ。明治期から昭和初期にかけて建設された洋風建築が集中して保存されています。日銀小樽支店、拓銀支店、北海道銀行本店に三菱銀行安田銀行などなど。昔の小樽は相当栄えていたというのが良く分かる地域です。雰囲気としては門司に近いかな。これらの建物は全て現役で使われているというのもまたすごい。特に旧拓銀小樽支店は現在ホテルとして使われているそうなので、どんなものか一度泊まってみたい気もします。


<北のウォール街>

<旧北海道拓殖銀行小樽支店>

<旧日本銀行小樽支店>

<旧北海道銀行本店>

 小樽はガラス細工やオルゴールが有名ですが、僕はそっち方面にはあまり興味がないので、商店街を通って小樽駅に戻りました。都通り商店街というそうです。土曜の朝なのでまだほとんどの店が開いてないのが残念です。都通り商店街を歩いていると榎本武揚関連の幕が至る所にかかっていて、小樽が榎本武揚を全面に推していることが分かります。榎本武揚とはまた渋い人物を選んだものです。


<都通り商店街>

<全面に榎本武揚を推し出している>

 結局小樽の散策は1時間程度で終わってしまいました。予定では午前中一杯小樽のつもりで、昼食は有名な「なると」の若鶏定食を食べようと思っていたのだけど、まだ9時半です。若鶏食べたかったけどなあ。残念。

<余市のニッカウヰスキー>

 小樽散策が予想よりかなり早く終わってしまったので、もう少し列車で先へ進むことにしてガイドブックを見てみると、余市でニッカの工場見学ができるということでした。ビール工場は何回も見学したことがありますが、ウイスキー工場は見学したことがありません。そして何より試飲ができるらしい。それはいいやと、余市に行くことにしました。小樽駅9時45分発の倶知安行きに乗り、積丹半島付け根の余市には10時8分着。ほどほどに田舎の駅です。駅前商店街の感じがいい味を出しています。


<倶知安行き普通列車>

<余市に到着>

<余市駅>

<ちょうどいい具合の寂れ具合>

 ニッカの余市蒸留所は駅から歩いてすぐのところにあり、入り口の受付で記帳すると中に入れてくれます。ビール工場だと前日までに予約して、ガイドのお姉さんと一緒に見学するのが一般的ですが、ここでは予約も必要なく、勝手にぶらぶらと散策してもよいそうです(もちろん無料)。さすが北海道というか、牧歌的。ガイドも30分ごとにやっているということでしたが、今回はじっくりと見たかったので個人でぶらぶらさせてもらうことにしました。


<ニッカウヰスキー余市蒸留所>

<余市はニッカ発祥の地>

 ここ余市は日本のウイスキー発祥の地。昭和初期に建てられた建物がほぼ現役で使用されたり残ったりしています。ウイスキーの作り方だけでなく、雪に埋もれた味のある建造物群を見るだけでも楽しいです。見学者が他に誰もいなかったのも雰囲気があってよかった。ビール工場のように最先端の機械や技術を使うのではなく、伝統的な直火焚き蒸留であったり、樽作り職人がいたりと、そういう点も相まって、少し古い洋風の香りが漂ってくるような場所です。


<余市蒸留所>

<雪深い蒸留所>

<直火焚きで蒸留する>

<以前の事務所>

 古い貯蔵庫が今でも活用されていて、中では樽に入ったウイスキーが熟成を待っています。


<貯蔵庫棟>

<貯蔵庫で熟成を待つウイスキー>

 敷地内のウイスキー博物館でちょっとしたウイスキーのお勉強。僕はウイスキーはたまに飲みますが、作り方とかそもそも何で出きているとか全く知らなかったので、よく分かって勉強になります。ウイスキーは最初無色透明で、熟成することによって樽の成分がしみ出して色がついていくそうです。匂いも全然違ってきます。知らんかった。


<ウイスキー博物館>

<熟成によって色が付く>

 博物館内には有料試飲と原酒販売所があったので、いいのがあったら買おうと思いました。しかし何と、原酒はどれもこれもかなり高く、若輩者には手が出ません。一般的にウイスキーは複数の樽のものをブレンドして度数などを調整しているそうですが、ここで売られている原酒とは一つの樽の原酒をそのまま製品にしているもので(これを「シングルカクス」と言う)、樽の個性が出る一品なのだそうです。ここでしか買えないので、是非ともと思いましたが、25年ものが500mlで2万円とか・・・。さすがそれは無理だ。匂いだけはかがせてもらえたので、匂いだけで我慢しました。匂いだけでもものすごく濃厚です。

<歴代のウイスキー達(左が一号ウイスキー)>

 25年もののシングルカクスには手が出ないけど、比較的年数が浅いものは試飲させてくれるということで、無料試飲会場へ。無料試飲できるウイスキーは三種類で、それぞれ一杯ずつまで飲めます。写真左から、アップルワイン(22度)、ブレンデッドウイスキー鶴17年(43度)、シングルモルト余市10年(45度)。アップルワインは別として、余市も鶴も実際そこそこ高い値段がします。最初は試飲の量が少ないなあと思いましたが、アルコール度数が高いので、十分過ぎる量でした。濃厚な味わいでおいしい。こんないいウイスキーを飲めるのだったら、ウイスキーに嵌りそうだ。


<シングルモルト余市10年>

<試飲できるウイスキー三種>

 ということでニッカ工場を十分堪能させてもらいました。予想以上に良いところだった。その後余市駅に戻って、列車の時間まで駅に併設されている観光物産センターでいろいろと物色。余市はリンゴの産地であり、ウイスキーだけでなくワインも名産品なのだそうです。レジには農園特製のできたてアップルパイがあったので買ってみました。肉厚で甘くてかなりおいしいです。


<余市はリンゴの産地>

<特製アップルパイ>

 余市発12時12分の列車に乗って、途中小樽で乗り換えて札幌へ。余市小樽間の列車は一両で、結構な混雑具合だったのでずっと立たなければいけませんでした。ウイスキーを飲んで若干ふらふらだったから座りたかった。

<北海道大学とJRタワー>

 1時半に札幌に到着し、まずは遅めの昼食。あまり遠くに行くのは面倒なので、昨日と同じくラーメン共和国へ行って適当な店を探しました。やはり味噌ラーメンを食べたいということで、 「大心」 へ。富良野のとうもろこしを使った「富良野みそバターコーンラーメン」を注文しました。どうやら「味噌ラーメンにはバターとコーンをトッピング」というのは、味噌ラーメンに対する本州人の勝手な偏見らしいですが、食べたいからそれでいいの。まとまりのある一杯でおいしかったですが、さすがに2日間で味噌ラーメン3杯というのは疲れるな・・・。


<大心 富良野みそバターコーンラーメン>

<大心>

 飛行機までの余った時間は適当に札幌市内をぶらぶら。とりあえず時間を潰せそうな北海道大学に行きました。札幌駅の目の前に広大なキャンパスが広がっているんですね。札幌駅が最寄り駅というのは羨ましい。


<北海道大学正門>

<早速クラーク博士の言葉>

 北大と言えばクラーク博士の胸像。羊ヶ丘の像は全身ですが、こちらは胸像。そしてもう一人は旧五千円札の新渡戸稲造。札幌農学校2期生で、のちに助教授・教授を務めたそうです。ただ、いろいろな人が書いていると思うけど、この銅像はマギー司郎に見えて仕方ありません。


<クラークさん>

<新渡戸稲造>

 北大は南北に地下鉄4駅分という広い敷地を有するだけでなく、歴史的な建物が多く残されており、旧帝国大学としては異質です。その歴史的経緯から、農学部本館は立派。荘厳さは東大の本郷ほどではないけれど、お洒落な洋風木造建築がたくさん。有名なポプラ並木もあり、こういうところで勉学したら伸び伸びできていいだろうなあと思います。都会の大学はどうしても窮屈になりがちなのに、しかも駅前一等地にありながら、これほど解放感がある大学というのも珍しい。うちの大学も(僕は駒場ですが)かなり広い方だと思いますが、建物の密集度が全く違うので、歩いていても落ち着き方が全く違います。


<古河記念講堂>

<北大交流プラザ>

<農学部本館>

<総合博物館>

<ポプラ並木>

<長いメインストリート>

 キャンパスの北側には、クラークの構想によって建設され、今では重要文化財に指定されているモデルバーン(模範的畜舎)が。見学自由でしたが、雪が溶けだして歩きにくくて仕方がありませんでした。しかし一大学にこれだけの重要文化財があるというのも珍しい。


<モデルバーンの事務所>

<モデルバーン内部>

 結局気付いたら北大の散策に1時間半近くかかっていました。どれだけ広いんだ北大。残りの時間は地下鉄に乗って大通に戻り、あてもなくぶらぶらと街を歩きました。とりあえず昨日も見たテレビ塔、時計台をもう一度よく観察。時計台は遠くから見ると本当にビルに囲まれていて、何だか窮屈そうです。ただ、もともと札幌農学校の建物だっただけあって、北大で見た大正期の木造洋風建築によく似ています。


<再びテレビ塔>

<ビルに囲まれる時計台>

 続いて道庁旧本庁舎。前日道庁でヒアリングしたときに裏からは見ましたが、そう言えば正面からは見てなかったということで再びの道庁です。中に入って記念室やその他もろもろを見物してきました。樺太の歴史や北方領土に関する展示が充実していて、なかなか見応えがあります。北方領土返還の署名は既に7000万人も集まっているそうです。日本の人口の半分以上か。

 この旧本庁舎でも、ほとんどは中国・韓国・台湾・香港からの観光客でした。話す言葉と来ている洋服のタイプが違うからすぐ分かります。北海道がブームとは言え、最近の彼らのパワーには恐るべきものがあります。


<北海道庁旧本庁舎>

<エントランスホール>

<知事室>

<なんじゃこりゃ>

 時刻は午後5時。最後は札幌駅に隣接する、JRタワーの38階展望室に上り、札幌の夜景を堪能してから帰ることにしました。展望室の高さは160m。札幌で断トツに高い建物なので、さえぎるものがなくかなり見晴らしが良いです。テレビ塔が眼下に見えます。日が沈む前の景色もパノラマでよかったですが、日が落ちて暗くなるまでじっくりと待ちました。


<38階展望室>

<日が沈んできた>

 じわじわと暗くなってきて、時刻は6時前。段々とネオンが輝きだしたので、ポータブル三脚を使って夜景を撮影タイムです。コンパクトデジカメでもしっかりと固定してISO感度を低くし、露光を長くすれば、比較的綺麗な写真が撮れます。今回はISO64、露光4秒で撮ってみました。札幌という都市は碁盤目状に綺麗に並んでいるので、通りを走る車のライトが直線になって美しく見えます。京都も同じような街ですが、寺社仏閣が夜暗く、建物も低いため、札幌のような迫力のある夜景になりません。札幌すごいな。


<南 大通・すすきの方面>

<西 大倉山・手稲山方面>

<北 丘珠空港・石狩方面> 

 と、札幌がかなり眩しく明るい街のような書き方をしていますが、上の写真は露光4秒で撮影したのでかなり明るく見えているだけで、実際は下のような明るさです。これでも十分綺麗だけど。中央から右上辺りのすすきのだけは一際明るくなっています。札幌は僕が今まで訪れたことがなかった最後の政令指定都市だと思いますが、これほど大きく整然としていて活気がある街だとは思いませんでした。特に釧路や知床、網走から来ると一層そう思います。さすが北海道のプライメートシティ。


<実際の明るさとしてはこんな感じ>

 名残惜しいですが、飛行機の時間が近付いているのでタワーから降りて札幌駅へ。最後にスープカレーを食べたかったところですが、またしても飛行機が欠航になったら困るので、少し早目に空港に向かいました。といっても今回は別の移動手段がないので、欠航になっても札幌にもう一泊するだけですが。6時40分の快速エアポートに乗り、7時16分、新千歳空港到着。


<さよなら札幌>

<新千歳空港に到着>

 飛行機での女満別からの移動が欠航になったので、新千歳空港を利用するのは今回が初めてです。新千歳空港は相当なにぎわいを見せるということでしたが、残りの飛行機も少ないのか閑散としていました。最後の夕食はグルメストリートにあった「北海道グリル」で。ロイヤルホスト系列らしいです。十勝牛を使ったハンバーグが売りということで、入り口のメニューに「サービスハンバーグセット980円」があったので、これはいいやと注文しようとすると、980円のハンバーグには十勝牛は使ってないと・・・。若干騙されたような気がしましたが、せっかく北海道に来ているので最後は十勝牛と思い、サービスセットではない普通の十勝牛ハンバーグを注文しました。1380円です。まあ仕方がない。おいしかったからいいけど。


<新千歳空港>

<十勝牛ハンバーグ>

 最終便の一本前、8時55分発のJAL546便に搭乗し、一路羽田まで。僕の隣に乗った女性二人組も中国系でした。ほんと、今回は最初から最後まで中国系の観光客ばかり見た気がします。羽田上空は揺れが予想されるということでしたが、もはや飛行機に慣れてしまったので多少の揺れではどうってことありません。本当に慣れてしまったもんだ。ちょっとの揺れでガクガクおびえていた昔が懐かしい。

 羽田には定刻10時半に到着。吉祥寺行きの最終バスが50分発だったので、間に合うかギリギリのところでしたが、運よく荷物が早く出てきたので何とかバスに間に合いました。家に着いたのは12時。お疲れ様。


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