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三回目の知床調査 1
2010年10月12日(火)  <東京→斜里、斜里(町役場聞き取り)>


<三度目の知床へ>

 今年度のプロジェクト関連の調査・出張第6弾は秋の知床。去年の夏(8月)、今年の冬(2月)に続き、8ヶ月ぶり3度目の知床です。最初はまさかこんな知床に関わるとは思ってもいなかったけれど、これも何かの縁。知床に関する論文もそろそろまとめの時期なので、今回が最後の調査のつもりで、入念な下調べと準備をする・・・つもりが、別件で急な原稿執筆が入り(詳しくは日記参照)、結局その執筆が出発当日の朝4時までかかってしまいました。というか4時までかかっても終わらなかったけど、終わらなかった分は調査先でやることにして、調査に出かける準備をしないと間に合わないません。結局の徹夜。出発からこれだと先が思いやられるなあ・・・。

 ばたばたと準備をして、吉祥寺8時発の羽田空港行きバスに乗り、9時に羽田空港第2ターミナルに到着。今回は値段の関係上、初めてエアドゥを使うことになっていました。知床に一番近い女満別空港行きの便は、JALやANAだと3万円くらいします。しかしエアドゥは学生なら「DO学割」なるものが使えます。これは15000円で、しかもぎりぎりまで便変更が可能という優れもの。こういうとき、まだ大学に籍を置いておいて良かったと思います。JALやANAのマイルが貯まらないのは残念ですが。エアドゥのカウンターは新規参入会社の例にのっとって、第2ターミナルの端にありました。新規参入会社は割を食います。


<広い第2ターミナル・・・>

<・・・の端にあるエアドゥ>

 朝の渋滞もなく、予想外に早く羽田に着いたので、飛行機の時間まで結構時間が出来ました。ということでやや遅めの朝食兼早めの昼食を。さっさと出発ロビーに入って 「ねんりん家」 へ。ねんりん家は都内で行列の出来るバームクーヘンの店ですが、羽田の第二ターミナル出発ロビー内にだけ、カフェ形式の店を併設しています。つまり羽田からANA系統の飛行機に乗るときしか利用できないという、なかなか訪問難度が高い店です。僕も5月の鹿児島・水俣調査以来二度目。今日はバームクーヘンサンドイッチなる、若干変り種のようなものを注文しました。そのサンドイッチをテイクアウトして、カードラウンジへ。

 カードラウンジで無料のコーヒーを飲みつつ、早速バームクーヘンサンドイッチを。写真左から、パストラミ・エビとアボガド・タマゴの三種類です。バームクーヘンで挟むなんてけったいなことを・・・と若干訝しがりつつ食べてみると、思った以上に結構いけました。バームクーヘンのほんのりとした甘さが、中身の具のしょっぱさと不思議な感じでマッチしています。本当に不思議で、これはこれでありかと。この三つで600円というのは結構高いような気もするし、元も子もないことを言えばやっぱりバームクーヘンはバームクーヘンだけで食べたいなあという思いも無きにしも非ずですが、話のネタには良いかと思います。

 カードラウンジは無線LANが繋がるので、パソコンを広げて残りの仕事を何とか片付けようとするも結局片付け切れず、10時過ぎに登場口へ。ここで今回の調査を共にするFさん、D1Y君と合流。今回は教員がいないので、先方に舐められないようにと僕とFさんはびしっとスーツです。そして我々一行のメリハリを出すために、一番若いY君には丸井ファッションで固めた私服で来てもらいました。彼には「あまり知らなくて際どい質問をしてしまう大学院生」の役を演じてもらわなければならないので、その意味ではぴったりな服装です。


<ねんりん家のバームクーヘンサンドイッチ>

<AIRDOだと登場口も遠いです>

 10時55分発のADO073便に搭乗。ほぼ満席で離陸しました。あまり天気が良くなかったので、飛行機は結構揺れました。飛行機が苦手なD1Y君を見ると、終始緊張したような面持ちで、心臓の鼓動の音がこちらまで聞こえてくるかのようです。彼は飛行機が怖いから保険に入った、と言っていましたが、それはそれで問題の解決の仕方が違うんじゃないかと・・・。その保険は飛行機が落ちた後のための保険であって、落ちないための保険じゃないんだから。。まあ僕も、今でこそ毎月のように飛行機に乗るようになったためか怖さもどこかへ行ってしまいましたが、つい3,4年くらい前まではY君のように乗る度にびくびくしていたので、人のことは言えません。

 飲み物サービスは北海道北見産の玉葱スープ。JALで飲むコンソメスープよりもおいしいです。そして何よりもカップのクマさんの顔が可愛い。エアドゥのマスコットキャラクターはベア・ドゥという白熊で、その顔をモチーフにしているみたいです。あまりに可愛いので、機内販売で売っていたベア・ドゥのぬいぐるみを思わず買いそうになりました。まだ行きなのに。三十歳を超えたオジサンが何を言っているんだ、という感じですが。。


<白い恋人だらけ>

<北見産玉葱のスープがおいしい>

 定刻12時35分、女満別空港に到着。道東は思ったよりも暖かく、半袖シャツにスーツだと逆に暑いくらいでした。すぐに網走行きバスに乗って網走駅まで。飛行機の乗客が多かったので、網走行きのバスも混むのかと思ったら、僕ら以外にはほとんど人が乗ってきませんでした。他の人はどうやって移動しているのでしょうか。気になります。


<しっぽしか見えないAIRDOの機体>

<網走行きバスに乗車>

<人がいない・・・>

<左手に網走湖を眺めつつ>

 バスは25分で網走駅前に到着。料金を払ってバスを降りると。Y君が運転手から「(金額が)全然が足りないよ!」と呼び止められています。どうもFさんの分も含め2人分払うことになっていたのに、1人分に毛が生えた程度のお金しか払わなかったらしい。あたふたするY君。この件を始めとして、今回の調査ではY君に随分と話題を提供してもらうことになります。長旅には一服の清涼剤が必要ですねぇ。


<網走駅前に到着>

<網走駅>

 今回は時間がないので、網走は通過するだけになってしまいます。まあ前回監獄を見たりザンギ丼を食べたりしたので、今回は仕方がない。網走まで来ると、はるばる遠くまで来たもんだ、という感覚になりますが、我々が目指すのは(東京からの位置関係としては)さらに遠くにある知床。知床はシリエトク、つまり「地の果て」という意味が語源になっています。そんなところに3回も行くことになろうとは。


<網走駅改札>

<歴史を感じる「指差確認」>

<知床斜里行き列車と特急オホーツク>

<斜里行き列車車内>

 1時25分の知床斜里行き列車に乗って、一路知床斜里まで。今年の2月に流氷ノロッコ号に乗って走った線路を、今度は逆に進んでいきます。同じ線路でも、観光列車であるノロッコ号に乗るのと、今回のような普通の列車に乗るのとでは風景も違って見えるような気がします。もちろん前回は一面の雪景色だったということもあるだろうけれど、それ以上に趣が違う。個人的には郷愁を誘うという意味で、国鉄時代の古さを残している普通列車の旅も味わい深いものがあると思いました。


<左手に見えるオホーツク>

<北浜駅>

<線路が続く>

<国鉄時代のままの扇風機>

 2時12分、終点にして目的地の知床斜里駅に到着。8ヶ月振りにやってきました。そんなに久しぶりじゃないので、さすがに感慨がありません。。


<終点知床斜里に到着>

<しれとこしゃり>

<知床斜里駅から眺める斜里岳>

<今年は世界遺産登録5周年>

 すぐに駅前のホテルにチェックイン。今回も駅の目の前にある「ホテルグランティア知床斜里駅前」。ここは全室ツインというリゾートタイプのホテルにもかかわらず、1週間前までの予約ならシングル利用で1泊朝食付き4500円と破格です。今回は5泊もすることに対する配慮か、高層階の7階の部屋でした。ありがたい気配りです。


<今回も駅前のホテルグランティア知床斜里駅前>

<7階のツインを独り占め>

 早速10階の部屋へ行き、とりあえず窓を開けて換気。「ああようやく到着したなあ。でもこれからすぐヒアリングだから、気合を入れていかんとなあ。」と思い、出かけるために窓を閉めようとしたそのとき。僕は大変な失態をしたことに気付きました。

 めちゃくちゃハエが入ってきてる・・・!!

 なんと、開けっ放しにしておいた窓からいつの間にか大量の蝿が部屋に侵入してきていたのでした。窓を開けたときに、漁港の魚臭い臭いがしていたけれど(確かに漁港も近い)、まさかこんなに蝿が潜んでいたとは・・・。一旦部屋に入ってしまった蝿は元気そのもので、部屋中をぶんぶん飛び回っています。その数はざっと40匹くらい。僕は泣きたくなりました。しかし蝿は明るいところに集まる習性があるので、幸いなことにまた窓に集まってきます。これはチャンスと思った僕は、フロントでもらってきていた新聞紙で一匹ずつ確実に処理していくことに。静かな斜里のホテルに、新聞紙で蝿を叩き落す音が響いたに違いありません。

 5分後。何とかあらかたの蝿を始末することができました。蝿に罪はないけど仕方がない。まだ数匹の蝿が部屋を飛び回っていましたが、もう出かけないといけない時間なのでここで打ち止めです。無数の蝿の死骸と、蝿を叩いたために汚れてしまった窓の汚れはティッシュで綺麗にして、とりあえず一段落。しかし前回も感じたように、どうも僕はここのホテルと相性が良くありません。どうして7階に蝿がたくさんおるのだ!と、やり場のない怒りがこみ上げてきました。

 しかしこれから大事なヒアリングでそうも言っていられないので、気を取り直して今日のヒアリング先である斜里町役場へ。役場はホテルから歩いて10分くらいのところにあります。役場では3時から5時までみっちり2時間、担当のOさんから話を聞かせてもらいました。Oさんに対応してもらうのはこれで3度目になるので、毎回申し訳ないという感じではあります。しかし3度目ともなると(というか3度目になってようやく)こちらもそれなりの前提知識がある中で質疑が出来たので、これまでで一番充実した聞き取りになったのではないかと思います。Oさんも途中からのって来て、いろいろと持論をお話してくれたし。役場を出たらもうすっかりと夕方でした。


<午後の斜里市街地>

<夕暮れの斜里市街地>

 ヒアリング後は一旦ホテルに戻ってから夕食へ。前回の斜里泊ではことごとく食事場所に嫌われたので、今回はネットで念入りに下調べを行いました。多くの人は「世界遺産という巨大観光地の知床に泊まってるんだから、飲食店なんて腐るほどあるだろう」とお思いかもしれません。でも僕達が泊まっているのは知床半島の付け根に当たる斜里町市街地。世界遺産知床の観光拠点であるウトロは、斜里市街から半島の先方面に40kmも離れています。東京だと東京−八王子より少し長いくらいの距離。だからこそ斜里は知床観光の玄関口ではあっても、決してホテルが立ち並ぶような観光地ではありません。そんな北海道の小さな町で、おいしい店を見つけること自体困難ではないのか。

 しかし我々探しました。もうあれもないこれもないと言われる店には行きたくない。探せばあるもので、ホテルの近くに評判の良い寿司屋があるらしい。回らない寿司は少し怖いものがありましたが、調査初日ということで、これから頑張ろうという意味を込めて、勇気を出してその寿司屋へ。 「すし善」 という店です。座敷についてまずはビールと肴になるようなものを何品か。北海道産のししゃもとほっけ焼きは当たり前のようにおいしい。かにの内子・外子という珍味もあったので注文しました。内子が卵巣、外子が卵のようです。しょうゆ漬けにされた外子はプチプチとした食感がたまりません。内子は冷凍して固めてあるようで、少し解凍してから食べてくださいということでした。しかし待ちきれずにシャリシャリの状態で食べてしまった。「斜里だけにシャリシャリしてますね」と言っていたD1Y君はスルーして、内子は不思議な味でした。濃厚だけど口の中でするっと溶けていく。味があるようでないようである。うーん・・・。

 〆は特上寿司を3人前。並750円、上1250円、特上1600円の三種類あるところで、今日は奮発して特上3人前。当たり前のようにおいしかった。おいしいものを食べるのは調査の醍醐味です。いいヒアリングが出来たあとは一層おいしい。特上寿司を初めとして結構食べて飲んだにもかかわらず、1人3500円程度という安さでした。北海道は安い。


<お通し>

<道産ししゃも>

<カニの内子>

<カニの外子>

<ホッケ>

<特上寿司3人前>

 7時前にホテルに戻り、さすがに徹夜で眠かったので一旦仮眠を取り、9時から今日のヒアリングのまとめと明日以降の打ち合わせ。自分の部屋に戻って寝たのは1時頃。始末し損ねた数匹の蝿がぶんぶん飛ぶ中で寝るのは拷問に近いものがありました。


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