このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

東京見聞録  
2008年3月10日(月) <唐津(虹の松原、唐津城、曳山展示館)、佐賀(佐賀城址)>


<羽田からひとっとび>

 今日から帰省。ドル箱路線である羽田—福岡間の飛行機は、羽田—札幌間に次いで頻繁に飛んでいるため、格安運賃の設定も豊富です。特に朝一番の便は割引率が高く、お金がない貧乏学生にはもってこい。2便目以降が安くても片道17000円するのに対し、始発便は13000円前後です。始発だと残りの時間も有効に使えるし、時間があるならこれに乗らない手はありません。

 朝5時過ぎに家を出て、山手線・京急と乗り継いで羽田空港へ。今回は国内線では初めてANAを利用するので、第二ターミナルビルです。第二ターミナルビルを利用するのは初めてですが、さすがに新しいだけあってスタイリッシュで綺麗。まだ6時前だというのに、空弁屋やお土産屋は開いていて、商売というのは大変だなぁと感心します。


<吹き抜けエスカレーター>

<第二ターミナル>

 福岡行きの始発便は6:25発で、これは羽田空港全体の始発便でもあるみたいです。6時過ぎには保安検査を通り過ぎ、定刻よりも少し早めに搭乗手続きがスタート。そして定刻よりも早めに離陸しました。飛行機が苦手だと何度も言っている僕ですが、最近の新幹線から飛行機へのシフトで、さすがに飛行機には慣れたというか何というか、恐さはかなりなくなってきています。やはり慣れですね。

 東京は朝から雨が降り出す天気だったので、上昇中は何度も揺れましたが、それを通り抜け高度8000mくらいでようやく青空が広がりました。シートベルト着用サインも消えたことだし、窓の外の写真を撮るかとデジカメで写してみると、撮った写真の右下に黒い斑点が!これはデジカメの故障なのか?この黒い斑点を消すべくデジカメを振ったり電源のオンオフを繰り返したりしてみましたが、これ以降黒い斑点が消えることはありませんでした。ということで、ここからしばらくは右下に黒い斑点付きの写真でお送りします。しかし、これはめちゃくちゃテンション下がる。まだ買ってから1年経ってないというのに。。


<出発前>

<空を飛ぶ右下に黒い点が・・・>

 テンション下がりながら、空港で買っておいたまいせんのカツサンドで朝食。テンション下がっている上に朝からトンカツは結構重いです。そしてテンション下がったまま、8時10分前に福岡空港に到着。定刻よりも15分早く到着しました。しかし飛行機は本当に速い。新幹線だったらまだ名古屋にも到着してないはず。どんよりした東京とは違い、福岡はよい天気です。

<唐津 虹ノ松原・唐津城・唐津くんちの曳山・イカを食べる>

 JRか高速バスに乗れば10時前には実家に到着しそうです。最初はそのつもりでした。しかし、朝早いしこのまま実家に帰ってしまうのは勿体無いような気持ちがむくむくと湧き出してきました。そして手元には青春18きっぷ。そういえばちょっとぶらぶらと旅行したい気分だった気がする。ということで予定を変更して、ぶらぶらしてから実家に戻ることに。福岡市内は既にほとんど見終えてるから、空港から電車一本で行ける佐賀県の唐津へ行くことにしました。

 8時22分、福岡空港から市営地下鉄・JR筑肥線直通の西唐津行き電車に乗車。博多駅、天神辺りまでは通勤ラッシュで混雑しましたが、姪浜を越えてJRの路線に入った辺りから乗客も少なくなってきました。目の前に広がるのは玄界灘。うーん、旅情。やがて電車は佐賀県に入り、9時28分、唐津駅から3駅手前の虹ノ松原駅に到着。虹ノ松原という名所の駅とは思えないほどこぢんまりした駅です。もちろん無人駅。


<虹ノ松原駅>

<松原>

 日本三大松原の一つ、虹ノ松原。今日はまずこの虹ノ松原を散策して唐津方面に向かうことに。虹ノ松原から唐津城までは約5kmで、朝の散歩としてはちょうどよい距離です。自然に囲まれての5kmだから体にもよいだろうと。しかし、実際に歩いて見ると海岸線は遠く、真ん中を結構大きな道路が通っています。しかも路肩が狭く、車がびゅんびゅん飛ばすもんだから危ない。おまけに昨日降った雨で路肩はぬかるんでるし。松原は素晴らしいものでしたが、結構歩くのは大変でした。

 2kmくらい歩いたところで、海岸に抜ける道を見つけたのでそっち方面へ。海岸に近い松は海から見て陸地の方に傾いています。おそらく波の作用でしょう。この松原は唐津藩の初代藩主、寺沢広高が防風と防潮のために植えたものだそうですが、長い年月をかけて斜めになっていく様が不思議です。


<道路が通る虹ノ松原>

<傾いている松>

 やがて海岸へ。松原といえばやっぱりこれですね。遠くに唐津城も見えます。海岸を散歩しつつ、唐津城を目指すことにしました。危ない道路を歩くよりも、こっちほうが断然いいです。潮風が気持ちいい。


<唐津の海岸線>

<遠くに唐津城が見える>

<玄界灘>

 唐津城は見えていますが、なかなか近付いてきません。おまけに砂浜なので足を取られ、なかなか歩きにくいものがあります。30分かかってようやく唐津城に到着しました。

 唐津は昔おじさん一家が住んでいたので、小学校低学年の頃3回ほど来たことがあります。そのときに家族と一緒に唐津城に登ったこともあるので、「唐津城はああいう感じのところだった」という記憶がずっとあったのですが、今回久しぶりに来てその記憶が全然違うものだということに気がつきました。あれ、唐津城ってこんなところだったっけ?と。人間(というか僕)の記憶というものは本当に頼りにならないものだと痛感しているところです。


<唐津城>

<石段を登って天守閣へ>

<天守閣>

<藤棚>

 唐津城天守閣へ。2階、3階は展示室になっており、唐津城の歴史や唐津城から発掘された備品、唐津焼などが展示されています。城の中はコンクリート作りですが、結構造りが古いので昔からある天守閣なのかな?と思っていました。しかし、説明文をよく見てみると、もともと唐津城には天守閣は存在しなかったらしいです。それを昭和40年代に作ってしまったと。だからこの天守閣は模擬天守ということになるそうです。何か騙された気がしないでもないですが・・・。昭和40年代に作られたから、中途半端に古いわけね。

 唐津藩は江戸幕府の重要な拠点として、譜代大名が入れ替わり立ち替わり支配をしたらしく、江戸時代270年間で藩主家が6家も交代していたと。県庁所在地の佐賀藩は鍋島氏による支配がずっと続いて、いわゆる薩長土肥の一つだから、佐賀と唐津で文化は結構違っていたのかもしれません。幕末は敵同士だからね。

 天守閣4階の展望台から見える景色は素晴らしかった。


<虹ノ松原を眺める>

<玄界灘と島々>

<唐津市街地>

 唐津城を下りて、少し歩いて唐津神社へ。その前に、唐津城下にあった唐津東高校の御挨拶の横断幕がありました。中高一貫になって、去年の秋に東唐津駅前に移転したそうです。こういう横断幕はいいですね。唐津東高校は藩校からの流れを汲む伝統ある高校で、現在でも県下有数の進学校だそうです。

 唐津くんちで有名な唐津神社に到着して、参拝してきました。


<移転した唐津東高校の御挨拶>

<唐津神社>

 唐津神社の隣にある曳山展示館へ。唐津くんちで使用される曳山が展示されています。入場料300円で、曳山を見るのに300円か・・・とは思いましたが、入ってみると曳山は迫力があって見事でした。製作が文政4年、とかのものも。迫力がある割には煌びやかで繊細で、細部まで拘っているのが分かります。ビデオで唐津くんちの様子が流れていましたが、できればこの曳山が動いている本物の祭りを見てみたい。


<曳山が並ぶ>

<曳山>

 曳山展示館から商店街を通り、唐津駅へ。ちょうど昼前だったので、早めの朝食を取るべく、駅前にある アルピノ(唐津市ふるさと会館)3階にある「お食事処 地産食彩からつ」 へ行ってきました。唐津に関しては今日行くことを決めたので、全然店のリサーチとかしていません。だから、まあこういうところなら当たりがない代わりに外れもないだろうと。

 広い店内ですが、まだ昼前なのでほとんど客はいません。唐津の近くにはイカで有名な呼子があるので、お薦めという烏賊シュウマイ御膳(1200円)を注文。イカしゅうまいの他にも、イカの刺身も出てきました。めちゃくちゃおいしい!というわけではないけれど満足。イカしゅうまいはこういうものなのか、と分かったし。欲を言えば、もう少しイカ刺しが新鮮なものならありがたい。

 食事後は電車の時間まで1階にあるお土産屋で唐津土産を物色。唐津といえば松露饅頭なので、家族へのお土産用に購入し、あとは「からつ茶そのまま」なるペットボトルのお茶を買ってみました。普通のペットボトルよりも少し安い130円。地産地消だしこれはいい。


<烏賊シュウマイ御膳>

<唐津っ子がノッテいます>

 買い物後、昔の記憶を辿るべく唐津駅前をぶらぶらしてみましたが、どうにもこうにも僕が記憶している唐津ではないような気がします。昔来たときはもう少し都会で、駅前にマクドナルドがあって、「あぁ結構栄えてるんだ」と思った記憶があります。唐津といえばその記憶で20年近く過ごしてきました。しかし、今日見る唐津にはマクドナルドもなく、駅前には以前のような活気がありません。さて、これは一体どういうことなのか?昔見た唐津は僕の幻だったのか、それとも20年で街並みが変わってしまったのか・・・。謎だらけです。


<唐津駅>

<駅前工事中>

 唐津駅構内に入ると、金持ち神社なるものがありました。何でもこの駅に勤める駅長さん?が「金持」という名前で、縁起がいいということで神社にしてしまったそうです。すごいですね。その金持さん自身はお金持ちなのかというのは非常に気になるところですが。ホームに上がってからつ茶を飲んでみましたが、濁りがあって結構いけます。


<金持ち神社>

<からつ茶>

 唐津駅から、12時56分発の唐津線佐賀行きに乗り、一路佐賀県南部の県庁所在地、佐賀市へ。佐賀県第1の都市と第2の都市を結ぶ電車が2両のディーゼル、しかも途中駅では後ろの車両のドアは開かない、ということには驚きましたが。佐賀までは1時間20分の旅です。途中で乗ってきては降りする高校生達の会話を盗み聞きしつつ、うとうとしながら佐賀へ。

<佐賀を探そう>

 2時14分、佐賀県の県庁所在地、佐賀に到着。


<黄色いディーゼルカー>

<佐賀にやって来た>

 佐賀はさすがに県庁所在地というだけあって、唐津に比べると駅前も栄えています。


<佐賀駅>

<佐賀駅前>

 佐賀ではとりあえず歩いて佐賀城址へ。駅から佐賀城址まではこれまた結構な距離がありますが、メインストリートを歩いて行きました。昼過ぎから気温があがり、コートを着ていると汗ばむほどの天気。佐賀市内を歩いていると、ムツゴロウをモチーフにしたオブジェをよく見かけます。マンホールのデザインもムツゴロウ。昨今マンホールの模様はその都市を象徴するものが描かれていることが多いので、佐賀の象徴はムツゴロウということでしょう。有明海近いしね。調べてみると、ムツゴロウ薬局という名の薬局もあるみたいです。


<ムツゴロウのオブジェ>

<マンホールもムツゴロウ>

 まずは佐嘉神社にお参りし、佐賀城址へ。現存する鯱の門(重要文化財)をくぐると、新たに復元された本丸に 「佐賀城本丸歴史館」 があるので入ってきました。


<佐嘉神社>

<佐賀城鯱の門>

 佐賀城本丸歴史館は最新型のきれいな展示館ですが、入場料は原則無料(寸志あり)。中は畳敷きの本丸を再現しつつ、様々な学習型展示を備えているというなかなか楽しめる場所です。ここで勉強したことを一つ。佐賀は国内で一番最初に反射炉を作った藩だということ。佐賀藩は西洋科学を積極的に取り入れていたと。反射炉といえば韮山しか知らなかったので勉強になりました。

 展示内容は、佐賀は薩長土肥の一つなので、明治維新でいかに佐賀の西洋科学が新政府軍の役に立ったかという書き方になっています。この辺の説明の仕方が、土地によって違うのが面白いところです。幕府方だった仙台や会津若松では「いかに新政府軍が卑怯で残虐極まりなかったか」という視点なのに対し、新政府軍側の佐賀は「いかに佐賀の技術と人材が役になったか」という書き方。同じ日本なのに、それも自治体の公式な展示館なのに、歴史認識には差があることが分かりました。

 帰りはもうあるくのはきついので、バスに乗って佐賀駅まで。バスだとたった10分で着いてしまって楽です。そろそろ歩いてばかりではなく、効率よく移動することも考えないとなぁ。

 帰りの電車まで時間があったので、駅構内をうろうろしてみましたが、また「○○に行ってきました」という例のお土産を見つけました。今回はそのままズバリ、「佐賀に行ってきました」。なんで九州はこういう安易なネーミングのお土産を作るかね?僕はこれを見るたびに腹が立って仕方ありません。ウケを狙っているのかもしれないけど、これって名前を考えることを放棄したお土産だし。実際こういうお土産をもらって嬉しいか?本当にもう。これだったら松露饅頭の方が100倍いいです。


<「佐賀に行ってきました」お土産>

<お土産の松露饅頭>

 佐賀発3時58分の電車に乗って長崎本線で鳥栖まで出て、鳥栖で鹿児島本線の門司港行きに乗り換え。終点一歩手前の門司で下関行きに乗り換えて、6時半に下関に到着しました。朝が早いと時間が有効に使えますね。


二日目へ→

旅行記トップにモドル

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください