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東京見聞録  
2008年3月15日() <那谷寺、金沢(兼六園、金沢城公園)、山代温泉泊>


那谷寺>

 *先日の旅行記から続けてみると、繋がりがよくわかります。

 福岡・天神を朝5時44分に出る地下鉄に乗って福岡空港へ。福岡空港は大都市の中では最も市街地に近く利便性の高い空港なので、ものの10分で着いてしまいます。これは嬉しいことですが、今日は逆に少しでも電車の中で寝たいので地下鉄への乗車時間が短いことは残念なことです。


<朝の天神地下街>

<まだ開いてない保安検査場>

 福岡空港に到着し、北陸の小松行き飛行機が出る第1ターミナルへ。福岡空港は主要空港(羽田・伊丹・関空・新千歳)への便が第2ターミナル、その他の小規模空港・離島空港への便は第1ターミナルのようです。いつもは第2ターミナルを利用するので、今回初めて第1ターミナルを利用しましたが、第2ターミナルと比べると心なしか古くて小さいような気がします。6時前に着いてしまい、空港業務はまだ始まっていないので、ロビーで休憩。オールナイトかつ風邪で、体調は最悪です。喉は痛くて寒気がします。こんなことで果たして二日間持つのかが心配。喉スプレーをこれでもかというほど吹き付け、うずくまって待ちました。

 小松行きの飛行機は7時55分発。朝食でも食べたいところですが、全く食欲がありません。搭乗ゲートの端の席にじっと座ってうつらうつらしつつ待ち、ようやく搭乗して離陸。飛行機はほぼ満席で飛び立ちました。最近飛行機に慣れてきたとはいえ、さすがに寝るなんてことはまだできません。そこまで肝は据わってない。体調と気圧の関係か、飛行中はドキドキして熱くなって大変でした。


<朝の福岡空港第1ターミナル>

<小松行きANA便の飛行機>

 9時20分、石川の小松空港に到着。やはり飛行機は速い。今日は本当は新幹線+特急で行くか、それとも飛行機で行くか迷いましたが、値段がほぼ同じならと飛行機にしました。新幹線+特急だと6時半に出ても金沢に着くのが1時前後になってしまいます。対して飛行機は福岡から立った1時間20分。やっぱり時間は有効に使わなければ。

 小松空港から連絡バスに乗って小松駅に到着しました。さてここからどうするか。今日から二日間は学部時代の学科のみんなとの旅行で、集合は東京から来るみんなに合わせて1時半に金沢駅となっています。この時点で本当にもう辛いので、金沢に出てマンガ喫茶で休もうかと思いましたが(昨日もそういうことを考えたような・・・)、旅行に来ているのだからそんなことをするのは勿体無いと、やはりぶらぶらすることに。本来の僕なら風邪をひいたらすぐに家に帰って休みますが、旅行中だとこれが全く別人のように行動してしまいます。普段からこうだったらいいのに。

 ということで、以前から訪れてみたかった那谷寺へ行くことにしました。小松駅から10時ちょうどのバスに乗り、40分かけて那谷寺へ。バスの乗客は最初から少なかったけど、那谷寺まで乗ったのは僕一人。土曜日の午前中だというのに、何だか寂しいなぁ。那谷寺のバス停について帰りのバスを確認してみると、何と3時間後までありません!これでは金沢での集合時間に間に合わない。もう一つのバス停を見てみると、1時間半後に加賀温泉駅に向かうバスがありました。しかしこれも、このバスに乗り遅れると次は3時間後とか。便数少なすぎ。もっときちんと確認してから来るべきだった。

 気を取り直して那谷寺へ。三門をくぐると、苔むした世界が広がっていました。何となく、福井の永平寺の雰囲気に似ています。地理的に近いのもあるのかな?本堂でお参りし、境内を先に進むと、池の先には崖があり、その崖の中腹には仏様が祭られています。自然と一体化している姿が見事。


<三門>

<苔むした境内>

<苔むした境内その2>

<自然と調和した庭園>

 その崖の仏様の横にあるのが本堂。重要文化財に指定されているそうです。何となく、京都の清水寺のようなつくりに似ている気がします。本堂の中は自然の洞窟になっていて、その洞窟をぐるりと一周することでお参りしたことになるそうです。ひんやりした洞窟内を巡ってお参りしてきました。しかし写真をみて思いますが、那谷寺の本堂は絵になりますね。


<本堂>

<本堂は岩屋になっている>

 本堂から歩いて進むと、三重塔があります。これも重要文化財らしい。しかし現在三重塔は改装工事中でした。かろうじて、内部の様子を伺うことはできたので、その写真を右に。


<三重塔工事中>

<ちょっと見えた第一層目>

 そして見晴らしのよい場所から一枚。この写真の色は暗いですが、那谷寺は紅葉の名所だということで、きっと晩秋には素晴らしい景色になるのでしょう。その時にもう一度来てみたい。

 その後は松尾芭蕉の句碑や護摩堂、鐘閣といった重要文化財をみて、那谷寺内を一周しました。那谷寺は結構広く、散歩のし甲斐があります。ほんと、秋は綺麗だろうなぁ。境内は結構アップダウンがあって、つるつる滑る岩を歩いたりするので、靴にはご注意を。


<護摩堂>

<鐘閣>

 那谷寺を見終えたらちょうど11時50分のバスの時間だったので、バスに乗って加賀温泉駅へ。バスは地元のおばあさん御用達となっていて、彼女達の大切な足なんだろうと思います。調べてみると、このバスは3月一杯で廃止になるということで、これから先、交通機関を失ったお年寄り達はどうするのだろう。

 加賀温泉駅に到着。今日の宿は加賀温泉郷で、夜にはどうせ加賀温泉駅に戻ってくるので、何なら体調も悪いことだし先にホテルに行ってしまうか、なんて悪魔のささやきが聞こえてきましたが、そこはぐっと我慢して金沢に向かうことにしました。そんな、みんあを裏切るなんてことはできないわ。というか、一人でホテルに向かわなくて正解だった今だからこそ思います。

<金沢 兼六園と金沢城公園>

 加賀温泉発12時27分の電車に乗って約1時間、1時23分に金沢駅に到着。1年3ヶ月ぶりにやって参りました、北陸最大の都市・金沢。金沢は二度目ですが、前回の嫌な思い出(主に小蠅が飛び交うホテル。詳しくは2006年12月の旅行記をどうぞ)を払拭するいい機会でもあります。相変わらず体調は不安定なままなので、喉スプレーを吹きつけて準備を整え、東京からやってみたみんなと無事合流しました。


<金沢駅のオブジェ>

<どうも京都駅に似ているような>

 金沢と言えばやはり兼六園、ということで、まずはバスに乗って兼六園へ。以前兼六園へ行ったときは雨の中駅からてくてくと歩いていって1時間近くかかり、最終的に足を痛めてしまったという悲しくて辛い思い出がありますが、今回のバスは何事もないかのように10分程度で運んでくれます。非常に楽です。これは地味にショックでした。やっぱり強がらないでバスくらいは使ったほうがいいかな。

 兼六園前で降りて、早速兼六園見物。前回は今にも雨が降りそうな天気でいまいちでしたが、今回はすっきりと晴れて絶好の散策日和です。遠くの景色をや庭園の苔を見たりして、兼六園を満喫しました。前回も兼六園については書いているので、今回は簡単に写真だけどうぞ。

 兼六園内には時雨亭という建物があり、この内部では700円で抹茶を飲むことができます。ここは前回一人で来たとき、一人じゃ入り辛いと入るのを躊躇したところです。しかし今回は団体様。何も恐がることなく入ることができます。一人旅もいいですが、こういう場面では絶対に数人で旅行することのメリットを感じます。ビバ集団。

 時雨亭内で抹茶と和菓子をいただき(朝も昼も食べてないのでこれが今日の初食事)、その後はゆっくりと時雨亭を見物させてもらいました。和菓子と抹茶がおいしかったのはもちろんですが、時雨亭から見える景色も素晴らしい。日が差し込む畳の部屋の縁側にいると、思わず寝てしまいそうになります。目の前には美しい庭が広がり、何と贅沢なことか。一日ここでぼーっとしていても飽きそうにありません。こういうのをほっこりっていうのかな?僕は今フローリングの部屋に住んでいますが、日本人を落ち着かせる不思議な力を持った畳は偉大だと改めて思いました。今度引っ越すときは畳がある部屋にしよう。


<抹茶をいただく>

<抹茶と生和菓子>

<時雨亭から庭を眺める>

<縁側に座って>

 一通り兼六園を満喫し、次は隣になる金沢城公園へ。以前と同様、今回も平成13年に復元された菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓に入ってきました。前回もそうでしたが、ここを見ると昔の人の建設に関する知恵・技術というものは凄いもんだと思い知らされます。


<菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓>

<木材だけで組み立てる>

 その後バスで金沢駅に戻り、一日目の観光は終了。電車に乗って再び(←僕にとっては)加賀温泉駅へ。鉄道系の会社に勤めているHYくんと時刻表を見ながらいろいろと話していると、周りのみんなから「てっちゃんだ」と指を指されました。。まあもう否定はしないけどさ。それは置いといて、時間が時間だったので沈んでいく夕日がものすごく綺麗でした。去年の鳴子温泉行きのときも電車から綺麗な夕日が見えたっけ。やっぱりこの電車から広大な大地に沈み行く夕日を見るというのは旅情を誘います。

 6時過ぎに加賀温泉駅に到着。意外かもしれませんが、みんなと行動しているうちに段々と風邪の症状が和らいできました。喉スプレーを多用したからなのか?

<山代温泉でカニを食べる>

 今日は山代温泉にあるとあるホテルに泊まることになっています。JRの駅名は加賀温泉駅ですが、実際に加賀温泉という温泉はなく、粟津温泉、山中温泉、山代温泉などを総称して加賀温泉郷というらしいです。駅前には宿の送迎車が迎えに来てくれていて、早速乗り込んで一路山代温泉の宿へ。

 宿に到着してびっくりしました。山代温泉街の一番高台にあり、見晴らしとしては素晴らしい立地です。そして宿も巨大。ロビーに入るとお香の匂いが漂ってきます。これは期待が高まります。何しろ学科の仲間との旅行で宿泊する温泉宿は毎年ランクが高いので、普段そういった宿に泊まらない僕としては年に一回のお楽しみです。しかし今回のこの宿ですが、結果的には残念ながら名前をイニシャルでBとさせてもらいます。理由は読んでいただけると追々分かります。

 ロビーで今回の幹事HYに手続きをしてもらい、仲居さんについて皆で部屋に。しかし、この仲居さんがどうも愛想が悪いというか、ああ何か嫌だなと一目見て直感で感じました。僕は人の顔や目つきでその人の性格を決め付ける気は全くないと前置き(言い訳)した上で言わせてもらうと、この仲居さんに対するファーストインプレッションは「この人絶対いろいろな人をいじめてるんだろうな〜」とか、「この人性格ひん曲がってそうだな〜」といった風でした。何かね、目が笑ってなくて据わってるわけ。


<豪華な雰囲気のホテルロビー>

<本日の部屋>

 部屋に案内されて、食事の時間などを打ち合わせましたが、このときはまあ特に嫌な思いをすることもありませんでした。ちょっと言い方ががさつできついけど、まあお茶も入れてくれたしいいかと。とういうことでお茶を飲んで落ち着き、それから皆で風呂へ。やっぱり旅行の醍醐味は風呂です。温泉に行こうと言われて嫌がる人はまずいません。日本人は温泉大好き。缶コーヒーのボスのCMでも、宇宙人が日本人の温泉好きを不思議に思っているくらいだし。

 ちょうど夕食の時間と重なっていることもあってか、大浴場はほとんど人がいませんでした。ほぼ僕らの貸切状態。昨日寝てないのと風邪のダブルパンチで疲弊しきってしまった体には本当に気持ちがいい。露天風呂もあり、半身浴をするとかなり快適でした。うーん、温泉文化のある日本に生まれてよかった。

 温泉を堪能したあとはお待ちかねの部屋出し夕食。夕食は北陸で今が旬のカニです。今日の夜カニが出るから、朝と昼を抜いたと言っても過言ではありません。これも一人旅ではなかなか食べられない一品。お膳の真ん中にどんと置かれたカニが存在感を醸し出しています。そして左上にはカニ鍋も。さらにはカニしんじょうと、まさにカニ三昧。焼きカニとカニの刺身がないのは残念ですが、そうなると値段も跳ね上がるので仕方がありません。ということで、食前酒の梅酒を飲んでからいただくことに。


<本日の夕食>

<カニをアップで>

<カニ鍋>

 さて、念願のカニではありましたが、よく考えると(考えなくても)カニは食べにくいです。まず殻を外して身を出さないと食べられません。カニ初心者の僕達はなかなか上手くカニの身を取り出すことが出来ず、皆無言になってカニと格闘する始末。温泉旅館の楽しい夕食風景とは違った、結構殺伐とした雰囲気が漂ったりもしました。やっぱりカニって食べにくい。カニの身を食べるのに必死になっていると手がべたつくのはもちろんのこと、無意識に背を屈めてカニと格闘してしまうので、気がつくと腰が痛くなっていたりもします。さらに食べるペースが遅くなるので、腹が膨れるのも早いです。

 だがしかし、さすがにカニはおいしい。手間をかけるだけの価値はあるというべきか。僕は一人でカニを一杯食べたことはなかったので、食べ終えてかなり満足しました。さすがに食べ過ぎて、カニはしばらくいいわという状態にはなりましたが。カニ鍋もカニの出汁がでておいしかったし、他にも出されたカニ以外の料理もおいしかった。

 さて、僕がこの宿をイニシャル表記にした理由はここからです。カニが一段落着いたところで、先ほどの仲居さんが〆のご飯と天ぷら、お吸い物を持ってきてくれ、同時にカニの殻を片付けてくれました。これは全く問題ありません。しかしこの後の対応で僕の怒りは湧き上がってきました。

 カニを食べていると手が汚れます。各人にはあらかじめおしぼりが用意されていますが、大量のカニの足を捌いているとそのおしぼりでは事足らなくなってしまいます。そこでぽてぽてさんが「すみません、おしぼりってありますか?」と聞きました。普通だったらここで、「はい、ありますよ」とか、例えなかったとしても「すみません、おしぼりは一人一つでやっていただいているんです」と答えるところです。しかしこの仲居さんはぶっきらぼうに「ありません」と答えたのでした。これには本当にびっくり。最初のことなので目が丸くなる程度のことでしたが、こういう受け答えをする仲居さんもいるんだと。結局仲居さんは使っていたおしぼりを洗ってきてくれましたが、ものには言い方ってもんがあるだろう、と思いました。

 その後仲居さんがお茶を出してくれましたが、これだけカニを捌いていると汗もかいてきます。カニを食べるのは格闘技といっても過言ではない。だからお茶よりも冷たい水が飲みたくなるわけです。そこで今回も我々を代表してぽてぽてさんが「すみません、お水もらえますか」と聞きました。ここでの仲居としての正解の受け答えは「はい、今お持ちしますね。他のみなさんはいかがですか?」といったところでしょう。しかしこの仲居さん、今回もぶっきらぼうに、「お水ですか?今(欲しいん)ですか?後ですか?」と聞いてきます。文章だけでは分かりませんが、その口調・表情から、すぐに水を持ってくるのがあからさま嫌なことが分かりました。ここでもう僕は「待て待て、この対応はおかしいんじゃなか?」と思い、怒りの導火線に火が付きかけましたが、まあまあまあまあと自分を言い聞かせて笑ってやり過ごしました。ここで怒ったらせっかくの楽しい旅行が台無しになってしまうから。結局仲居さんは水を持ってきてはくれましたが、何だか納得いきません。イライラは募るばかりです。客を不快にさせるとは、一体どういう仲居教育をしているのか?と問い詰めたい。まあ、あの仲居さんだけかもしれませんが。

 ということで若干の嫌な雰囲気を残しながらも、この日はそこまで怒ることなく終えることができました。実際僕が怒り心頭に達するのは翌日ですが。〆の天ぷらとご飯、デザートもおいしかったけど、いかんせん腹がはちきれそうなほど一杯で苦しくて仕方がありません。余ったカニミソを集めて、ご飯にのせて醤油をかけて食べるという贅沢な食べ方もしましたが、もうお腹一杯だったので何がなんだか。確かにおいしかったことはおいしかったですが、空腹状態で食べたらきっともっとおいしいのだろうと思います。


<〆のご飯モノ>

<贅沢なカニミソご飯>

 ということで、カニと格闘したり仲居さんにイラッとしたりしましたが、無事に夕食を食べ終わりました。かかった時間は何と2時間。普段10分程度で夕食を済ませてしまうこと考えると、何と贅沢な時間の使い方か。まさにスローフードでした。

 食後は布団を引いてもらいましたが、これまた引き方が雑なこと・・・。さっきの仲居さんではありませんでしたが、枕を無造作に投げて置いたりしています。客のいる前でこれはないだろう・・・と僕のトータル怒りメーターは少し上昇しました。

 満腹感で寝そうになりながらも、夜は部屋で酒・おつまみを囲んで飲み。僕は風邪薬を飲んでいるのと腹一杯なのもあって、日本酒を一口飲んだ以外はずっとお茶とジュースで通しました。我ながら珍しいことだと思いますが、翌日があるので体のことを考えなければ。いろいろと話しましたが、昨日寝てないのと薬の効き目、今日歩いたののトリプルパンチで日付が変わるころにはもう限界でした。2時前にお開きになってからすぐに就寝。


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