このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください





免許更新での体験から
「安協」は「みにくいアヒルの子」になれるか




免許の取得、更新時になにかと話題になるのが交通安全協会です。
加入は任意であるのに、免許更新の法定費用と同時に徴収するとか、その際に合算した金額で案内するとか、あまり芳しくない話があるのも事実です。

私の場合、千葉県で免許を取得、更新してきましたが、幕張の免許センターでは協会の受付は別にあったため、加入してないどころか勧誘の声も聞き流してきました。ところが神戸に引っ越してきてすぐに更新時期となり、兵庫県の明石免許センターに行くと、県証紙の窓口で同時徴収になっており、その時点で既に同時徴収に対する批判が高まっていたこともあり、いまさら何を、と思いました。

兵庫県の場合、2005年9月になってようやく分離しており、先日伊丹の免許更新センターで更新したときにも確かに分離されていました。しかし、長年の「慣行」に対する批判や、各地での不透明な会計の実態があっただけに、分離したとたん加入率が激減して、それまでの5割台から2割程度になったそうです。

協会そのものが天下りの受け皿とか酷評されているわけで、存在意義そのものに疑義があることは確かです。もちろん協会の活動の中には社会的意義の高い事業もありますし、チャイルドシートの貸し出しのように恩恵に与ったものもあり(会員でもないのに申し訳ないですが...)、一概に無駄とは言えませんが、免許記載事項変更に赴いた警察署で書類の体裁チェックをする協会員を見た時には、後ろの席にいる警察本体の事務方が片手まで出来る仕事をなぜに、と思いました。(窓口業務全般をアウトソーシングしているのなら民間でもある話で、話は別ですが)

さて、協会の受託業務には免許更新時の安全講習があります。
今回の更新でも受講したわけですが、ビデオ放映の前にいきなり講釈が始まりました。ビデオは交差点での出会い頭事故への警鐘をテーマにしていたんですが、その講釈は、交差点での注意ではなく、ABS装備車が増えているのに、急ブレーキを掛けたまま後は何もしないで衝突コース一直線と言うのが多すぎる(ビデオ画面でもそうだった)、と言うものでした。

あれよあれよと言う間に、ABS最大の特徴は急ブレーキでもハンドルが切れるのだから、避けられる場合はハンドルを切るべき、そのためにはブレーキが踏み込めてハンドルが回せる正しい姿勢で、とかなり実戦的な、ビデオのテーマからはかなり脱線した話になっていました。

まあ知ってる人には当たり前の話でしょうが、意外と目からうろこの世界でもあり、かつ、警察と言えば何とかの一つ覚えのようにハンドルで避けるな、まずはブレーキ、と繰り返してきた割には、ブレーキが先とはいえ、ハンドル操作を重視したレクチャーは目新しかったです。

考えてみれば、警察、協会にはそういう事故情報などのデータ蓄積はあるわけですが、こうした「資産」を生かしきれていないどころか、実効性に乏しい規制その他で握りつぶしているきらいすらあるわけです。
逆に言えば、そういう「資産」を生かす方向で取り組むことで、とやかく批判の多い協会も、少しは有益なものに刷新できるはずです。

例えば、上の講習じゃないですが、ABS作動時のハンドル操作体験というような、現実には事故るかどうかの瀬戸際でしか発生せず、やたらと体験できない事象を体験させる実技講習会とか、飲酒運転の危険性を認識させる飲酒運転体験会(これは無理かな?)とか、現状ではJAFあたりが実施しているような行事を主催することはどうでしょう。
それへの参加は会員に限定する、というような、現状の免許カバーとお知らせはがき程度のどうでもいいようなメリットとは比較にならないメリットを打ち出すことで、入会の促進になるわけです。

もちろんそんな延命策など不要で、廃止すべきと言う意見もあるでしょうが、現実には講習業務その他のアウトソーシング先であり、協会がなくなれば現状でも赤字で補助金として税金が投入されているのが、さらに全額税金で対応することになる業務も多いです。ならば存続を前提にして、少しでも収支改善を図るとか、有益な還元を図ると言う努力も選択肢であり、ちょっとの工夫で汚名返上のチャンスですが、結局は百年河清なんでしょうね。






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