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2006年2月13日(月) 二日目 <高山の街並み>
<高山の朝は寒い>
飲みを3時に切り上げて寝て、起きたのは8時。昨日白川郷行きのバスに乗っているあたりから喉が痛くなりだしていて、こりゃまずいなと思っていたんだけど、朝起きて痛みはさらに増していました。せっかく治ったと思ってたのに、ここにきてぶり返す兆しを見せるとは・・・。おそらくずっと乾燥した環境にいたからだとは思うのですが、それに加えて高山の朝は寒い。何と今日の最低気温はマイナス15度らしいのです。そんな寒さの中寝たら、いくら暖房が効いているとはいえ病み上がりの身には厳しい。
どんな寒さやら・・・と窓を開けると、本当に寒かった。肌を刺すような寒さです。しかし、天気は抜群にいい。雲ひとつない快晴です。この日はずっと快晴だったので、昼間は気温が上がって助かるのですが、明け方から朝にかけては寒くてたまりません。
<部屋から見た高山の風景> |
朝食は8時半から。昨日の夕食に続き、朝から豪華な内容でした。暖かい豚汁と、飛騨名物の味噌ほう葉焼。こんにゃくのおつくりもあって、朝から腹一杯。
<本日の朝食> |
朝食の後はもう一度温泉に入り、風邪気味の体を温めなおしました。体が冷え切っているときの温泉ほど有難いものはありません。は〜極楽極楽。結局10時のチェックアウトぎりぎりまで粘って、宝生閣を後にしました。いやいや、Aランクの宿を堪能させていただきました。宿のランクが高いと、心まで広くなりますね。
<高山陣屋と陣屋前朝市>
高山駅で荷物を預けた後、高山陣屋へ。高山は朝市で有名ですが、その一つがここ「陣屋朝市」だそうです。
思ったよりも露店が少なくてこぢんまりしている感じだったけど、各農家さんがそれぞれオリジナルの漬物や農産物を売っています。でっかい企業がやっているのかと思ったら、それこそ家族経営の零細企業(?)のような人が多く、売りに来ているのも家の奥さんというのがほとんど、観光客相手とはいえ、寒い中昼まで売り続けるというのは根性がないとなかなかできません。思わぬところで感心してしまいました。
本当は朝市では何も買わないつもりだったのだけど、一つ一つの品物が丁寧に作られているようだったので、ついつい買ってしまいました。高山名物の赤かぶ漬け(こちらでは「赤かぶら漬け」というらしい)と、にんにく味噌。真空パックになっていて、できるだけ日持ちのするものを買いました。いやいや、いい買い物した。旅をしたらこうやって地域の人々に直接お金を落としていかないと。
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陣屋前の朝市を一通り見て、正面にある高山陣屋を見物することに。入場料が400円と若干お高いので少し迷ったのですが、結局入ることにしました。
<高山陣屋正面> |
やっぱり400円はちょっと高いかな・・・と思っていると、職員のおじさんがやってきて、「もしよかったら案内しましょうか?無料でやってますよ」と声をかけてきたので、やってもらうことに。これは当たりでした。おじさんは陣屋の成り立ちから部屋の紹介、当時の様子まで次から次へと話してくれました。こういうガイドさんは、普通に歩いているだけでは気がつかないようなところにもスポットを当ててくれるので、観光客としてはより楽しめます。僕のようにこういう古い建物を見てまわるのが好きな人間にとって、これはありがたい。まぁただあまりにも駄洒落を織り交ぜるのでびっくりしたけれど。昨日のバスの運転手といい、高山のおじさんはこういう人が多いのでしょうか?
高山は江戸初期に幕府直轄地となり、統治のために江戸から代官が派遣されてきました。その代官の住居であり、同時に飛騨地方の役所であったのがこの陣屋であるということです。かつては全国に多くあった陣屋ですが、今現存しているのは、高山陣屋のみだそうな。(高山陣屋も平成8年に半分ほど復元したということでした)
陣屋は役所でもあったので、飛騨地方の役人も共に働いていたそうです。係りのおじさんは「江戸からやってきた役人=キャリア官僚」「飛騨地方の役人=ノンキャリ」ということで説明してくれました。これでいくと代官はさしずめ県知事ということでしょう。いつの時代でも、キャリアとノンキャリの違いはあるんですね。今よりも当時のほうが、はるかに高くて越えられない壁があっただろうけど。。
身分差が徹底していると感じたのは「入り口」でした。「この階級の者はここから出入りする」という決まりがあって、代官、地方役人、坊主、医者、農民など、それぞれの身分に対応して入り口が7つもあったのには驚きました。正面玄関を使えるのは代官のみで、代官の奥さんですら隣の小さな扉から入らないといけないのです。農民用の入り口になると、敷地の端にぽつんとあります。江戸時代の身分制度はこういうところまで本当に徹底しています。
<陣屋正面入り口> | <陣屋の屋根は木の板を重ねただけ> | |
<代官が住んでいた部屋> | <代官の部屋から眺める庭> |
この日の高山は寒かったので、途中トイレに行きたくなりました。我慢できなくなったので、おじさんに悪いとは思いながら、一人入り口近くにあるトイレへ。が、陣屋は複雑に入り組んでいて、しかも結構広いので、トイレに行くのに迷ってしまう始末。切羽詰ってたのに。。それほど陣屋は広くて複雑だということです。ちなみに、限界を迎える直前でトイレには辿り着いたので、ご心配なく。
最後に築400年で日本最古であるという蔵を見学。この蔵は、まだ高山城があった時代に建てられ、高山城が廃止されたときに城から陣屋へ移築されたものだそうです(確か)。蔵の中は資料館になっていて、本物の青海波(だったっけ?よく遠山の金さんの後ろにある、郡代の格式を示す青い模様のやつ)や甲冑などなどが展示されていました。あと高山で起こった一揆の資料も。一揆の首謀者の一人である齢17の男性が、獄中から16歳の妻に宛てて書いた手紙があったのだけど、切なくて泣けますねぇ。死を覚悟した17歳って、どんな心境なのでしょうか。
最初は400円で高いと思っていた高山陣屋ですが、見終わってみれば何のその。じっくり1時間以上かけて見物できたし、高山の歴史もお勉強できて満足満足。
<古い町並みを歩く>
高山陣屋を見終えて、いよいよ高山の古い町並みへ。の前に、陣屋そばにあるみたらし団子を食べることに。高山では何軒ものテイクアウトみたらし団子屋があるのですが、ここのみたらし団子が一番おいしいという噂を小耳に挟んでおいたのでした。
みたらし団子は何と一本70円。そしてうまい。普通みたらし団子というと甘いタレがかかったやつを想像しますが、ここのみたらし団子は甘くないのです。醤油をつけて焼いただけ。でもそれがうまい!醤油の焦げた香ばしい匂いと、もちもちの餅の食感がたまりません。おいしかったのか、湾岸太郎君はもう一本おかわりしてたからな。
12月に京都に行ったとき、下鴨神社近くで食べた甘いみたらし団子もおいしかったけど、高山の甘くないみたらし団子もおいしいです。下鴨神社発祥のみたらし団子が、こうやって形を変えて全国に広まっているんですねぇ。
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団子を食べ終えた一行は、さんまちと呼ばれる古い町並みへ。途中宮川という川を渡るのですが、その辺りからすでに古い町並みを感じさせる佇まいとなっています。
宮川を抜け、古い町並み「さんまち」へやってきました。
<さんまち古い街並み> | <さんまちを歩く> |
噂に聞いていた通り、かなり統一感あふれる町並みです。通り一帯が全て昔の家屋(町屋)でまとめられて、電線も電柱もありません。もちろん町並みは箱だけではなくて、中には数々の食事亭、ショップ、屋台などなど。。下の写真がさんまちの写真なのですが、産婦人科ももちろん、何とあのドコモショップまでもが古い町並みに統一されています(ドコモ好きの太郎君がどれほど喜んだことか。)。ここまでこだわって昔の町づくりを保存している(というか再現したのか?)ところを、今まで見たことがありませんでした。気合入ってるな〜。
<さんまちの街並み> | <産婦人科も古い家屋> | |
<ドコモショップも統一> | <さんまち入り口> | |
<トイレも古い感じ> | <昼食を食べた久田屋> |
さんまちに着いた時点で12時過ぎ。昼食の時間になりました。太郎君が前々から目をつけていた店があったのだけど、そこはちょっと高いから・・・と本人がひよっている様子。行くか行かないかでしばし揉めた後、「旅の金は使い捨てだろ!」という信念のもと(そういう信念がみんなにあったかどうかは知らないけど)、その店に行くことになりました。旅に出ると金使いが荒くなっちゃうね。
その店はさんまちにある久田屋という店で、一ヶ月前くらいのもしもツアーズで取り上げられたらしいです。それで太郎君は知っていたというわけ。店の中は昔からのつくりで、そんな中で昼食をいただきます。みんなで「飛騨牛のほう葉味噌焼定食」を注文。これが1900円なので、どうしようか議論したわけです。
ほう葉味噌と飛騨牛はどちらとも高山の名物なので、それを一緒に食べられて幸せであります。飛騨牛を焼くときに奏でられる「ジュージュー」という音と、漂ってくる味噌の匂いが、嫌がおうにも食欲を促進させてくれます。で、焼き立てを一口食べるとこれがやっぱりおいしい!飛騨牛ってほろほろと溶けるんですねぇ。1900円でも安いくらいですわ。あ〜、グルメ。
ただほう葉味噌って塩辛いので、ご飯がないと食べるのがきつかったりします。毎日ほう葉味噌焼食べてたら、塩分取り過ぎで早死にするな・・・なんてことも考えました。まぁたまに食べるんだから、全くそんなことは関係ないんだけど。
とにかく、おいしかった。
<飛騨牛のほう葉味噌焼き定食> | <肉をアップで> |
食後、さんまちをぶらぶら。酒屋で味噌汁の無料サービスを食べたり、飛騨牛の串焼きを食べたり。またみたらし団子を食べたり。みたらし団子は陣屋前の店のほうがおいしかったかな。
牛串焼きは最近高山の名物になっているようで、結構な店が売っていました。僕が買った店では200円の赤身、500円の霜降り、800円の限定20串ロースの三種類があったので、真ん中の500円を購入。さっき昼飯食べたばかりなのに、また牛です。でも牛自体の味が甘くておいしかった。
そして御土産屋で物色。高山ではさるぼぼという人形が昔から有名だというので、自分用に買ってみました。さるぼぼは「災いが去る(サル)」という意味らしいですね。人形に顔がないのがちょっと恐いけど。本来は赤一色だったのが、最近では風水の流れを受けて6種類のさるぼぼが登場しています。僕が買ったのは緑のさるぼぼ。緑は健康に効果があるらしい。あえて健康のさるぼぼを選ぶってのはおじさんっぽいけど・・・まぁ最近体が弱いので。ちなみに太郎君も二色くらい買っていたけど・・・何色かはご想像にお任せします。(さるぼぼの効果は以下の通り。赤・・・元祖。幸せを呼ぶ。/黄・・・金運・財運・宝くじ運アップ。/桃・・・恋愛運・結婚運アップ。/青・・・学力・成績アップ。/黒・・・魔よけ・厄除け、ツキを呼ぶ。/緑・・・健康
<霜降り牛串焼き 500円> | <さるぼぼ達> |
<酒蔵見学>
高山では1月から2月のこの時期にかけて、8件の酒蔵が持ち回りで見学ツアーを行っているというので行くことにしました。高山は水がきれいで、酒の街としても有名なんですね。
この日見学をやっていたのはさんまち近くにある老田酒造店。酒蔵の見学+試飲をさせてもらいました。
<老田酒造店> | <公開中> |
右上の写真にある丸いやつは、新しい酒ができたときに店先につるして、「今年の新しい酒ができました」という印にするものだそうです。他の酒蔵も外から見てみたけど、同じように丸いやつがつるされてありました。
せっかく酒蔵に来たので、帰りに日本酒を購入。冬季限定の搾りたて新酒「鬼ころし」を。鬼ころしと言っているわりには、上品で結構飲みやすいお酒です。。思ったより辛口ではなかった。
<高山ラーメンを食べる>
旅も終わりが近づいてきました。今回の締めは高山ラーメンで決まり。ということで、おいしい高山ラーメンを食べに調べておいた有名店へ。
・・・の前に、どうしても食べておきたいものがありました。それは飛騨牛の握り寿司。さんまちに屋台の飛騨牛握り屋があると聞いていて、行ってみたら改装工事中で2月一杯閉店ということだったので愕然としていたのですが、街の人に聞いたら他にも店はあるというので探して行ってみました。そしたら本当にあった!2貫で500円と少々高いものの、ここは旅だ。思い切って食べてみました。
新鮮な牛なら生で食べてもおいしいんですね。感覚としてはちょっと弾力のある大トロを食べている感じ。うまい。ただ一つわがままをいうなら、甘辛のタレじゃなくて醤油とワサビで食べたかった・・・。
<飛騨牛握り 500円> |
寿司を食べていよいよラーメンへ。さんまちからは宮川沿いにちょっと歩きます。宮川沿いの道(左下の道)は朝市で有名で、陣屋前の朝市よりも規模が大きいそうです。今回行けなかったので、今度来たときは是非行ってみたい。
宮川沿いの道を川沿いまで下りてみんなで歩いていると、何だか青春って感じです。ぽてぽてさんが白線流しを思い出すって言ってたけど、確かにそうかもね。空も飛べるはず〜♪
歩くこと10分、ラーメン屋やよいそばに到着。本店ではテレビの取材をやっていたので、近くの角店というところに誘導されてそこで高山ラーメン。この旅行のチケットに高山ラーメン無料券がついていたので、ラーメンはタダです。ありがたやありがたや。普通のラーメンを注文。
程なくしてラーメンがでてきました。見た感じは典型的な醤油スープに極細の縮れ麺。食べてみても同じ。確かにおいしいんだけど、そばを食べている感覚に近いかな。僕はこってりしたラーメンが好きなので、あっさりした高山ラーメンにはそこまで入れ込めない気がしました。でもまぁ、あっさりしたラーメンが食べたいときにはお勧めかな。高山ではラーメンはおやつって言うし。
<中華そば 650円(でもただ)> |
<高山をあとに>
ラーメンを食べてたら日が傾いてきました。ただ今5時。預けている荷物の関係で高山駅へ。汽車は6時49分発なので、1時間半近くを駅前の喫茶店で過ごしました。というか、この辺りから僕は段々と体調が悪くなっていったのを覚えています。あまりにきつくて、喫茶店で1時間くらい寝てしまった。。
そういえば、高山の街を歩いて気がついたことなんですが、高山の信号は基本的に縦なのです。何でかな?と考えて、辿り着いたのは一つの仮説。高山は豪雪地帯だから、信号機が横だと積もった雪の重みで折れてしまう。だから縦なのではないか?と。真実はわかりません。もし真実を知っている人がいたら、すぱくりまで。
それとこの際もう一つ疑問。高山では「みだらし団子」と「た」が濁っていたんだけど、これは何故でしょう?方言なのかな?これも知っている人がいたらすぱくりまで。
<縦の信号機> |
喫茶店で1時半過ごし、いよいよ高山をあとにします。特急ひだに乗って名古屋へ。さようなら高山。行きと違って帰りの風景は真っ暗なので、車掌さんの名所アナウンスもありませんでした。まぁ仕方がないか。
帰りの電車に乗った時点で、寒気がしてもうこれはどうしようもない状態に陥ってしまいました。おとなしく家に着くのを待とうと思っていると、みんなは酒を飲みだしている。最初は今後のことを考えて酒はやめておこうと思ったのですが、ふと「酒は百薬の長っていうし、もしかしたら酒飲んだら体調よくなるかもよ」なんて悪魔のささやきが聞こえてきたのです。悪魔のささやきに屈した僕は、車内販売で缶中ハイを買ってごくごく。そしたら気分がよくなった!悪魔のささやきにも屈してみるもんです。気分が良いまま、名古屋駅到着。
ここで新幹線に乗り換え。いろいろ事件がありつつも、東京に向かいます。酒の効果が切れてしまった僕は、高山を出たときよりもぐったり。あぁ、やっぱり酒飲むんじゃなかった・・・と思ってもあとの祭り。新幹線ではおとなしく寝ていました。
ようやく家に帰りついたのは日付が変わった頃。旅行の整理をするのももどかしく、ベッドに倒れ込みました。この後の顛末は日記を見てください。
ということで、最後は最悪な終わり方をしてしまったのですが、それを除くと白川郷と飛騨高山の旅は本当に充実した旅でした。かなり贅沢な旅行で、最初から最後まで飲み食いしていたので、体重は2キロ増えて過去最高を示しております。4月からは就職してしまう人もいるし、今後は気軽に旅行に行けなくなるかもしれないけど、またいつかこうして旅行に行きたいですね。
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