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安易な規制が招く重大な危険
外環三郷西ICの出口渋滞はなぜ起きたか

外環三郷西にて(2005年7月撮影)


2005年11月6日 外環道三郷南IC開通に伴う加筆修正


東京外環道の外回りは現在外環三郷西が最終の出口となっていますが、2004年の年末あたりからこの出口で激しい出口渋滞が発生し、本線上にまでその車列が伸びています。
1992年の開通以来、交通量は確かに増えていますが、出口渋滞は常態化していなかっただけに、何かあったのか、と疑わさせるに足る出来事です。

潮郷橋の上まで伸びている渋滞。トップの写真に
ある出口分岐はひとつ向こうの看板の下
(2005年7月撮影)

実はこの変化はある出来事が明らかに契機になっています。
それは、外環三郷西の出口ランプが、側道となっている片側2車線のR298の右側車線に合流する箇所で、これまで合流後左側にすぐ車線変更が出来たものを、その先の交差点まで車線変更禁止に改められたのです。
外環道からのクルマにつき、その交差点での左折禁止を敷く反面、R298からのクルマは右折を認めているため、出口ランプからの合流地点は右から左への車線変更を禁止する反面、左から右への車線変更が可能になっている(黄色ラインの左側に白破線が併記)ため、外環からのクルマが滞留するどころかR298を走行するクルマに被せられると言うきわめて危険な状態になったのです。

出口ランプからR298への合流(2005年8月撮影)合流後最初の交差点(2005年7月撮影)

おそらく3月末に三郷から松戸までの4車線化に伴い、左車線への変更をそう必要としなくなると言う目論見があったのでしょうが、この出口渋滞はR298の4車線化後も収束しませんでした。
それどころか、これまでR298の右側車線はその先で常磐道と首都高の三郷ICの西入口になるため走行するクルマ自体が少なかったのが、松戸まで4車線化されたことで「追越車線」として通行量が格段に増えました。
これではますます外環からのクルマがR298に合流することが難しいわけで、平日休日を問わず渋滞が常態化している感じです。

ひとつ先の交差点は三郷ICの入口(2005年8月撮影)

同様に高速道路の「終点」の出口ランプが側道の国道に合流するスタイルと言うと首都高湾岸線の千鳥町ランプがありますが、あそこはオフランプの長さを十二分に確保し、さらに合流地点の車線制御は左から右への車線変更を禁止する反面、右から左への車線変更が可能になっている(黄色ラインの右側に白破線が併記)という正反対であり、かつすぐ先の信号(高浜交差点)手前で高速から合流した側の右車線が1車線増えると言う対応を取っていました。(現在は高浜立体が完成し、千葉方面は高浜交差点をオーバーパスする専用の出路が確保されている)
これと比較すると、外環三郷西の「異様さ」が解るかと思います。

さてこの論外とも言える規制ですが、さすがにそれが原因と気づいたのか、この夏に走った際には合流地点から白破線のみに変更され、車線変更(=外環からのクルマを左車線にも流すことで滞留を減らす効果がある)が可能になっていましたが、右側車線の交通量が多いため、あまり奏効していない感じで、結局潮郷橋の上や手前から路側帯に停まってノロノロ進行となりました。
路側帯で見てますと、潮郷橋のあたりは隣りのR298はスイスイ流れており、ちょうど外環三郷西出口との合流地点の先の信号で若干溜まることで出口を塞いでいる格好です。ですから余計に外環道側が割を食った格好です。
R298がこの程度の交通量であれば、R298は潮郷橋の上あたりで1車線(左側車線)に絞り、右側車線は全部外環道からの流出に明け渡すと言うような対応が必要でしょう。R298から来て信号で右折するクルマへの対応が問題になりますが、一つ先の信号でUターンさせればいいでしょう。実際、完全に車線変更を禁止していた当時、外環から左折するクルマに一つ先の信号でUターンさせていたのですし。

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この事態で問題なのは、やはり路側帯で停車を余儀なくされること。東埼玉道路(準備)との分岐付近(八潮八条のすぐ西あたり)で「この先渋滞」という表示を出した作業車を置いていますが、潮郷橋に向かって左カーブを切るところが渋滞の最後部となるようで、防音壁でブラインドになる側の一番見えにくい左隅に停まっているのを発見することは厳しいです。

このようなシチュエーション、かつては東名の大井松田−御殿場の上り新線が開通した当時、大井松田で車線が3から2に絞られることで生じた渋滞が、64kmポスト付近の右ブラインドカーブ(ここも防音壁が立ってる)を最後尾にすることが多く、追突事故が異常に多発したことがありました。
これは厚木までの3車線化や、ブラインドカーブの視距を多く取るべくカーブの車線を左側に振り直したことで解決しましたが、三郷西の場合は年度末の三郷南までの開通まで、そうした対応は不可能です。

東埼玉道路との分岐予定地(2005年7月撮影)この左カーブの先はすぐ潮郷橋(2005年7月撮影

高速道側も問題が無いとは言えないわけで、外環三郷西を過ぎると三郷JCTとなりますが、ここで1車線に絞る際、右側車線ではなく左側車線に絞るのです。このため、外環三郷西出口の問題が無かった当時は、逆に常磐道や首都高へ向かうクルマで三郷JCT内が渋滞しているとき、外環三郷西の出口を塞ぐ格好で渋滞することが多々ありました。
その車線規制が生きているため、出口渋滞の車列側を通過してJCTに向かうクルマ(特に大型)が多く、風圧と振動で生きた心地がしないのも事実です。

高速道で渋滞の車列に後続が突っ込み、重大事故になるケースは後を絶ちません。この夏も8月7日未明に東名沼津の手前で一家4人が乗った軽乗用車にトラックが突っ込み、軽の母子3人が亡くなる(運転していたご主人は重傷)と言う痛ましい事故がありましたが、実際にあそこで「最後尾」になった経験から言うと、「万が一」の事態には対応出来ない(即座に車外に逃げたり、クルマを逃がそうにも、左は防音壁がぴったり張り付き、右は高速の本線)だけに極めて危険な状態に利用者を晒しているわけです。
先に記した対策も、R298側に負担を強いるとはいえ、年度末の三郷南開通までの辛抱であり、一方で外環道側はそこまで無対応でいることは許されません。埼玉県警と吉川警察署は緊急の再対策が必要です。


【補遺】
外環道三郷JCT−三郷南ICについては、2005年11月27日15時に開通すると言う 発表 がありました。
これにより、外環三郷西の出口渋滞の大半は解消に向かうことが予想されます。あとひと月足らずですが、重大事故などが発生しないよう祈るばかりです。



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