このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください





ETCの通信エラーを体験する
手の打ちようがない事態にどう対応、周知するか



※写真は2012年5月撮影


ETCの全国展開から10年半が過ぎ、普及率も85%を超えるレベルと、完全に定着しました。
私自身は全国展開時に導入を決心し、2001年暮れに購入した(厳密にはセットアップ完了が年初にずれ込む2年またぎの作業になった)時点では普及率はわずかに0.9%という時代であり、本線集約料金所や大規模料金所でガラガラの専用レーンを通過する「ETCモーゼ」の快感も、今にして思えば二度とない経験です。

それから10年半。当たり前のようにETCを使っていますが、制度導入当初にETC反対派?から喧伝された「開閉バーの誤作動で事故続出するから導入すべきでない」という批判も、今から見れば荒唐無稽の域だったわけで、これまで家人が1回だけ食らっただけで(無事に停車できている)、それこそ10年半で数千回の開閉バー通過があるはずですが、非常に低いエラー率になっています。

1月からの首都高、阪高の距離制料金導入で、フリーフロー型ゲートの運用も本格的にスタートしましたが、走行記録を見る限り、社会実験当時からこれで失敗した例も無く、信頼性の高さが伺えます。

気がかりなのは車載器の寿命。今は珍しくなった一体型を10年半使っているわけで、明らかに超初期からのユーザーと分かるからか、ディーラーでも新しい車載器を勧められることはありません。クルマを買い替えたときも、その車載器がしっかり移設されましたが、いつまで使えるんでしょうね。千葉地区でのモニターに登録した人を除けばトップランナーになるので、いつ寿命が来るかの貴重なデータになるでしょうが。

そのETCですが、先日2度目のエラーに遭遇しました。私自身の運転としては10年半にして初めてのエラーが出たのです。
場所は東北道。入口ICでは通常通りバーが開き、そのまま上り本線に向かったのですが、そこで車載器が「ピピピッ」と警報音が鳴り、エラー表示が出ました。

ランプ上であり停車できないのでそのまま進行しましたが、車載器のほうは一定時間が経つとそのまま「ETC」と前面の表示部に出るだけ。ボタンを押して表示できる過去履歴も異常が無く(過去何走行かの料金と日付が表示される)、一体なんだったんだろうか、と訝しみました。

入口は無事通過したけど「エラー」が気になります。そのまま走り続け、浦和本線に至ったのですが、入口のことがあるので「通せんぼ」されることを念頭に置いた速度でゲートに入るとやはりエラーとなりバーが上がりません。

後続車がいてパッシングされましたが仕方がありません。専用レーンでしたが係員がいたのでこちらに来て事情伺いとなりましたが、入場ICを告げ、入口は通れた旨を言うと、ETCカードをそのまま預かりとなりました。

私は前進してレーン外で待機するようにとの指示。その時点で閉鎖が解除になり、後続車を含めて通過していきますが、通過車両が駆け抜ける中停車するのは気色が悪いです。
やがて係員が戻ってきてカードと利用証明を返却。割引での計算になっています、と告げられた通り、無線通行で無いけどきちんと割引は効いていました。

通過車両の合間を縫って発進して復帰しましたが、このエラーが何に起因するのか。車載器かカードか、それとも料金所のハードなのか。川口JCTから外環に入り、川口第一料金所を通過しましたが、何事も無く、その後も問題が無いので、料金所側のシステムエラーでしょうか。

今回のトラブルで気がついたのが、レーンが通過できてもエラーになるということ。
NEXCOの料金所通過の際、車載器が料金所の前後で2度反応することはご存知の通りですが、レーン手前の1度目はどうやら「有効なカードか否か」程度の判断のようです。
ここで「入場記録」が書き込まれていれば出口ICや本線TBでエラーが出ることは無いはずですが、エラーが出ると言うことは、2度目のセンサーで初めて書き込まれると言うことでしょう。

料金所直後にある「2度目のセンサー」


首都高や阪高の料金所では1回で有効判定、入場記録、料金引き落としまで終わると言うのに、あえて分けることでエラーの可能性を高めている格好です。
また今回エラーが出たICは2回目のセンサーが少し離れてランプ部にありましたが、割引の有無にかかわる微妙な時間に通過する場合、1度目と2度目の通過の間に「ボーダーライン」を経過した場合、どういう判定になるんでしょうね。料金所を確かに時間内に通過したはずなのに、というクレームがあってもおかしくない構造ですが、その旨の周知が無くて大丈夫なのか。まさか時間判定は1度目という「役割分担」だとしたら、わざと複雑にしている感があります。

そして今回の体験で感じたのは、エラーが出ると分かっていても「通せんぼ」を出現させざるをえないシステムでいいのかということ。
浦和本線ではエラーを確信して減速して、かつ後続車との車間が空くようにスピードコントロールしてゲートに入りましたが、当たり前に考えれば、追突事故が起こるような動作をわざとさせられると言うのですから、危険極まりない構造です。

今回は夜間の走行と言うこともあり、SAなどで対応を訊くこともかなわないのです。
NEXCO3社のサイトを見ても、このようなケースでの取り扱いについては一切触れておらず、ゲートで「通せんぼ」を食らったケースしか案内していません。

今回のケースで厄介なのは、入口ICでのエラーでありながら、ゲートは正常通過したこと。ゲートで止められれば通行券発行となり、出口ICでの対応も決まるのですが、ゲートを通過したらやりようがないのです。

また、ETCカードお知らせ箇所で未挿入だと同様に警報音が鳴ってエラー表示が出ますが、この場合は出口ICなどで何の問題もありませんから、入口ICを通過したらその後のエラー表示、警報音は私のようなケースに遭遇しない限り、出口ICなどの通過に影響しないと言う「思い込み」を誰もが持っているはずです。

おそらく正解は現金レーンに入り、手渡し精算をするということでしょうが、現金レーンが自動化(無人化)されている場合は結構厄介です。
また、割引は無線通行に限る、という案内をくどいほどしている中で、まがいなりにも入口ICを入れたのに手渡し精算に向かうというのは、割引適用がなくなるのでは?と言う誤解もあるでしょう。

実は各種割引適用の要件は、「入口を無線通行」であり、出口の通行形態は問いませんが(入口がETC未対応の場合は出口で通行券とETCカードを提示することで割引が受けられる)、首都高のように手渡し精算は現金扱い、と明記しているケースもあるだけに、無線通行=割引という概念が一般的といえますから。また、阪高にあるNEXCO、本四との併合授受ではエラー対応で現金レーンに入っても阪高分が割引になるのかと言う問題があります。

さらに言えば、入口ICが無事に入れてもエラー表示が途中で出たら出口IC(およびその先の本線TB、検札)では手渡し精算になるという「ルール」が全く周知されていないのは安全対策上重大な問題と言えます。

本件やフリーフロー型センサーでの「誤通信」のように、気付いても対応のとりようが無いケースをどうするのか。首都高、阪高の場合はフリーダイヤルに連絡するということですが、少なくとも入口と出口の両方で対応できるNEXCOの対距離料金区間の場合は、出口で対応する旨をきちんと周知すべきでしょう。






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