このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

「普通の十字路」になった若松交差点

北行きが直進できないという致命的欠陥構造が20年余りも放置され続けてきた船橋市の若松交差点ですが、2010年3月18日、遂に直進が可能になり、「普通の十字路」になりました。
東関道谷津船橋ICの建設や、r8船取線の4車線化といった関連する工事は2011年度の開通と予定されており、現地の工事看板のなかには施工時期の終期が2012年4月初旬とあるのでは未だしといった状態ですが、最大の課題を先行して解決したことは取り敢えず評価すべきでしょう。

このあまりにも遅かった改良を見てみました。

直進できます


※写真は2009年11月、2010年2月、3月、9月撮影


●2009年11月28日の先行改良( 暫定公開版の記事 を編集)
この段階ではまだ「普通の十字路」にはならなかったのですが、完成形を強く意識させる構造になりました。
まずは船取線を若松に向かってみますが、花輪IC以南の対面2車線区間は京葉道南側のガード部分だけ4車線化対応になっていなかったことが祟った格好で、拡幅への改良をしていました。その先これまでむなしく広がっていた拡幅用地のほうに本線を移設し、旧来の路盤は将来の北行き車線になるべく改良工事に入れるよう、入れ替えが行われました。

これまでの直線がクランク状になったわけですが、南行きは花輪ICのところで将来の北行き側に一回振っているため、クランクが増えた格好です。その先、これまでは右折車線とは明記されていませんが、車線幅が広く、事実上右折車線として機能していた区間は、しばらく厳格に片側1車線となり、将来の改良完成時の右折車線が現れるところでようやく右折車線が現れます。
このため右折車線への収容台数が明らかに減ったのは産みの苦しみと言うところです。

南行き車線を対面通行で使用していました

若松交差点内の船取線南行きから海浜大通りへの直進は、これまでのクランク状から直進になりました。
交差点内はこれまで海浜大通りからの直進を阻んでいたフェンスやアイランドがあっさり消えており、まさに「やれば出来た」工事であったことを図らずも露呈した格好です。
物理的な障壁が消えたことで直進できない理由がますます分からなくなったためか、「直進できません」の看板を置き、バリケードを置いて直進を阻んでいましたが、なぜこの段階で「普通の十字路」にしなかったのか。理由が見えません。

看板一つで直進を阻止

交差点内の進路変更が問題だとしても、従来の場合も含め、船取線北行き花輪IC手前にあるように「この先屈曲あり」と注意喚起すれば済む話であり、こんな理屈に合わない構造を継続する理由にはなりません。

海浜大通りからR357を経てのUターン路の部分ですが、船橋競馬場厩舎からの出口が封鎖されたため(船取線側に移動)、純粋にUターン車しか使わない状態になっています。若松改良が完成するとこのUターン路も閉鎖されるのですが、それに伴いR357から海浜大通りへの右折レーンの延長が可能になりますが、完成した現時点でもその兆候は見えません。

一方谷津船橋ICの進捗ですが、東関道の路肩部分でランプウェイの工事中という感じ。下り線からのオフランプはR357への合流と、東関道などをアンダーパスして右折南下しホームセンターのほうに出るルートが建設されますが、京葉線南側のホームセンター付近ではそうした兆候は見えませんでした。

谷津船橋ICのアプローチはこのあたりに

谷津船橋ICはこの連絡路から卸団地交差点を経て海浜大通りで若松交差点に戻り船取線で船橋市内へのアクセスへの対応がメインであり(R357方面はその先に湾岸習志野ICがある)、このままでは改良されたとしても若松交差点が平面交差点である以上、負荷が高いままになってしまう欠陥構造も指摘されます。
もともと若松は船取線〜海浜大通りがアンダーパスできる構造で用地も確保されているだけに、当初計画の完遂が見送られたのは残念です。

●そして「正常化」
2010年3月18日、若松交差点はついに「正常化」され「普通の十字路」になりました。

4車線同士の平面交差というある意味ダイナミックな構造ですが、最大の特徴は船取線南行き。右折車線が2車線用意されており、競馬場通用門のところで暫定的に対面2車線に絞られる影響で右折車線が確保できる距離が短いのをカバーしています。

右折車線は2レーン用意

船取線は花輪IC南側のガードの拡幅は完成して競馬場通用門付近までは南行き車線側を上下で使っているのですが、北行き車線をいったん掘り下げてからのかさ上げに時間がかかっており、4車線化にはまだ時間がかかる模様です。
北行き車線はもともとかさ上げ前の状態で花輪IC以北につながっていたのですから、手を入れなくても使えたのですが、敢えて入れたことで4車線化が遅れたばかりか、花輪IC先頭の渋滞が発生し、ひどい時はR357東行きに影響が出ています。

掘り下げてかさ上げの工事中

r15海浜大通り北行きのほうは右折車線が出来ました。
前にも述べましたが、この後香澄交差点までR357東行きには谷津干潟の駐車場を除いて着地となる施設が無く、手前のビバホームのところの交差点から若松寄りには発地となる施設がありません。ですから若松に向かわず、反対を向いてから香澄に行けばいい話であり、ここの右折車線は事実上不要です。後述するように3車線分のスペースは左折車線に充てたほうがよかったです。

右折レーンを使うクルマもいるが...

R357のほうは目立った変化はありません。
最大の変化は船橋競馬場の旧通用門付近のUターン路が閉鎖されたこと。信号も当然撤去されたため、若松と浜町2丁目の間には信号が無くなりました。

閉鎖されたUターン路


●南北方向は一定の効果
実は渋滞が劇的に解消した、とはお世辞にも言えない状況であるのは遺憾ですが、確実に効果があったのは船取線南行きでしょう。左折・直進レーン側は赤信号直前には待機車両がいなくなることも珍しくありません。右折側は割り当て時間がかなり減ってますが、2車線右折の効果は絶大で、信号1サイクルで通れない(待たされる)クルマが無いこともしばしばです。こうなると変則交差点時代でも現行の4車線配分にしていればかなり解消されていたのかもしれません。

赤に変わる頃にはクルマがいないことも

逆に海浜大通りからの北行きは想定外?の問題が出ています。
左折車(R357西行きへのクルマ)ははっきりいって割りを食ってます。r15北行きからのメインは後述のとおりR357左折方向への流動ですが、これまで2車線左折だったのが、左レーンのみ1車線左折になったことで処理台数が減っています。船取線南行きの効果の裏返しとも言える現象であり、ビバホームのところまで左車線の渋滞が恒常化している格好です。

船取線北行きへの右車線は流れており、上記のとおりほとんど需要が無いか、代替ルートがあるR357東行きへの右折車線を廃止して、「左折・左折・直進」に再構築したほうが良いです。(右折車線が膨らむ部分を整形して延長する必要はある)

左折は左車線のみという誘導看板

この左折車滞留問題ですが、信号制御が微妙で、R357東行きが西行きよりも長い時差式になっているのですが、この時にR357から海浜大通りへの右折信号が点灯するのに、海浜大通りからのレーンが、「左折+直進・直進・右折」のため、このあとの西行きからの右折信号点灯時も含めてこれまで左折オンリー時代には左折できたのに、無意味に待たされるのも処理能力を下げています。

上記のように左折レーンを増やすか、次善の策として「左折・直進・右折」の3レーンにして、R357からの右折信号点灯時以降は左折を可能にすれば海浜大通りのストレスは低下します。

●東西方向は微妙な効果
一方東西方向のR357は渋滞が残りました。
それでもかなりマシになったのは確かですが、南北方向、特に南行きの改善に比べると雲泥の差で、R357ユーザーからは今回の改良の評価が低くなっています。

この問題ですが、まず西行きはその先の浜町2丁目と日の出町の処理能力が飽和状態で、ここの渋滞が影響しています。しかしこの問題も若松を迂回するクルマが多かった浜町2丁目の北側からの右折への割り当てを減らして、浜町2丁目のR357の処理台数を上げることも考えるべきでしょう。(若松改良前は、例えば船取線〜R296〜R14〜浜町2丁目でR357に入るほうが速く、そういう流動も少なくなかった)

さらに東行きは若松先頭の渋滞が相変わらずですが、この原因は若松左折車です。実は左折後すぐは北行き車線は本設の片側2車線なんですが、すぐに1車線になるため、1車線に並ぶ傾向が多く、そのため左折車の滞留が発生しています。
あとは左折時のコーナーが厳しく、相当な原則を強いられること。これは若松交差点の西北角の船橋競馬場厩舎の未利用地を活用して、左折レーンの付加や、歩道橋の設置(というか現状の歩道橋を交差点東北方向に延長)により、常時左折可にすることでかなり改善できます。

●「正常化」を振り返ると
2010年3月8日付の産経千葉面に掲載された若松交差点改良の記事のなかで、平日(2009年10月9日調査)の24時間で、r15から強制左折させられたクルマは8141台で、このうち1401台がUターン路を通過したとあります。
Uターン路は大型が通れず、またUターン渋滞を避けて浜町2丁目から右折して北上したクルマも少なくないでしょうから、実際には「普通の十字路」であれば直進したクルマはもっと多いでしょう。
そして総流動の17%が通る必要のないR357東西方向に紛れ込んでいたのですから、渋滞するのも当然です。

記事には、「変則的構造は『通行量を押さえるため』の説もある。国交省や県によると『今となっては理由は分からない』という。」とありますが、確固たる理由もなくこのような欠陥構造を許していたというのは救い難い事態です。

r15から直進北上するのに何年かかった...

今後は谷津船橋ICの完成がまず大きなイベントとなるはずで、それに伴い流動も直進車が増えることが考えられます。
東京方向に曲がるクルマも減ることは少ないでしょうから、若松の重要性に陰りはありません。
花輪−若松間の4車線化も谷津船橋と同時と言わずに、すぐにでも完成させて欲しいですが、現状はまだまだという感じなのが残念です。

R357は東京港臨海道路の全通を間近に控え、若洲入口と夢の島交差点の立体化が進行中ですが、これが完成すると両交差点の渋滞は解消するでしょうから、いよいよ栄町、日の出町、浜町2丁目の3連コンボの酷さが目に余ることになります。
若松が改良されたことで、この3連コンボの改良が焦眉の急となるわけですが、第二湾岸で対応しようとして放置状態だっただけに、どのように改良するのか。2010年代の最大の課題と言えます。





習志野原の交通局へ戻る

習志野原今昔物語に戻る

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください