このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

東京見聞録
2005年2月10日(木) 最終日 <西表島を後に>


<西表島を後に 曇り

 最終日。この日はちょっと早めに起床。6時半に起きて外を眺めていました。


<ベッドから見た風景>

 昨晩ゆずるさんから「すぱくりは休みがなかったし、折角だから明日早く起きて帰る前に早朝カヌーに行ったら?」という提案をしてもらったんですが、いろいろ考えた結果丁重にお断りすることにしました。これから学生が60人以上やってきます。60人来たときにゆずるさんに負担が行かないよう、準備をしておかないと、と思ったのです。これまでは10人足らずのこぢんまちとした共同生活でした。でもこれから先、30人を越える人数での共同生活を迎えます。そうなった時のことを考えて、とりあえず現段階でできる準備をやっておこうと思いました。

 朝ごはんを食べて、仕事に行くみんなを見送る。ここでみんなとはお別れです。一週間という短い時間だったけど、ありがとう。誰もいなくなった(みなみちゃんだけは腰を痛めたらしく、今日はお休みだったけど)宿を、すのと二人で掃除。荷物を整理していると、お客さんが。そっとんです。僕らが今日帰るということを知って、仕事前にわざわざ来てくれたのです。玄関で30分ほど立ち話。嬉しかった。近い再会を約束してお別れ。

 12時のフェリーで帰ることを決めて、それまで準備。とりあえず今から来る学生の日程表を作っておきました。升目をきれいに作るのが面倒だった・・・。

 お腹が減ったので、近くにあるマナの店へ(佐藤家のバイトのマナちゃんとは関係ありません。。)マナの店は古見にある唯一の飲食物販売店で、焼きたてのパンが評判です。ほかにも「さおり体験」といって織物の体験もできます。今日の目的はさおり体験ではなく焼きたてのパン。店に着いたらちょうど焼きたてのパンが出来たところでした。ナイスタイミング。天然酵母パン、黒糖あんぱん、紅いもパン、コーンマヨネーズ、チーズパンを購入。

 いよいよ11時半。出発の時間。大原港まではゆずるさんに送ってもらいます。お別れの乾杯ということでゆずるさんにビールをもらって乾杯し、宿を後にする。今回も最後までお世話になりました。

 12時発の石垣行きフェリーに乗り込んで出発を待っていると、佐藤家の面々が。午前中の仕事を早めに切り上げて見送りに来てくれました。シバさん、マナちゃん、シュウさん、lovebeerさん、ありがとう。

 そしてついに出航。出航と同時に岸壁を走る佐藤家の人々。そしてマナちゃんとシュウさんが海にダイブして見送ってくれました。この日は結構寒かったんだけどな・・・。最後の最後まで本当にありがとう。

 西表島から遠ざかっていくフェリー。島の形がだんだんと小さくなっていき、20分ほどすると島は見えなくなりました。


<見送りの人々>

 定刻通り石垣に到着し、公設市場の3階にある食堂で昼食。「ジューシー定食ぐるくんのから揚げつき」を食べました。久しぶりにお金を払って食べる食事です。

 いつものことなのですが、東京から石垣にやってきたときは「石垣は何て田舎なんだろう」と思います。が、きび刈りを終えて西表島から石垣に戻ってきたときには「石垣は何て都会なんだろう」と思ってしまうのです。今回もそうでした。人間の感覚って不思議なものですね。石垣市すら物があふれている都会に思えてしまうのは、それほど西表の生活が質素で自然と共生する形のものだからなのかもしれません。

 その後、石垣→那覇、那覇→羽田と飛行機を乗り継いで帰京。東京は寒い。帰りの京急線で北海道から来たらしい女子高生が「東京あったかいね〜10度だってよ、気温二桁だよ?」と話しているのを聞いて、猛烈な違和感を感じてしまいました。西表は25度だったからな・・・。

 午後9時、無事に我が家に帰宅しました。

 こうして僕は、自分自身の日常に戻ってきました。西表がいくら素晴らしいところであったとしても、僕にとっては非日常でしかありません。非日常からはいつかは脱却しなければならない。日常への糧とすることはできても、そこで一生暮らすわけにはいきません。そっとんやシバさん、シュウさんと話して思ったことだけど、西表で出会った人みんながその辺を理解しているようで、それぞれが西表島での経験を元に、新しい生き方を見つけ、新たな道に進んで行っています。そして、自分自身もまたそうでなくては。こういう場にめぐり合うことができて、本当に幸せでした。

 今回は休みが一切なかったので、西表島の観光がないという意味ではつまらない旅行記になってしまったかもしれません。しかし、島の人の生活に入り込んでいくという意味では、今回も意味のある経験をすることができました。マングローブやカヌー、温泉といった観光はまたの機会に・・・。

 東京に戻ると、まるで西表島での生活が夢だったかのように感じます。
 西表島自体が幻だったような錯覚に襲われます。
 しかし腕の傷と日焼けを見るたびに、そんなことはない、と思うのです。
 西表島は確かに存在しています。 

 3回目のさとうきび刈りを通して自分が何を得られたか。
 これからじっくり考えていきたいと思います。

おわり 


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