このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

新潟・佐渡調査 1
2010年5月21日(金)  <新潟(朱鷺メッセ、萬代橋、たれカツ丼、新潟郷土料理)>


<日本海の政令指定都市 新潟>

 プロジェクトの今年度第2弾調査は新潟・佐渡。集合は午後3時に新潟ANAホテルだったので、昼過ぎの新幹線に乗れば十分間に合います。しかし。前夜仕事をしていたら夜中3時になってしまい、そこから寝ると寝過ごす危険性があり、寝過ごすと研究員失格の烙印を押されることは確実になるので、そのまま寝ずに先に新潟へ乗り込んでおくことにしました。最近過度なビビリになってしまっていて困ります。

 吉祥寺から中央線に乗って東京駅へ行き、上越新幹線の始発である6時8分発のとき301号新潟行き乗車。始発のときは団子鼻の200系で、車内も古きよき質素なつくりでした。いつもN700系に乗っていると、昔の新幹線はこんな感じだったなあという懐かしさにも浸れますが、やっぱりなんだかんだで古い感じがして、ううん・・・という感じ。そんな古い車内で食べるには古いものが良いだろうと、朝食は昔懐かしカツサンドにしてみました。昭和の食堂車の人気メニューだったカツサンドのレシピを再現したというもので、ケチャップ・マヨネーズ・マスタードという味付けは確かにシンプル。おいしかった。


<上越新幹線ときは200系>

<古きよき香りのする車内>

<朝食に昔懐かしカツサンド>

<ケチャップ・マヨネーズのシンプルな味付け>

 カツサンドを食べ終え、大宮を過ぎた辺りからしばらく熟睡。さすがに徹夜だったので眠い。目が覚めると越後湯沢を過ぎ、長岡に到着しようかというところでした。車窓に広がる新潟魚沼地方の水田は一見の価値があります。ちょうど田植えが終わった時期のようで、水を湛えた水田がどこまでも広がる様は、米処新潟の面目躍如といった風景です。

 8時14分、終点新潟に到着。電車の乗り換えで新潟に来たことはありますが、実際降りるのは初めてです。ちょうど通勤時間帯だったため、新潟に到着した在来線列車からは大量の乗客が吐き出され、さすがに政令指定都市といった多さの賑わいでした。写真だとあまりにぎわっているように感じませんが。。


<うまさぎっしり新潟へようこそ>

<新潟駅在来線>

<新潟駅万代口>

<新潟駅>

 とりあえず大きな荷物を預けるべく、まずは駅前の大通りを歩いて今日宿泊予定のホテルまで。


<新潟駅前大通>

<大通りの歩道橋から新潟駅を臨む>

 一旦ホテルに大きな荷物を預け、時間まで新潟の街をうろうろすることに。やはりまずは、新潟の全貌を見ておいた方がよいだろうと、朱鷺メッセにある展望台に上って新潟の街を上から眺めることにしました。信濃川の河口に位置する、複合コンベンションセンター朱鷺メッセの最上階が展望室になっていて、お値段は無料です。こういう公共施設の展望室は無料だからありがたい。展望室は最近流行のネーミングライツで、ばかうけの会社が命名件を得たようで、「Befcoばかうけ展望室」になっていました。ばかうけは新潟の会社だったのか。


<朱鷺メッセ>

<朱鷺メッセの展望台>

 展望室からは新潟の街を一望できます。左上の写真で言うと、信濃川をはさんで左側が新潟駅・万代シティ、右側が古町という繁華街。さすがに政令指定都市といった趣です。街のシンボルとなるような、大きな川がある街は羨ましい。


<南側 信濃川と新潟市街地>

<南側アップ 重要文化財の萬代橋>

<東南側アップ 万代シティとレインボータワー>

<北側 信濃川河口と新潟港>

 新しく訪れた街を観光する場合、個人的にまず高いところから街全体を眺め、博物館で歴史を勉強するというのが定番パターンになっています。特に新潟のような、コレ!といった超弩級観光名所がない場合はそうする確率が高いです。ということで、次は新潟市歴史博物館へ。朱鷺メッセから信濃川を挟んで向かいにありますが、近くに橋がかかってないのでぐるりと遠回りしなければいけません。水上バスに乗れたら4分で着くそうだけど、その時間でもない。まあ、信濃川沿いを歩く散歩と思えばそれも悪くないです。


<信濃川沿いを歩く>

<信濃川に船がとまる>

 信濃川沿いを歩いて柳都大橋を渡り、新潟市歴史博物館みなとぴあへ。の前に、敷地内にあった旧第四銀行住吉支店へ。昭和初期の西洋風建築物が移築復元されています。


<旧第四銀行住吉支店>

<旧銀行の内部>

 続いて新潟市歴史博物館へ。一見すると歴史的建造物のように見えますが、二代目新潟市庁舎をモチーフにして2004年に建てられた新しい建物だそうです。常設展は300円。新潟の歴史が一通り分かります。渟足柵(ぬたりのき)とか、高校の日本史を思い出して懐かしい。新潟は函館、横浜、神戸、長崎と共に日米修好通商条約で開港した五港のうちの一つですが、他の四港に比べて立地条件が悪く、あまり栄えずに外国人もそんなに多くなかったという記述がありました。確かに他の四都市に比べると異国情緒があまりありません。しかし、市の博物館がそういう自虐的なことを書くとは、新潟はなかなかやります。

 戦時中、新潟は小倉・広島・長崎とともに原爆の最終投下候補地になっていたため、大きな空襲を受けることなく終戦を迎えることが出来ています。しかし戦後、新潟大火と新潟地震で街は大きな被害を受けており、世の中何がどうなるか分かりません。


<新潟市歴史博物館本館>

<博物館内部>

<江戸時代の萬代橋のジオラマ>

<コシヒカリの収穫作業>

 開国五港の中で唯一当時のまま残っているという敷地内の税関庁舎を見て、ここからは先はレンタサイクルで新潟の街を巡ることにしました。新潟市は3時間100円のレンタサイクルを運営していて、市内の定められたステーションで乗り捨て自由ということで、これはなかなか使えます。というか、さっきの朱鷺メッセもステーションだったようなので、それならそこから借りていればよかった。博物館で借りた自転車はなかなか年季の入ったママチャリで、チリンチリンが壊れて鳴らなかったり籠がありえない形に変形していたりサドルに砂埃がたまりまくっていたりしていました。それでもきちんと動くだけましか。


<旧新潟税関庁舎>

<3時間100円のレンタサイクル発見>

 ボロボロの自転車でも漕ぎ出すと気持ちがいいもので、特に信濃川沿いの整備された道を走ると、流れる風景と風を切る感覚がたまりません。自転車の程よいスピード感。新潟は朝から暑かったので、風が気持ちよいです。新潟のシンボルである萬代橋を見て渡り、古い繁華街である古町へ。平日の昼間にも関わらずかなりの賑わいを見せていますが、ほとんどはお年寄り。まあ当たり前か。しかし大和という百貨店はそろそろ閉店するそうで、こういうのを見ると不況なのだと思わざるを得ません。

 新潟の現在の人口は80万を越えていますが、平成の大合併による合併前の人口は50万弱。市街地の大きさも、そのくらいの規模の都市と同じくらいの感じがしました。小倉や鹿児島、金沢、宇都宮といった繁華街の雰囲気に近いものがあります。


<重要文化財の萬代橋>

<萬代橋を通る>

<中心繁華街古町>

<残念ながらの閉店売り尽くし>

 古町を見て、次は白山公園へ。明治5年には開設されていた、日本で最初にできた都市型公園だそうです。園内にある白山神社にお参りしたあと、園内をぶらぶらと散策しました。まあ、一般的な都市公園かな。公園造成に尽力した当時の県令楠木正隆の像もありましたが、鳩か何かの糞がかかっていて何だか可哀想です。どこかの店が大きな音量でラジオをつけていたらしく、奥田民生のイージューライダーが大音量で公園内に響き渡っていたのがシュールでした。


<白山公園(白山神社)>

<白山神社楼門>

<白山公園>

<白山公園のお茶室庭園>

<白山公園の池>

<公園を作った当時の県令楠木正隆>

 白山公園内にある新潟県政記念館へ。旧新潟県会議事堂です。左右対称の堂々とした洋館建築。当時の議会の様子もそのまま再現されています。こういう公営の建築物は入場料無料なのがありがたい。


<新潟県政記念館(重要文化財)>

<記念館内部>

<当時の県会議事堂を傍聴席から>

<知事の席から眺めてみる>

 時間もちょうど昼になったので、再び古町に戻って昼食。新潟にもご当地B級グルメはたくさんあるようですが、今回はたれカツ丼にしてみました。新潟といえば米と酒と海産物のイメージなので、ある意味では異色です。なぜ新潟でたれカツ丼かは分からないところですが、有名といわれているのだから食べてみないわけにはいきません。たれカツ丼の元祖である「とんかつ太郎」へ行き、カウンターに座ってカツ丼(970円)を注文。店内には醤油の焼ける香ばしい匂いが漂っています。

 メニューに書いてあったたれカツ丼誕生秘話を読んでみると、概要は以下の通り。昭和初期、新潟は堀がめぐらされた水の街だった。その堀のそばには何軒もの屋台が軒を連ねており、この店も屋台発祥の店の一つである。当時の店主がハイカラだったカツをたれに潜らせてご飯の上に乗せたところ好評をはくし、それが新潟のカツ丼スタイルとして定着していった、と。特に新潟だったからという必然性はないようです。

 と、歴史を読んでいるうちにたれカツ丼が到着。醤油だれの香ばしい香りが漂ってきます。ご飯の上に薄く伸ばされたカツが5枚。薄く伸ばされたと言っても一枚が結構大きいので、5枚も合わさると相当な量です。外はサクッと、中はしっとり。醤油だれがご飯に合います。やや残念なのは、ご飯が少な目なことで、カツが余り気味になってしまいました。いや、そもそもカツが多いのか。とにかく、福井や前橋、駒ヶ根にもあるソースカツ丼とは違い、醤油たれカツ丼はあっさりしており、個人的にはこちらの方が好みです。他のメニューもおいしそうだったのでまた来よう。


<たれカツ丼の元祖、とんかつ太郎>

<たれカツ丼>

 食後はもう少し時間があったので、日本海を見ようと西海岸公園を目指して自転車をしゃこしゃこ。古町からは約2km程度です。新潟市街地は平地で走りやすく快適。しかし日本海が近づくにつれてやや坂道になります。途中にどっぺり坂という場所があり、ここは昔、坂の上に旧制高等学校があり、学生がこの坂を下りて市街地に遊びに行っていたことから、あまり行き過ぎると留年するぞということで、ドイツ語の留年・二重を意味する「ドッペル」から名づけられたそうです。ドッペルゲンガーと同じわけね。


<どっぺり坂>

<坂を上から。ここを降りて街に繰り出した>

 どっぺる坂は坂なので、自転車は迂回して坂を上り、しばらく自転車を走らせるとようやく日本海が見えてきました。いい天気なので海風が気持ち良い。ただ、海岸線は護岸工事のための工事中で、あまり雰囲気はよくありません。空気が乾燥していれば遠くに佐渡が見えるはずですが、朝からもやもやした天気だったので佐渡を見ることはできませんでした。


<ようやく日本海が見えてきた>

<工事中の海岸>

 もう少し行ってみたいところもあったけど、気温がぐんぐん上がって汗まみれになってきたのと、徹夜で体が限界を迎えそうだったこともあり、この辺りで新潟観光を切り上げることに。万代シティのレインボータワー展望台受付所で自転車を返却し、近くにあるユニクロで下着靴下類を5000円分買い、宿泊予定のホテルへと向かいました。

 新潟でのホテルはANAクラウンプラザ新潟。今回はある学会誌の編集委員会とジョイントした調査で、偉い先生方と一緒に泊まるので、このクラスのホテルになったようです。まだ1時過ぎと早かったですが、部屋の準備が出来ていたのでチェックインをさせてもらいました。こういう調査のとき、先生方はシングルもしくはツインの1人利用、若者はツインを2人で利用と相場が決まっているので、一応「ツインですよね?」と聞いてみると「そうです」との返事。まあツインを2人で利用したほうが、値段も安くなって(宿泊日当の差額分をいただけるので)ありがたいです。

 しかし部屋のカードをもらうときに、「それではツインをお一人で、明日ご出発のすぱくり様」となったので、いやいやそれは何かの間違いでは?聞きなおしても、ツインを一人で利用することになっているらしい。調べてもらうと、僕だけではなく参加者全員がそうだったので、事務方が配慮してくれたということでしょうか。1泊1万円するANAホテルのツインに一人で泊まるのは何か申し訳ない気がします。


<本日のホテル ANAクラウンプラザ>

<ツインを一人で使うという豪華さ>

 とりあえず落ち着くためにシャワーを浴び、一旦部屋で落ち着いてから続々と到着する皆さんをお迎えし、3時過ぎから会議室の一室を借りて懇談会。新潟水俣病の患者を診察し続けてこられ、今年80歳になられるS医師からいろいろと話を伺いました。今回の調査には本家水俣病の大家でもあるH先生も参加されていたので、さながら「二大巨頭夢の競演」といったところでしょうか。医学に「一律」といった対処は馴染まない、というのが話の核心だったように思います。僕が考える以上に問題の根は深く、そして複雑に絡み合っています。

 会合は5時過ぎに終わり、夕食の6時過ぎまでは自由時間。いつもならこの時間を利用して待ち歩きをするところですが、本当に限界が近い状態だったので部屋で仮眠をとることに。仮眠を取ったお陰で、頭がかなりすっきりしました。やっぱり睡眠不足はよくない。

 6時過ぎにロビーに集合し、タクシーに分乗して夕食会場の居酒屋へ。新潟駅にも近い 「旬彩庵」 という、小千谷のへぎそばが名物の店です。飲み放題コースで予約していたそうで、新潟の地酒飲み放題!久保田、〆張鶴、八海山に越乃寒梅と、勢いに任せて全銘柄試してみました。料理もそこそこおいしかったように思うけど、日本酒が効き過ぎてあまり覚えていません。先生方もよくお飲みになられる。せっかく偉い先生方がいたので、もう少し話をすればよかった。


<お通し各種>

<もち豚サラダ>

<季節の刺身>

<へぎそば>

 二次会は僕があらかじめ調べておいた郷土料理居酒屋 「五郎」 を予約。御高齢の先生方が帰られた以外は卍先生を初めとして皆さんお残りになり、10名以上で行くことに。金曜日の夜なので予約できるかどうか心配でしたが、何とか空いていました。よかった。下っ端はこういうところでしたお手伝いできないのが申し訳ないところですが。

 一次会で食べなかった新潟郷土料理を注文し、日本酒もいろいろ。栃尾油揚げは一度食べておきたかった一品。写真で見ると単なる油揚げにしか見えませんが、外側がかりっと焼けていて中身はしっとりと、さすがに普通の油揚げとは違うもんだと感心しました。あとやはり、新潟といえばのどくろの塩焼。900円と思ったよりもリーズナブルな値段で助かりました。ただ、のどくろを食べているときは正直酔っ払っていたので、あまり味を覚えていません。。隣にいたD1Y君のビールに日本酒を注いで、「日本版爆弾酒だ!」とか言ってたもんなあ。すみません。


<栃尾油揚げ>

<のどくろ焼き>

 11時過ぎにお開きになり、歩いてホテルへ。この後は少し溜まっていた仕事をしてから寝ようと思ったものの、疲れと日本酒の効果で30分もしないうちに眠りに落ちてしまいました。


二日目へ→

旅行記トップにモドル

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください