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東京見聞録  
2006年12月30日() 六日目   <出雲→益田→山口→下関>


西の京、山口>

 最終日の朝を迎えました。朝はこの旅一番のゆっくりした起床で、7時20分。とはいっても寝たのは2時半だったので、眠いと言えば眠いです。。このホテルには結構いい朝食サービスがついているのですが、長く寝たかったので朝食はパスしました。食欲よりも睡眠欲のほうが勝っています。

 7時55分の山陰本線に乗って島根県西部の益田へ。快速で結構飛ばすものの、益田までは2時間半かかります。車窓に見える海を眺めていると、どことなく自分の田舎の風景に似ていて、戻ってきたんだなぁという距離的な近さを感じるようになりました。やっぱり北陸と山陰では景色もどことなく違うのです。

 益田に到着し、ここで乗り換えのために約1時間の待ち時間。もう少し時間があれば益田の町に出て観光でもと思ったけど、1時間では結構厳しいので、待合室で朝食を食べておとなしく待つことにしました。キオスクで売っていた「さざえめし」。さざえの出汁がしみこんでいる炊き込みご飯がおいしい。


<益田駅>

<さざえめし>

 益田からは山口線に乗り換えて山口へ。写真の黄色い列車を見ると、地元に帰ってきたなぁという気分になります。


<戻ってきた気になる黄色>

 1時12分、山口駅着。実のところ結構疲れていたい、今回の旅行の主目的地は北陸・北近畿なので、山口には寄らずに下関に帰ろうかとも思ったのですが、ここで山口に寄らないと今後山口に来ることはなんじゃないかと思って無理矢理降りました。小学校の社会科見学とか家族のドライブとかで何回か来たことはあるけど、列車を利用して山口駅で降り立ったのは初めてです。で、びっくりしました。県庁所在地の駅とは思えないほど質素。駅前はひたすら寂れている。さすが、47都道府県の県庁所在地で最小人口を誇る都市だけのことはある。山口県、県庁所在地がこれでいいのか?


<山口駅>

<山口駅の中>

<山口駅前>

<山口駅前のメインストリート>

 山口では自転車を借りてぶらぶらすることにしました。駅の観光案内所で自転車を借りると、おばちゃんの山口弁が心地よい。駅前をぶらぶらと漕いで行っても街はひたすら寂れていますが、この寂れ具合がなぜかしっくり来ます。やっぱり下関に似ているのかもしれません。北陸と山口じゃやっぱり違うのかもしれない。

 かつて大内氏・毛利氏の城下町であった山口は大変栄え、その繁栄振りから「西の京」と呼ばれていました。今では街の活気という点では西の京の陰も形もありませんが、西の京を偲ばせる史跡は多く残っています。山口に来るのは小学校4年生の社会科見学以来16年振りなので、当時行ったところもほぼ忘れているわけで、今回は西の京の史跡の中でも代表的なサビエル記念聖堂と瑠璃光寺へ行くことにしました。

 駅から2キロくらい自転車で行くとサビエル記念聖堂。ザビエルが山口でキリスト教を布教したことを記念して建てられた教会ですが、1991年だっかに火事で全焼してしまいました。再建されたのが確か1998年だった気がします。僕が昔見たのは焼失する前の教会だったから、新しい教会はどんなものやらと楽しみにしていたけど、実際見てみると何やらえらくモダンな建物になってる。昔はもっと質素で普通の教会だった気がするんだけど。。進化しましたねぇ。


<サビエル記念聖堂>

<サビエル像>

 サビエルを見てから県庁方面へ。驚いたことに、山口市内の交通標識ではサビエル記念聖堂が「サビエル」と略されています。瑠璃光寺→3km サビエル→1km という感じ。何も知らない人が見たら、サビエルとは何ぞやと不思議に思うに違いないです。山口も変なことするもんだ。

 県庁では大正時代に建てられた旧県庁を見て、その隣に聳える現県庁を見てみました。確か県庁には小学校4年生の社会科見学で来たような気がします。はっきり覚えてないけど。。あの時は他にどこに行ったんだろうか。ザビエルにも瑠璃光寺にも行ってないような気がするけれど。


<旧県庁>

<現県庁>

 さらに自転車を漕いで、瑠璃光寺に到着しました。ここで有名なのは国宝に指定されている五重塔。かの大内義弘を弔うために、弟の盛見が建立を計画し、1442年に建てられた、大内文化の傑作だそうです。確かに、庭と池にたたずむ五重塔はとても画になります。思わず立ち止まって見とれてしまいました。これは素晴らしい。


<瑠璃光寺五重塔>

<こちらが瑠璃光寺>

<毛利家の墓>

 瑠璃光寺に参拝し、瑠璃光前にあったお土産屋のようなところでそばソフトを買って食べてみました。そばの実をサービスしてくれて、食べた感じはしゃきしゃき。でもあんまりそばの味はしなかったような・・・。

 さて駅に戻るか、と自転車に乗ろうとしたとき、目の前に「東京庵 そば寿司」という文字が見えました。これは!!ずっと探していたまさにそば寿司ではないか。そば寿司とは酢飯のかわりにそばで太巻きを作り、そばつゆ風のタレにつけて食べるものです。昼食をまだ食べてなかったので、店に入って持ち帰りでそば寿司1人前を購入。店で食べた方がよかっただろうけど、列車の時間があったので持ち帰ることにしました。しかしほら、やっぱり山口にそば寿司はあったのだ。

 大学1年の五月祭、サークルの模擬店で何を出すかという話になり、僕はそば寿司を提案しました。そしたらみんなが「そば寿司って何だ」というので、上にあるような説明をしたら、「そんなもん見たことない。あるわけないじゃん。」とみんな大笑いしたのです。当時はくそぅと思ったけど、実際に店を知らなかったので反論できず、泣き寝入りしたのでした。でもほら、やっぱりあるじゃないか!と僕は6年の時を経て、ようやく自分が正しかったことを声高に叫ぶことができます。よかったよかった。

 そのそば寿司を持って山口駅へ戻り、電車の待ち時間を利用してそば寿司を食べました。不思議な感覚です。そばのような太巻きのような、両方の味がするけど何だかおいしい。また食べたいわ。


<そばソフト>

<やっぱりあったそば寿司>

 そば寿司を食べ終わり、あとは下関に帰るだけ。3時39分の電車にのり、新山口で乗り換え、5時47分に下関に到着しました。迎えに来てくれた父の車に乗って実家に辿り着き、これで今回の旅行はお終い。長い6日間でした。

 北陸はおいしかった。今度は是非とも冬の蟹を食べに行きたいと思います。


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