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新潟・佐渡調査 4
2010年5月24日(月)  <村上(黒壁の街並み、喜っ川の鮭)>


<村上 鮭と黒壁の街>

 6時起床。調査は昨日で終わったので、ここからは自腹エクストラステージです。しかし、全国的な大雨という天気予報で、朝の段階では新潟も午前中の降水確率は90%。幸いまだ小雨ですが、これから酷くなることを考えるとどうしようか、と悩みました。傘持ってないし。結局行けるところまで行って、きつそうだったら撤退することにし、8時にホテルをチェックアウト。新潟駅前のセブンイレブンで大き目の傘を買い、コインロッカーに大きな荷物を預けて新潟駅の改札をくぐりました。


<朝の新潟駅在来線コンコース>

<朝の新潟駅在来線>

 今回ターゲットにしていたのは新潟県最北部の街、村上。鮭と黒壁をはじめとする昔ながらの街並みが美しいところです。新潟からは普通電車で約1時間20分。今回は「えちごワンデーパス」というフリー切符を使います。新潟を中心として近郊都市までの普通列車が乗り放題で1日1500円。村上はフリーエリアの北限に当たり、普通に往復すれば2200円以上かかるので、700円はお得です。


<普通村上行き>

<新潟駅で出発を待つ>

 8時48分発の村上行きに乗車。出勤ラッシュを過ぎたのか、ボックス席を一人で占領できる程度の空き具合でした。強風の影響で接続する電車が遅れているとかで、5分ほど遅れて新潟を出発。程なく阿賀野川を越え、新潟市の郊外になり、一面の水田が広がりました。晴れていたらもっといい風景だったろうだけに、今日の天気は残念です。


<空いている車内>

<阿賀野川を越える>

 しかしこの見渡す限り水田が広がる地形のためか、途中の豊栄—佐々木の3駅間で強風のため徐行というアナウンスがあり、まずは豊栄で行き違いの列車の待ち合わせのため20分程停車しました。それまではそんなに風が強くないので、「徐行するほどのもんかねぇ」と思っていたら、豊栄を出てからの強風っぷりにびっくり。列車がひっくり返るんじゃないかと思うくらい、めちゃくちゃ強い風が吹いてきます。電車は時速4,5km程度で本当にゆっくり徐行。そりゃ徐行しなきゃいけないわけだ。地形的な要因があるのか、後にも先にも超強風だったのはこの区間だけでした。これだけの風が吹けば、羽越本線特急脱線事故とか起こるわけだ。

 結局村上には定刻より30分程遅れた10時35分に到着。同一ホームで待ち合わせていた電車に乗ると、さらに北上して酒田まで行けるようです。


<村上に到着しました>

<酒田行きは同一ホームで乗り換え>

 駅を出ると、雨はそこまででもなくても風が強い。横殴りの雨なので、傘を差していてもあまり意味がありません。こりゃ参ったね・・・と思いつつ、駅前の観光案内所に行って情報収集。町屋が集中している地区までは歩いて20分と、晴れの日なら何てことない距離ですが、今日はちょっときつそうです。そもそも雨じゃなかったら、えちごワンデーパスはレンタサイクルが無料だから、有効に時間と体力を使えたのに。


<村上駅>

<村上のマンホール>

 しかしぐだぐだ言っても始まらないので、傘を差して歩いて行くことに。大通りから一本入ると昔の街道になり、昔ながらの街並みが続いています。あまり開発もされておらず、村上が城下町だったことがよく分かる街並みです。


<歴史ある街並みに向かう>

<小国町周辺 道がくねくねしている>

<下関(しもぜき)行き発見>

<寺町通り>

 寺町通りの一角にあったのが浄念寺。本多・榊原・間部と、歴代藩主の菩提寺で、蔵造りの本堂は重要文化財に指定されています。蔵造りの寺というのは喜多方でも見た記憶がありますが、この一帯に独特なのでしょうか。境内には江戸幕府の6代・7代将軍に側用人として仕えた間部詮房の墓も。間部詮房は村上のお殿様だったのか。


<浄念寺>

<蔵造りの珍しい本堂>

 浄念寺の付近は黒塀通りと言われていて、特に雰囲気がある通りです。雨で一層黒光りが増しています。他に人もいなかったので、しっとりとした感じの写真が何枚か撮れました。数少ない雨が画になる観光地。

 古い町並みの一角にある 「味匠喜っ川」 へ。村上は三面川で獲れる鮭を食文化の中心とし、昔から塩引き鮭の製造を行ってきています。その塩引き鮭を今でも作り続けている代表的な店が味匠喜っ川。町屋造りの店内では、鮭製品の販売の他に、塩引き鮭の製造の様子を見せてもらえるということで、早速店内へ。


<味匠喜っ川>

<築130年の町屋>

 販売所の奥に行くと、大量の鮭が天井からぶら下がっていました。これは圧巻。鮭の多さと匂いに圧倒されてしばしば見つめていると、店のお姉さんがやってきていろいろと説明してくれました。以下が要点です。

 ・江戸時代に世界初の自然ふ化増殖法を確立した
 ・町屋は築132年。今でも店が終わった後は生活の場として使っている
 ・村上では鮭をしっぽから吊るす。首からつるすと首吊りを思わせるため
 ・通気をよくするため、天井の窓は一年中開けっ放し
 ・鮭の腹は全部開くのではなく、真ん中だけつないで残している。それは武士の多かった村上で切腹を連想させないため
 ・村上での鮭の呼び名は「イヨボヤ」。イヨもボヤも魚の意味。つまり、「魚の中の魚」


<たくさんの鮭が吊るされる>

<顎が発達しているのが村上まで来た鮭>

<匂ってきます>

<歴史を感じさせる札>

 お姉さんの説明の後もぼんやりと眺めていると、いかにも職人肌のご主人といった感じの人が出てきて、少し解説してもらいました。村上の雄鮭の顎が発達しているのは、北海道から村上まで泳いで行く段階で次第に発達するからで、だからこんなにしゃくれた形になるのだと。確かに知床で見た鮭とは違います。しかしこの鮭の多さには参りました。

 無料でいいものを見せてもらったこともあり、せっかくなのでお土産に鮭を買うことに。しかし本格的な塩引き鮭は少し高いので、珍味といわれる白子煮と角煮を購入しました。どちらも340円程度。酒のつまみにぴったりです。帰宅後早速食べてみました。白子煮は思ったよりも癖がなくて淡白な味と歯ごたえ。角煮のほうもさっぱりしていて、鰯や鯖とは一味違います。日本酒が進みました。


<白子煮>

<鮭角煮>

 段々と雨が強くなる中、おしゃぎり会館(村上市郷土資料館)へ。村上大祭で曳き回す「おしゃぎり」が展示されています。しかしこういう伝統文化要素が強い祭りにまだ興味が湧かないのは、僕がまだ若いからなのか、それとも感受性が乏しいからなのか。会館の2階では村上に伝わる刀が展示されており、個人的にはこちらのほうに興味が湧きます。


<おしゃぎり会館の荒馬>

<おしゃぎり会館のおしゃぎり>

<妖刀村正>

<村上城跡を望む>

 おしゃぎり会館・若林家住宅・村上歴史文化館の三つで入場料500円でしたが、若林家邸宅は現在改修工事中の上、煙を焚いて家中を炙っていたため、喘息になったらかなわないと逃げてきました。重要文化財にも指定されている、由緒ある家なのだけど。昔の家は虫対策や強度保持の観点から何度も燻さないといけないので、気管支の弱い僕には無理です。


<おしゃぎり会館>

<旧若林家住宅>

 本来なら村上で鮭料理でも・・・と思っていたものの、電車の遅延で到着が遅れたのと、雨で歩くのが億劫なこと、さらには帰りの電車が遅延になったら東京に帰れないという洒落にならない事態もありうるということで、早めに新潟に戻ることにしました。本当は鮭料理が食べたかったけど、仕方がない。いつか鮭が獲れる10月以降にでも来て、新鮮な鮭料理を食べられたら。

 駅まで戻る途中、少し遠回りして三面川を見てみました。この三面川で鮭が獲れるわけで、近くには「日本圧の鮭専門の博物館」を謳った「イヨボヤ会館」があります。そもそも他に鮭の博物館があるのかどうか謎ですが。三面川にかかる橋に立つと、目が開けられないくらい風が強くてたまりません。さっと写真を撮ってすぐに撤退。横殴りの雨で下半身は服がびっしょりです。


<三面川>

<イヨボヤ会館にも行きたかったけど>

 駅に向かう途中、地元資本っぽい店を発見。「ファッションランドカッパヤ」だそうです。きっと村上の人の心を引き付けて離さないのでしょう。


<地元のファッションランド>

<なかなかシュール>

 1時前に村上駅に到着し、1時11分発の新潟行きに乗車。雨と風の影響で、村上をじっくり堪能することができなかったのが残念です。本来なら午後は新潟方面に戻って新発田を歩こうと思っていたけど、この雨風でそれも断念。今度はレンタサイクルを使って、必ず鮭料理を食べ、近くの瀬波温泉にも行こうと固く誓いました。

 帰りの電車は行きと違ってロングシートでしかも2両。あまり風情がありません。定刻に村上を出発したものの、予想通りの徐行運転が続き、新潟駅に到着したのは予定よりも30分遅れて3時前。村上から2時間近くかかりました。やっぱり早めに戻ってきておいてよかった。

 新潟駅に到着すると、今までの雨が嘘のように上がっています。風はまだ強いものの、雲の切れ間から太陽が覗きつつあるほど天気が回復してきました。これだったら新発田で途中下車して街歩きすればよかった。今日は朝から何も食べてなかったので、かなり遅めの朝食・遅めの昼食を兼ねて、駅近くで適当に探しました。しかし午後3時という時間帯は中休みの店が多く、目当ての店はことごとく休み中。そこでガイドブックに乗っていたへぎそばの 「須坂屋そば」 へ。厳密なことを言うと、へぎそばは中越地方の名物であり、下越地方である新潟市の名物というわけではありませんが、状況が状況なので仕方がありません。

 吉乃川1合に佐渡で取れた海草を使った佐渡エゴ、それにへぎそばの天麩羅付を注文。佐渡エゴはツルツルとした食感で、あっさりとしていてなかなかいけます。しかしメインのへぎそばがあまり・・・という感じ。どうもつゆが市販っぽい味がしてパンチがないのと、麺自体がくたびれている印象で、へぎそば特有のツルツルとした喉越しがありません。風味もあまりない。さらに天麩羅は家で揚げたようなべたっとした仕上がりで、店で頼むのにこれはないだろうと。この前越後湯沢で食べた中野屋のへぎそば・天麩羅と比べると、やっぱりちょっとどうかな。正直なところ残念でした。時間が悪かったのかしら。


<駅近くの須坂屋そば>

<とりあえず日本酒を飲む>

<佐渡エゴ>

<へぎそば>

 食後は特にやることもなくなったので、予定を早めて東京に戻ることに。4時15分のとき336号に乗り、一路東京へ。帰る頃になって、新潟近辺は本当に晴れてきました。これが半日早かったらよかったのに。


<さようなら新潟>

<帰りも行きと同じ200系>

<青空が広がってきた>

<弥彦山が見える>

 6時20分東京着。中央線に乗り換えて7時過ぎに自宅に到着しました。夕食は新潟駅で買っておいた「村上牛しぐれ弁当」と、エチゴビールの「こしひかり越後ビール」。村上は鮭の他に、最近では村上牛もブランド化して売り出しているようで、村上に行ったこともあったので買ってみました。甘めの焼肉風味で、米沢の牛肉どまんなかや京都のはつだの和牛弁当にも似ていておいしいです。ただ、少しご飯がべたべたなのと、肉の量が少ないのが残念。肉の量がもっと多かったら。こしひかりビールはあっさりとした味わいでした。


<村上牛しぐれとこしひかりビール>

<村上牛しぐれ弁当中身>

 ということで、今回の調査も無事に(?)終了しました。


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