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「エクスプレス予約」の使い勝手

いろいろなパターンを体験することで見えてくるもの



普段から航空がメインの出張ですが、最近東海道・山陽新幹線の「エクスプレス予約」と「EX-IC」を使う機会も増えてきました。
以前「EX-IC」の使い勝手について論じてみましたが、最近の使用例を通じて、基本的な利用では無い部分に不便を感じることに気が付いたのです。


●「エクスプレス予約」「EX-IC」の利用
仕事柄出張が非常に多いのですが、これまで航空利用が大半だったのが、担当する業務の関係で最近新幹線利用も増えてきました。
まあ手段ですからあくまで適材適所ということですが、そうなると会社支給で持たされている「EX-IC」を使う機会も当然増えています。

実は東海道・山陽新幹線以外の鉄道利用もあるのですが、法人契約がJR東海であり、モバイルSuicaなどのサービスとは無縁です。もちろん個人的に加入すればいいんですが、そこまではしていません。
そうなると駅で予約するとか、庶務担当に頼んで取ってもらうと言う旧態依然の方法がメインになるわけで、贅沢な話ですが、ちょっと前まで当たり前だったやり方にも不便を覚えるようになっています。

こうした中で「新幹線でECO出張」となるのは出張先が中部地方といった空路が使えない中距離の場合がメインですが、中には新幹線で出張先をはしごすると言うケースもあるわけで、広島県や山口県下のように単独なら迷わず航空という場所でも、関西などとハシゴとなると、敢えてICを使わずe特急券にして、乗車券は途中下車という鉄道ならではのルールを活用してコストダウンをしています。

もっとも、昨今は乗り切り制への誘導があからさまであり、そうなると途中下車ルールのような鉄道ならではのメリットも生きてきません。
航空も事実上乗り切り制ですからそれは仕方がないですし、出張者個人の懐は痛まないにしても、予算管理という意味でコストに跳ね返るわけで痛し痒しですが。

まあ最近ではようやく車内改札でも「EX-IC」のご利用票を提示する人が目立つようになっており、途中下車制度を利用しない人が多くなったというか、制度があることを知らない人が増えており、良く言えば分かりやすくなってきている、悪く言えば実質値上げという事業者の思うつぼになっています。

●気付いた使い勝手
余談はさておき、こうして利用機会が増えた新幹線、「EX-IC」を専ら使っていますが、最近多い使い方において、使い勝手の悪さに気が付いたのです。工場など事業所の訪問が多くなったこともあるのですが、こうした施設の常として、最寄りの駅が遠いばかりか、新幹線の駅も拠点駅ではなく事実上「こだま」専用駅ということもしばしばです。
そうなると東京や品川との行き来において「こだま」乗り通しというわけにはいかず、「のぞみ」「ひかり」「こだま」を乗り継ぐことになります。

もちろん「エクスプレス予約」を含めて乗り継ぎ利用に対応しており、静岡県−山口県のような利用を想定して3個列車までの乗り継ぎに対応しています。ですから問題はない、と言いたいところですが、実際に乗り継いでいく際を考えると、有難迷惑というか、もう少し柔軟に対応してほしい面があるのです。

なお、前から言われている九州新幹線「みずほ」「さくら」への対応についてはようやく山陽区間内での利用に関して夏ごろから対応するようです。
山陽区間の「こだま」駅の利用においては、新大阪方面への接続が「みずほ」「さくら」というダイヤになっていることもあるわけで、先発の接続パターンに乗れないとか、新下関−福山のような利用においては、福山停車の「さくら」に乗れず、「こだま」「のぞみ」乗り継ぎの提示が出てきます。(40分強遅くなるパターン)
これが解消されるだけでも大きいですが、なぜ昨春の段階で対応しなかったのかという思いはあります。

●最短乗り継ぎにこだわられても
まず指摘したいのが、乗り継ぎ利用の場合、指定されるのは最短での乗り継ぎだけということ。
そりゃそうだ、と言われそうですが、「こだま」駅から乗車して「のぞみ」に乗り継ぐ際、仕事帰りであればビールや弁当を買ったり、家や部署へのお土産を買うことも多々あるわけです。「こだま」駅で買えばいい、と言われそうですが、駅によっては弁当屋もなく、店はJR系列のコンビニだけ、駅前に何もなし、という新幹線駅も存在するのです。さすがにコンビニで最小限の弁当や土産物は置いていますが、特に弁当類は売り切れることも多く、選択肢が限られます。

そういう時、せっかく新幹線コンコース内の売店が豊富な拠点駅で乗り継ぐと言うのに4分程度の乗り継ぎを指定されてしまうと何もできないわけです。特に東海道なら「のぞみ」の本数は多いですから1本落としても10分程度の違いですから、そういう利用は想定内のはずでしょう。

実はこういう時の予約方法としては、「列車名を指定しての予約」になるのですが、列車名をいちいち打ち込むのも大儀ですし、変更となると携帯からこの作業は非常に面倒です。「エクスプレス予約」は携帯で簡単に予約・変更を謳う割に動作・手数が多く、手間を考えると「時間帯を指定して予約」以外で予約している人がどれだけいるか疑問ですし。

なお、さすがに乗り継ぎ回数が異なると複数案の提示があるようで、後述の新下関−姫路のような形態では、「こだま」(徳山)「のぞみ」(岡山)「こだま」と、「こだま」(広島)「のぞみ」の2パターン(および「こだま」乗り通し)が提示されますが、常識的な範囲でファジーなパターンを提示できないものでしょうか。
特に山口県下からの利用においては最寄りの新山口や徳山乗り継ぎと広島乗り継ぎの2パターンの提示が欲しいところです。現行では「列車名指定」でしか対応できませんが、ほとんどありえないような「こだま」乗り通しを提示するくらいなら、有り得るバリエーションのほうが重要でしょう。

●複数列車指定の時のルール
遠距離通勤で出張時には「こだま」駅を愛用している同僚から聞いたのですが、名古屋で上りの「のぞみ」「こだま」を乗り継いで帰る際、案外と「こだま」が指定席が埋まっていることがあり、その時「こだま」の指定が取れないと全区間自由席になってしまう、というのです。

これは「こだま区間は自由席利用」のチェックボックスで回避できますよ、と教えたのですが、山陽区間絡みで「ひかり」「のぞみ」乗り継ぎだとこのチェックボックスが出てこないのです。

例えば新下関から東京まで、広島で「ひかり」「のぞみ」を乗り継ぐパターンがありますが、「ひかり」が取れなかったら「のぞみ」も取れません。
「列車名を指定」での対応も同じでしょう。自由席利用のチェックボックスがありませんから。
逆パターンとしては京都から徳山とかもあり得ます。京都−新大阪の「のぞみ」が満席だと山陽区間の「ひかり」も取れないということになりますが。

まあそうした末端区間で満席リスクは限りなく低いとはいえ、団体その他の事情でまさかの区間で満席ということもありますし、上記の同僚のように実際に体験者もいるだけに、改善してほしいポイントです。

上記の乗り継ぎにも言えることなんですが、そもそも「のぞみ」乗り継ぎのチョイ乗り区間で列車名を指定させること自体が実態に合っていないわけで、「こだま」区間は自由席利用を指定したら、「のぞみ」区間の候補だけがズラズラ出てくる、という方が便利でしょうし、さらに進めれば乗り継ぎの場合、常に列車ごとに自由席選択が欲しいです。

●直前の変更
これは私自身が体験したケースですが、仕事が終わって新幹線駅までタクシーで急いだ時の話です。
ギリギリの新幹線に乗れるかどうか怪しかったので、1本後の新幹線を予約していたのですが、道路が空いていて間に合ったのです。

同僚はみどりの窓口や指定席券売機に取り付き、間に合った新幹線を購入していたんですが、私は乗れなかったのです。
そう、エクスプレス予約の変更は「直前まで何度でもOK」と謳いながら、直前の列車には変更できないのです。門限は6分前。このルールに引っ掛かって乗れなかったのです。

駅に着くまで見極められないケースは多々ありますが、車寄せから改札、乗車口が遠い大駅ならともかく、簡素な駅であれば6分前というのはどうでしょう。乗り継ぎ標準時刻が4分とか言う駅だってあるんですし。

謳い文句とは違う現実に跳ね返されたショックは大きかったですが、どうしても門限が必要ならば、例えば券売機や窓口でなら扱える、というような対応が欲しいです。



以上、実体験に基づく使い勝手の問題点について述べましたが、「エクスプレス予約」「EX-IC」は全体的にはよくできたシステムです。
しかし特段マニアックな利用でもないケースにおける対応が今一つであったり、携帯での操作が時間がかかることもあり、このあたりは要改善と言えます。特に操作性の問題は、駅にいる場合は窓口や券売機で対応できるようにしてほしいですね。券売機にカードを突っ込めば予約確認画面が出て、変更操作がPCのように出来れば文句なしでしょう。






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