このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください





サービスエリアの給茶機「撤去」
湯茶無料サービスは「過剰な」サービスと考えるのか



給茶機が1基「撤去」されて自販機に(山陽道・龍野西SA)


エル・アルコン  2007年1月15日


※この作品は「交通総合フォーラム」とのシェアコンテンツです。


高速道路のサービスエリアというと、レストランにスナックコーナー、売店に案内所と並んで、給茶機の無料サービスのお茶が定番です。

たいていのSAには概ね2基、利用の多いSAでは3基の給茶機があり、緑茶とほうじ茶が提供されていますが、最近では茶葉の交換などのメンテナンスを嫌ってか、粉末を溶かす方式の「ナチュラル茶」に改装が進み、それと同時に従来のほうじ茶が玄米茶に変わり、ほうじ茶ファンを嘆かせています。
もっとも、従来型の場合、複数人数分を淹れようとすると、最初は濃いのに、次は薄く、しまいに白湯同然という難点があったわけで、1回ごとに決まった粉茶が使われる新型は歓迎すべき改装です。
もっとも、この手の粉茶にはほうじ茶もあるわけで、なぜ玄米茶を採用したのかは謎です。

さて、無料でお茶や白湯、冷水が飲めるとあってどのSAでも人気の給茶機ですが、この年明け、山陽道を利用して異変に気が付きました。

利用した龍野西、吉備、福山と、2基あったはずの給茶機が1基になっています。そのかつてもう1基あったはずのスペースには、超本物珈琲とか、本格珈琲と銘打ったカップ式のレギュラーコーヒーなどのベンダーがはめ込まれています。

無理やりはめ込んだ感がありありで、給茶機に比べると出っ張っており、不細工なことこの上ないのですが、そうまでして給茶機をベンダーに代える必要があるのか。
実はこの機種、従来からカップ式のベンダーがあるコーナーにあるのと同一でありますが、わざわざ同じSAに2基設置するほど人気があるようにも見えません。
カップ式のベンダー用のスペースは既にまとまって存在しており、カップ式ベンダーのために給茶機を潰して給水設備をあてがう必要性にも乏しいです。

結局、どう考えても、無料のサービスを止めたい、という発想以外の理由が思いつきません。
あえてそこに設置する必然性の乏しいベンダーに置き換えてでも給茶機をなくしたいという理由はそれしかないでしょう。

確かに、ドライバーだけでなく、高速バスやツアーバスの乗客が大挙して押しかけて我先に群がるのがこのコーナーですから、高速道路会社にとっては持ち出しがかさむという発想なのでしょう。
しかし、そこは同時にドライバーの憩いの施設であり、特に夜間はスナックコーナーもないようなSAにおいては、喉が乾いても金がないと喉を潤せない、と言う事態になりかねません。

さすがに今回は2基中の1基であり、無料サービス自体の廃止ではないですし、1週間前に利用した東日本や中日本管内のSAでは従前どおりだったのですが、1基だけになると故障その他のリスク(これはそれなりにある)もありますし、今後の流れを考えると、このサービスが無くなる日が遠くないと言う懸念を感じさせるに十分な状況です。

推測されるドライバー以外への提供が煩わしい、勿体無いと言う発想にしても、バス旅行で高速道路のSAを利用して、売店などの充実と並んで、無料の湯茶サービスの存在を認識してもらうことで、高速道路利用のドライブの良さを印象付ける効果があるわけで、いつかは自分のクルまで高速ドライブ、と言う層を育てる効果が無いとは言えません。

今回の「撤去」は、サービス自体は残るとはいえ、休憩所としてのSAの意義がまた一つ後退し、ただの物販スポットになって行くと言う、ドライバーから見ると好ましくない流れがまた進行したといえます。






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