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東京見聞録  
2008年3月16日() <金沢(妙立寺、冶部煮、武家屋敷群、21世紀美術館)>


朝の出来事>

 7時起床。ここ最近では久しぶりに、夜中に一度も目が覚めることなく朝を迎えました。そしてそのまま朝風呂へ。昨日入ったときは「ここの宿は他に客がいるのか?」と思うほどガラガラでしたが、さすがに朝は結構な人が温泉に入っていました。それでも浴槽自体がかなり大きいので快適。

 さっぱりして8時から朝食。朝食も昨日と同様部屋食で、昨日の仲居さんが準備をしていて、まずは各自の火と網で魚を炙るところから始まりました。こういうのは風情があってよいです。魚をすぐに火が通るので、炙り終えた後には続いて湯豆腐を暖めることになっていました。写真で見てもらうと、蓋がしてあるのが湯豆腐です。僕はこれが何なのか分からず、暖める前に蓋を開けてしまっていたわけです。まあ写真を撮りたかったというのもありますが。恐らく湯豆腐であるんじゃないかという見当はついてはいましたが。


<朝の山代温泉街>

<朝食>

 魚を炙り終え、仲居さんが僕に「鍋の蓋をしてください」といいます。ああすみませんね、という感じで蓋をし、仲居さんがその鍋を火に乗せたので、僕はコミュニケーションをとるつもりでこう聞きました。「ああ、すみません。これも暖めるんですね。これは何ですか?」すると、仲居さんは「湯豆腐ですよ。さっき言いませんでした?」とつっけんどんに言ってきます。さっき、というのは恐らく皆が席についたあと、僕だけ荷物を取りに一瞬席を外したときなのでしょう。確かにそれを聞いていなかった僕も悪いかもしれない。しかし、昨日からのこともあって、この言葉で僕の怒りに火がつきました。

 「このやろう、ババア、昨日から聞いてりゃ何だその態度は!それが客に対する態度か!ふざけるな!」

 ・・・と言いたいところでしたが、ここは本当にぐっと我慢。頭の中がカッとなってふるふるしましたが、大人なので我慢しないと。高校生の時の僕はクレーマーすぱくりと呼ばれ、高校前の路地で危ない運転をしたにも関わらず逆切れしたタクシーに納得がいかず、タクシーの本社まで怒りの抗議電話をかけたこともあります。恐らく高校生の時だったら文句を言っていたでしょう。しかし、もう僕も大人。しかも今回は楽しい旅行。こんなところで怒って楽しい旅行を台無しにするわけにはいかないじゃないか。ということで、今回も怒りを押し殺して笑顔で、「すみません、聞いてませんでした。てへ。」といった感じで気弱な男を演じました。しかしその後も腹が立って仕方がなかったので、焼け食いでご飯3杯食べてしまった。料理自体はおいしかったからいいんだけど。

 その後も「送迎の時間は9時だけど、他にも一緒に送迎するお客さんがいるから遅れて迷惑をかけないように」とか言われ、5分前行動みたいなことを仲居から言われました。ここは中学校か。何だ、その他のお客さんの方が偉いわけ?客をランク付けするわけ?もうよっぽど言ってやろうかと思いましたが、我慢我慢・・・。僕らは特に宿に迷惑かけたわけでもないのに。

 ということで、あの仲居のせいでかなり宿全体の評価を下げてしまいました。立地1流、設備2流、接客4流の宿。設備はちょっと古さが目立つところがありましたが、まあそれは問題ないのでいいですが、接客には問題ありすぎです。こういうのって事前にウェブサイトや評価を見るだけは限界があって、実際に泊まらないと分からないから難しいですが。今回は本当に腹が立ったので、宿をイニシャル表記させてもらいました。僕はもう、あの宿には二度と泊まりません。今まで学科の旅行で泊まった宿は、どこもフレンドリーでよくしてくれただけに今回は非常に残念です。しかしこれを書きながらまた腹が立ってきてしまった。クレームの手紙でも送ることにします。

 8時55分にロビーに集合して送迎バスに乗り、加賀温泉駅へ。加賀温泉駅の北側には巨大な観音様があって、有名な寺でもあるのかと思いましたが、調べてみるとこれは観音様をモチーフにしたホテルや遊園地らしいです。バブル期に立てて倒産し、今でも観音様だけ残っているとか。でも最近になってホテルは再開したらしい。

 加賀温泉駅9時14分発の電車に乗って金沢へ。この日からダイヤ改正ということで、危うく乗り遅れそうになりました。


<観音様>

<加賀温泉駅>

<再び金沢 忍者寺と冶部煮と美術館>

 10時10分、金沢着。まずはバスに乗って、川を越えた寺町界隈にある妙立寺へ。別名「忍者寺」のこの寺は、前回の北陸旅行で行きたかったものの、時間が足りなくて断念したところでした。今回来ることができて、念願叶ったりです。見学は予約制で、僕らは11時からの回でしたが、人気スポットなのか結構な人がいます。


<妙立寺本殿>

<しかけの一部>

 妙立寺本殿内は写真撮影禁止だったので、ここからは文章で。まずは本堂に集められて、テープによる解説を聞きました。それによると、この妙立寺が加賀前田家にとってとても重要な寺であったことが分かります。100万石を誇る加賀藩は、幕府(700万石とも言われる)に次いで大きな勢力でした。しかも外様大名です。それゆえ幕府は、何かと言いがかりをつけて加賀藩を滅ぼそうと画策したそうです。それを防ぐべく、加賀2代藩主の前田利常は、江戸の将軍に謁見する際、鼻毛を伸ばしてバカ殿を演じ、「藩主がこんなに馬鹿なら放っておいても大丈夫だろう」と思わせたそうです。その一方、川沿いに寺院を造成し、戦いの際には最後の砦となるように備えました。その中心となったのがこの妙立寺だったと。普段は寺ですが、いざというときには戦の本拠地となるため、堂内には様々な仕掛けを施しました。その仕掛けゆえに忍者がいないのに忍者寺と呼ばれるようになった、とそういう解説でした。実際に忍者はいなかったわけね。

 その後は3グループに分かれて本堂内部の見学。僕らについて解説してくれたのは20代の男性で、恐らく暗記していると思われる解説には感心しました。言葉が澱みなく出てきます。寺自体も隠し階段、隠し部屋、隠し扉、落とし穴などなど、様々な仕掛けがあって、解説の男性の巧みな説明と合わさることで非常にエンターテイメントにとんでいました。隠し階段とか隠し扉とか、右と左で違うところに通じている扉とか。こういうのを見るとすごいワクワクします。階段途中には一度入ったら中からは出られない、窓のない2畳ほどのスペースがあって、敵に追い詰められた時に切腹する「切腹の間」があるなど、不気味さも兼ね備えています。

 しかし最後にちゃんとオチがあって、この寺で実際に戦いが行われることがなかったと。それまでは散々、あたかも戦いがあったかのような口調で説明しておきながら、最後に落とすという解説員さんの話術にも恐れ入りました。まあ、冷静に考えると戦いがあったら建物自体が残っているはずもないのだけど。でもだからこそ現代に見ることが出来たわけなので、平和だった江戸時代に感謝しなければ。

 ということで、忍者寺にはかなり満足しました。文章だけではお伝えしにくいので、是非皆様も足をお運びください。

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 妙立寺を見物し終わったらちょうど昼時。昼食です。の前に、宿から幹事HYくんの携帯に電話がかかってきました。聞いてみると、冷蔵庫のビール代(840円)を払ってもらってないという連絡らしいです。。確かに最後に払い忘れていた僕らも悪いですが、朝食の時にちゃんとあの仲居に言ったじゃん!結局振り込むことになりましたが、何だか納得いきません。本当に、最後まで手間をかける宿だ・・・。せめてもの抵抗で、振込み手数料は向こう負担にさせましたが、それでも納得いきません。何か老舗の名の上にあぐらをかいている印象の宿です。

 妙立寺から歩いて、金沢の繁華街である片町・香林坊へ。


<片町・香林坊>

<金沢にも109>

 香林坊から長町武家屋敷方面へ行き、 「四季のテーブル」 へ。郷土料理研究家の青木悦子氏が主催する、金沢郷土料理の店です。金沢に来たからには郷土料理を食べたいので、昼食はここで代表的郷土料理の「鴨冶部煮」(1800円)を。冶部煮は煮物みたいなものだろうと思っていましたが、実際食べてみると全然違うものだということが分かりました。おいしいです。醤油とみりんベースの出汁に、小麦粉をまぶした鴨を入れて煮込むので、出汁はとろとろしています。ワサビを溶くとアクセントになっていいし、具の生麩も味がしみこんでおいしい。これは予想外のおいしさでした。冶部煮丼というのもあるくらいだから、ご飯にも合う。自分でも今度一回作ってみようと思います。


<金澤ごちそう膳 鴨冶部煮>

<とろとろの冶部煮>

 食後は途中の和菓子屋で売っていた桜最中アイスを食べつつ、近くの長町武家屋敷群を散策。


<長町武家屋敷群>

<武家屋敷群を歩く>

<武家屋敷群を歩く>

<桜最中アイス>

 武家屋敷群から歩いて香林坊を抜け、 金沢21世紀美術館 へ。何かと話題の21世紀美術館なので、芸術にあまり興味のない僕でも行ってみたくなります。日曜日なので人も多いです。僕は芸術のことはよく分からないと前置きした上で、素人の感想を述べると、前衛的な展示が多くて楽しめました。特に触ることができる展示や、体感できる展示が多かったのはよかった。中には前衛過ぎて何を表現したいのか分からないものもありましたが。今は日比野克彦さんが主体となっていろいろな試みを行っているらしく、朝顔の種をもらったりもしました。感じとしてはどことなく箱根彫刻の森美術館に似ているような気がしないでもありません。まあ、僕は美術を語ることはできないので、薄っすい感想ですがこの辺で。。僕が語るより写真を見てください。

 21世紀美術館の中で、個人的に一番よかったのは下の写真の場所。天井の一部がくり抜かれていて、太陽の光が差し込みます。その光の下、暖かそうに眠る男性3人(赤の他人です)。盗撮っぽいですが、個人的にいい写真が撮れたと思ったので載せます。


<光が差し込む>

 これで金沢観光は終了。バスに乗って金沢駅に戻り、しばしのお土産タイムの後、特急・新幹線を乗り継いで東京に戻ってきました。金沢を3時過ぎに出て、東京に着いたのが7時過ぎ。やはり現段階では北陸は遠いです。途中ほとんど寝ていたので、それほど遠いとは感じませんでした、北陸新幹線が開通すればもっと早くなるのでしょう。ちなみに僕は、特急が通る北越急行ほくほく線にある「ほくほく大島」という駅がとても気になりました。ほくほくって。


<さようなら金沢>

<越後湯沢で乗り換え>

 4回目となる学科同期のみんなとの旅行も無事に終了しました。去年に引き続き、幹事のHYくんには本当にお世話になりました。いろいろとありがとう。宿の態度には納得がいきませんが、その他はゆったりできてとてもいい旅行でした。僕は一人で旅行をすると、基本的に日程をぎゅうぎゅうづ詰めにして歩きまくるので、こういうゆったりした旅行は本当にありがたいです。旅行というのは本来こういうものなのかもしれません。

 来年また行きましょう。


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