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「EX−IC」を体験する

良好な使い勝手と不合理な制度の同居




東海道・山陽新幹線の「エクスプレス予約(EX予約)」。さらに「進化」したICチケットレスサービスの「EX-IC」もメニューに加わり、利便性がさらに高まったと評判です。
一方で既存のサービスとの整合性などの面において使い勝手や価格面での問題を指摘する声もあることは事実です。

関西への出張機会が多い私は、普段はほぼ100%航空利用なんですが、実は法人契約の「EX予約」、さらには「EX-IC」の会員でもあり、滅多に使わないカードを財布に潜ませています。
そしてこの年末、2回ほど仕事の都合で航空利用だと神戸、伊丹ともどうも中途半端なので、復路のみですが新幹線を久しぶりに利用することになり、ちょうどいい機会なので、「EX-IC」などのサービスを体験してみました。




※写真は2009年12月撮影


●どういう風の吹き回し
前回新幹線を利用したのは1年以上前のこと。航空の最終便に間に合わず、翌朝の始発便だと9時に入れていた東京での会議に間に合わないので、新大阪6時の「のぞみ100号」を利用して以来のことです。

今回は逆に時間がタイトということではなく、タイミング的に航空の時間まで待つのが冗漫という事情。珍しく夕刻に仕事が終わる公算が高く、神戸空港だと20時20分のBC116便、20時55分のNH416便までなく、かといって伊丹だと19時のNH038便のあとは最終20時20分のNH040便まで無いという中途半端な時間です。JALは19時30分にJA134便がありますが、神戸空港のダイヤの使い勝手もあってANA党なので、特割利用はもちろん、ビジネスリピート利用でも会社間をまたいでの変更はコスト面で非現実的です。(ただしスカイマークへの変更は特割のキャンセル料を払っても安いので選択肢になる)

というわけで夕刻の新幹線を予約したのですが、前回は実は初めての「EX予約」を利用でその利便性と使い勝手をある程度は体験していたわけで、、今回はもっぱら「EX-IC」の使い勝手のチェックということになります。

●予約はスムーズ
携帯からの予約を盛んに勧める「EX予約」ですが、仕事場ではネット環境にあるPCを使っているので、わざわざ携帯からではなく、PCからの予約にしています。

実はこのあたりの出張手配に関しては、会社が経理処理も含めたサービスを謳う出張予約サービスと提携しており、「EX予約」も航空(JAL、ANA)の予約も一つのポータルサイトへのアクセスで可能という事情もあります。

さすがに新幹線は航空と違い、対象区間の全便を表示するわけにはいかないので、時間帯を指定するか、列車名を指定するか、利用頻度の高い列車を登録するかというように、ある程度絞り込んでの選択になっています。

列車指定画面に移動すると、山陽区間直通の場合は新大阪での乗り継ぎも表示されるなど、ファジーな選択が可能なのは使い勝手がいいです。

ただ問題なのは、座席指定の段になり、属性指定で指定する場合。(窓側/通路側や、A席、E席といった指定)
この場合はいったん問い合わせて、申し込み結果のメールを受けないと可否が分からないということ。この部分はシートマップ指定にすると座席を指定して確定して終了という手戻りの無いプロセスになるため気にならず、実際シートマップ指定を愛用する人も多いようですが、前回の際は「E席指定」として「ご希望の条件(列車、設備、座席、きっぷの種類)では満席でした。」というメールが来てやり直しになったわけで、やや煩瑣な印象です。

あと気になったのは、列車、座席を指定したあと、確定して購入と同じような認証が2回続くこと。航空の場合は後者が支払方法の選択なので理解しやすいのですが、「EX予約」の場合はそもそもハウスカードひも付きの決済一本なので、列車と座席の指定から数えて3回の「認証」は1回多い感じがします。

●変更もスムーズ
実は2回とも当初予約の列車から変更をしています。
1回目は予測よりもさらに仕事がはかどって早い列車への変更。2回目は逆に時間が押して遅い列車への変更です。2回目のケースは後述するように変更を何回もかけたんですが、変更手続自体はスムーズでした。

このあたりはビジネスリピート利用時の航空の変更と遜色なく、使い勝手はいいです。

ちなみに画面を見ていて気がついたのですが、「変更」といいながら無手数料での払戻と購入を繰り返すイメージなんですね。

●「EX-IC」を利用して
この日は新神戸からの利用。「EX-IC」は特定市内駅制度の適用が無いので、三ノ宮までJR神戸線を利用するインセンティブが働きません。
(神戸市内の場合、甲南山手〜舞子の各駅から三ノ宮、元町、神戸、新長田の各駅と新神戸の間で乗り継ぎができる)

地下鉄に乗って新神戸に行き、新幹線の駅へ。
地形の関係もあり延々と登り続けて改札階に上がり、しばらく利用しないうちに「エキナカ」が充実してレイアウトも若干変わったコンコースに戸惑いながら改札へ向かいます。

自動改札の導入、「EX-IC」の導入、さらに降車側は神戸市内駅の特例としての上記の乗り継ぎに対応するため、乗車券を回収しない改札機も導入されていることもあってか、改札機には駅員が張り付いています。

こちらは青い「EX-IC」カードを取り出しますが、在来線との乗り継ぎ改札ではないため、SuicaやICOCAとの2枚タッチは必要ありません。
カードをタッチすると前方の取り出し口から「ご利用票」が出てきますが、このあたりは機械からは係員が受け取って手渡ししてくれる航空のほうが人手をかけている分印象がいいです。

「ご利用票」を受け取る

あとこのあたりは好みになりますが、通勤電車の駅のようにスタスタ歩いていないわけで、航空のセキュリティエリアのようにタッチ部分で発券してもいいのではとも思いますが、発行部分は自動改札機の取り出し口と共用するという前提ですから仕方が無いところです。

乗車するといつもの新幹線の旅ですが、東海道・山陽新幹線は直前まで予約変更が多いことや、指定を変更しない飛び乗りも多いことから車内検札を省略するという最近のトレンドに反し、車内検札を実施しています。
ただし検札時に乗降駅をメモしており、例えば新神戸発車後に検札を受ければ、新大阪などでは検札は素通りとなります。

そして東京駅での在来線乗り継ぎ。改札手前には紙のきっぷと「EX-IC」の場合の手順を書いたポスターが何枚も貼られています。在来線用のICカードの残高不足に備えてかチャージ機も見えます。
指示に従ってSuicaと「EX-IC」カードを2枚重ねでタッチすると当然といえば当然ですがゲートが空いて在来線コンコースに向かいました。

●「e特急券」を利用して
今度はその翌週のケースです。
目的地が阪神間ということもあり、「EX-IC」だと新神戸発にしても新大阪発にしてもJR線の別払いが嵩む印象です。

そのため新大阪から従来通り「e特急券」での利用、さらに乗車券も神戸市内発だと勿体無いので大阪市内発にしてみたんですが、これに関しては会社で「EX-IC」への切り替えを行なったときに結構議論になった部分であり、その問題点については後述します。

さて上述の通りこの日はスケジュールが押しまくり、当初予定の列車を早々に変更する破目に。
この時点でNH416のほうが家に着く時間が早いことが確定という気の重い道中になったのですが、それはまだ序の口でした。

しかも諸般の事情で、元町の大丸までわざわざ出向く私用が発生し、さらに事態は悪化。
普段「EX予約」を使わないので制度をよく理解していなかった自分が悪いのですが、単純な差額精算で新神戸(神戸市内)発に変更できたのに(旅費規定上は何の問題もない)、購入後の区間変更は出来ないと思い込んでいたのも敗因でした。

そして元町では何も考えずにSuicaで入場。
三ノ宮から新快速に乗れば新大阪で10分弱の乗り継ぎと、これなら弁当とビールくらいは買えるかな、と漫然と思っていたのですが、三ノ宮に着くとそれが暗転です。

乗り継ぎの新快速が人身事故の影響で約6分遅れとの表示。これはいきなり重大局面です。
10分弱の乗り換え時間が6分も刈り取られてはたまりません。しかもいかに「ゆとりダイヤ」とはいえ、新大阪までの間で遅れが増幅しない保証はありません。

こういう時こそ謳い文句の「携帯でいつでも変更可能」がフル稼働するわけで、さっそく変更しました。結局新快速は途中の余裕時間にも救われて遅れの増幅はありませんでしたが、では当初予定通りでも大丈夫だったか、というと、「お買い物タイム」の消失はともかくとして、発券を巡るゴタゴタがあったことを考えたら、極めて厳しかったです。

さて早速向かったのは連絡改札手前の「みどりの券売機」。
「EX-IC」カードを挿入し、受け取り用の暗証番号を入力すると指定した列車の情報が表示されました。そして「この駅までの乗車券を挿入してください。」という案内に、元町から使ってきたSuicaを挿入しました。

定期券やICOCAなど以外は回収されます、という表示もおどろおどろしく、挿入して本当にいいの?とためらわせるような案内だな、と思っていると画面が変わり、このカードでは精算できません、ときました。
カード添付の利用ガイドだとJR西日本で使えるICカードなら大丈夫なはずで、チャージは十分あるしSuicaを減算するだけのはずなのに、と呼び出しボタンを押して券売機の間の「のぞき穴」から顔を出した駅員に問い質すとこれがいけません。

機械に保留されている「EX-IC」カードを見て、「これは改札でタッチすれば...」の一辺倒。「e特急券」発券なんだと言ってもなかなか理解せず、何回か同じ問答をした挙句、ようやく理解して操作を始めましたが、こんどは精算金額がイメージに合いません。それを指摘すると、だったら有人窓口へ、と言われました。

そして回った有人改札ではまた一からやり直しで、ハンディタイプの暗証番号の入力機で入力。Suicaの減算の段となって、「元町から620円」とさっきと同じ回答です。
ようは発券駅までの運賃は別払いという例のルールですが、ICカードは連絡改札に出場記録を付ける機械がある(市内駅の外れまでの減算)ということを新大阪駅発券でも適用になるという勘違いでしたが、同じ「大阪市内→東京都区内」の乗車券が未使用の状態で、改札を出てもいないのに同じICカードで乗車してきても片や390円(元町→加島)、こなた620円(元町→新大阪)というのはやはり納得がいきません。

さて紙ベースですから当然着地は東京都区内ですから、東京駅の連絡改札では乗車券は回収されません。ところが困ったことに、最終の降車駅は津田沼です。きっぷベースなら都区内最終の小岩からの乗り越しになりますが、東京−津田沼を含む区間の定期券を持っているので追加料金は不要のはずです。

しかし津田沼で入場記録の無いSuica定期券をタッチしてもエラーになります。JR東日本の自動改札機はきっぷの挿入とICカードのタッチと言う併用は出来ません。
面倒くさいな、と思いながらも精算機にきっぷを入れ、小岩から210円の精算金額の表示にSuica定期を入れると、「取り扱いできないので有人改札へ」とのメッセージです。

乗車も降車も機械に撥ねられるとは嫌になりますが、気を取り直して深夜の有人改札に回ると、きっぷと定期券を一瞥した駅員は、定期券を返して「タッチしていなければそのままお通りください」と一言。確かにそれが正解ですが、変な気分です。

●釈然としない「別払い」
別払いというよりも二重払いというべきでしょうか。「大阪市内」発のきっぷを受け取るのに、加島−新大阪に相当する運賃を二重に払わされることは、そういうルールということは承知していてもやはり違和感を拭えません。

その駅まで行かないと受け取れない、買えないというきっぷでも、購入したきっぷがそこまでの運賃をカバーしているような場合は、その駅までのきっぷを払い戻す、乗車記録を取り消すということは、特に関西私鉄各社における定期券購入や企画券購入ではごく当たり前のサービスであり、そういう意味でも違和感が強いです。

また、「EX-IC」の場合は前後の新幹線駅から在来線駅までの運賃が別払いになるわけで、「EX予約」よりも100円ないし200円安いことでカバーされる、とはいえ、その割引が適用になるのは都区内、横浜市内、大阪市内が絡む一部の区間に限定されています。

特に新横浜のように、定期券でカバーしにくい横浜線利用が絡むことで、目的地が新幹線駅で無い限り持ち出しが必至というケースもあるわけで、それが数十円から数百円とはいえ、法人契約の場合は年間で積み重ねると実数では馬鹿にならないわけで(要は1%〜3%程度のコストアップになる)、コストアップどころか数十%単位での経費節減が至上命令のこのご時勢、「EX-IC」への切り替えは予算管理部署での議論を巻き起こしていました。

そのせいもあるのでしょうか、今回利用した2回とも、検札時に「ご利用票」を提示しているケースはほとんど見られず、逆に「e特急券」と乗車券でしょうか、リズミカルにスタンプを2回押す音がしきりに響いていました。
同僚に聞いても、「EX-IC」での利用は思ったより目立たないようで、「EX予約」はけっこう普及している中、価格面でのビハインドがあると言う前提の「EX-IC」での利用を法人会員が認めていないケースも多々あるのではと疑いたくもなります。

「EX-IC」カードと「ご利用票」


●事前受け取りの「リスク」
新大阪駅員は「元町で受け取っていれば」と気の毒そうな素振りは見せてくれましたが、発券後の「e特急券」の「変更」は、無手数料の払戻を窓口で行なったうえで、無割引の新規購入になる、とカード添付の利用ガイドに明記してあるので、無割引では話にならないので困ります。もっとも、改めて「EX予約」をすればいいとか、同日同区間に限っては変更可能という情報もあるようですが、いずれにしろそれなりに制約がある中で、早いタイミングで発券することはリスクを背負うことになります。

実際、今回は元町で乗車して、三ノ宮まで来たところで新快速の遅れが判明し、予約を変更して事なきを得ているわけで、これが元町で発券していれば、三ノ宮で120円払って降車するなど、発車時刻までにみどりの窓口に並んで払戻手続きを行なう必要があるわけで、時間もお金も損をするわけです。

このあたりは航空とのバランスも気になるところで、航空は変更が効かない割引運賃でも出発後の払い戻しが出来ますし(東阪間の特割1で出発時刻後の取消手数料4000円。出発時刻前は1000円。電話や携帯などのサイトで取消が可能)、変更可能な運賃であれば出発時刻後の取消手数料4000円(東阪間の場合)となり、運賃の種別を問わず別途払戻手数料が210円かかります。

「EX予約」「EX-IC」の場合は発車時刻前なら320円+210円(「EX-IC」は300円)、発車時刻後は特急券相当部分(「EX予約」の場合は+210円=乗車券相当部分に対する手数料)と、ほぼ航空と同レベルか心もち高いレベルですが、「e特急券」受け取り後は発車前日以降発車時刻までの払戻に関しては特急券相当部分の30%+210円と、従来の紙ベースのルールと同じとはいえ、比較すると重めに見えます。

ただし、発車後であっても同日同区間であれば自由席に乗車できるという新幹線お馴染みの救済措置があるのは大きいです。

「受け取り」が無いことで変更、払戻のルールが発車時刻を基準に航空と同じように単純化されているのも「EX-IC」のセールスポイントなのに、それが生きない。特定市内駅制度を使わないことによるコストアップが一種の保険料ということになるということでしょうが。

ついでに言うと、昨秋の切り替え当初に会社の総務部門に「EX-IC」カードで「e特急券」利用が出来るのかを問い合わせたところ、来春、つまり2010年春に紙ベースの発券ができなくなる、という回答があったのも気になります。
総務部門とはいえ必ずしも鉄道に詳しくないうえ、往復割引との併用の問題もあるのでにわかには信じられませんが、「EC-IC」利用は特定市内駅制度をあっさり捨てただけに、往復割引適用と見なされる場合は然るべき割引を行うと言う前提で、新幹線駅相互間利用限定のチケットレスサービスに全面移行するのかもしれません。

●「普段使い」との連携がいまひとつ
「EX予約」「EX-IC」の使い勝手で気になるのは、普段の利用手段との連携がいまひとつということがあります。

「EX予約」の場合、前後の区間でSuicaなどICカードを使う場合の不便は体験の通りですが、逆に「EX-IC」の場合は前後の区間に有効なICカードを持っていないと連絡改札が通過できません。

JR本州3社のICカードを持っていれば大丈夫なんですが、日常の利用においてはICカードを必要としないとか、日常生活圏が私鉄沿線のためPASMOやPiTaPaが便利な場合もあるわけで、日常生活においてはそれぞれのエリアでJR線にも乗れるので不自由はしないのに、出張のときに特に出張先の降車駅で面食らうケースが現実に出ています。

連絡改札にICカードの残高不足用にチャージ機を置いてあるのは便利ですが、一歩進めてそこからの在来線乗車券の券売機を設置してほしいです。JR系のICカードが無くて足止めを食った同僚の話だと、有人改札で乗車券を求めようとする人が多く、かつ先客がトラブッており、購入して出場するまで相当時間がかかったとのことですし。

また、往復割引の利用や、最寄り駅が新幹線駅でないケースの場合。また、最寄りの新幹線駅から新幹線に乗らず、「のぞみ」が多く停車するターミナルから乗車するケースにおいて、「EX-IC」が対応できないことも不便と感じる面でしょう。

このあたりはこれまでの「EX予約」だとe特急券のみの発行で対応が出来たわけで、「EX-IC」はその点が不便です。特に神戸市内から東播エリアの場合、新神戸や西明石を使わず、新幹線の本数や最寄り駅の関係で新大阪まで新幹線、そこからJR神戸線という利用法が多いだけに、「EX予約」での新幹線利用区間選択という機能を重宝していました。

こういうケースの為に「e特急券」が選択できる、と思うでしょうが、個人会員の場合は「EX予約」のカードと「EX-IC」カードの2枚使用なのですが、法人会員の場合は「EX-IC」への切り替え時に「EX予約」のカードを回収されているのです。
また法人会員となっている企業の場合、出張時には否が応でも「EX-IC」もしくは「EX予約」を使わざるを得ないと言う事情も無視できません。

切り替え時にもらったカード添付の利用ガイドはICサービスに紙片を費やすのみであり、そのため従来の「e特急券」での利用が出来るのかどうかが分かりづらく、「EX-IC」カードへ「切り替えた」と言う現実と合わせて、もう「e特急券」での利用が出来ないと思い込む人も実際にいるということは理解すべきです。

●納得できる制度とは
粗はそれなりにあるものの、使い勝手はかなり良く、新幹線単独の利用に関していえば航空に引けを取らないレベルといえます。

惜しむらくは在来線利用との整合性であり、アクセス手段との連続利用が無い航空に無い悩みとはいえ、その連続性、運賃面でのシームレスが新幹線のメリットなだけに、ここでの「もたつき」は惜しまれるところです。

こうした「粗」について論じると、「そもそもそういう制度だから」「かくかくしかじかの理由で出来ないんです」という説明や、それくらい知っていて当然、という意見を目にすることも少なくありません。

確かに今回ここで論じた事項は、鉄道に詳しい人から見たら何をいまさらの話であることは間違いないわけで、「交通論」を看板にする場でいまさら話すことが不見識と言われそうです。

しかし、一利用者として今回の体験を振り返ったとき、また、周囲での利用体験を聞いたとき、「鉄道に詳しい」人には当たり前の事象であっても、それが世間一般の常識に照らし合わせて妥当なのかどうか。
少なくとも「EX予約」が利用できるJR西日本の区間内において、受け取る駅によって同じ乗車券の組み合わせなのに運賃が異なると言うことが合理的に説明できるのかどうか。

また、「e特急券」利用の場合を含めて、連絡改札を抜けた長距離きっぷとIC定期の組み合わせでは、精算が必要ないのに改札をすんなり抜けられないこと、そして技術的対応を取らないことが合理的に説明できるのか。

そこに何らかの不合理が見出せるのであれば、そういうシステムだから、そういう制度があるからと説明するのではなく、システムや制度の妥当性を疑うのが自然な行動と言えるのです。







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