このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
駐車監視員活動ガイドラインの問題
再び改正道交法の施行に反対する
先に改正道交法による駐車違反摘発方法の変更について、施行を見送るべきとして批判しました。
その一方で、警視庁をはじめとする各都道府県の警察本部は、今回の施行に備えて「駐車監視員ガイドライン」を2006年4月27日にいっせいに公表しました。
どこで、どのように取締りが行われるかを推測する最後の判断材料でもあり、取り敢えず土地勘のある神戸市内と船橋市内、市川市内を中心に見てみました。
見た感想としては、最初から「飛ばし過ぎる」と批判が大きいと考えたのか、かなり控えめな路線、地域の指定となっており、結果として指定に伴う不便よりも路駐による不便のほうがかなり勝る地域を対象としていることから、その意味では無難な指定と言えます。
しかし、個別に見ていると、地域の実情ではない事情を優先したと詮索したくなるようなケースや、先に指摘した問題点がまさに発生すると思われるケースもあります。また、都道府県によって「やる気」の有無がはっきり分かれているケースもあり、結果として「(地域によって)正直者が馬鹿を見る」ことになりかねないだけに、やはり施行を中止すべきとしか言いようがありません。
●千葉県警のケースに見る問題点
まずは千葉県警の船橋署、船橋東署、市川署、松戸署、松戸東署管内を見てみましょう。
総武線沿いの市川、本八幡、下総中山、西船橋、船橋、津田沼の各駅周辺と、市川大野、原木中山、北習志野、松戸、新松戸、北小金、常盤平、五香の各駅周辺と小金原団地付近が対象になっています。
この指定は概ね妥当と言えますが、大まかな区分として船橋法典と八柱駅周辺がなぜか漏れているとか、若干おかしな部分があります。
指定路線及びエリアの内容を見ますと、監視員の巡回の便を優先したのか、面的指定のほうに力点が置かれすぎるきらいがあり、路線としての指定がいま一つであり、路駐による影響が大きい幹線道路で、例えば県道松戸市川線や木下街道、成田街道のようにエリアを外れると指定対象外と言うケースが多く見られるのでは規制の実が上がるのか心配です。
また、エリアも、市川署の場合、産業道路から京成線までの区間に限定されており、京成以北の国分街道や県道51号のような「難所」が外れているのは疑問です。船橋署の場合も北口のバス通りの天沼交差点から夏見台団地付近あたりが漏れたのも意外です。
逆に特に総武線以南のエリアが広範囲に指定されていますが、このエリアはいわゆる木密エリアの面があり、駐車場が自宅から離れた場所にあるケースが多いため、自宅前に停車して人荷の積み下ろしで車両を離れて摘発という可能性が大きいです。このあたりは青空駐車でもない限りは常識的な運用が必要ですし、事前の策として終日の指定ではなく、早朝深夜は除外してもよかったでしょう。
あと、千葉西署管内の海浜大通り(第二湾岸)が指定されていますが、ここは片側3車線+路側帯と余裕があり、南側(海側)の路側帯は休日のみ駐車禁止が解除されています。
ここに関しては、延長がある海岸へのアプローチの割に駐車場の場所が東側に偏っていることもあり、指定よりも北側の路側帯もあわせて終日解除するようなメリハリが欲しかったです。
ただ、全体的に見るとだいぶ考えて指定されており、船橋東署の指定を見ると、北習志野駅周辺の指定は、3街区裏の通りや中央通りのレンタル店渋滞をカバーする微妙な調整も入っています。指定時間も都市部は終日、ベッドタウンは7時から23時もしくは1時と、メリハリがついています。
●兵庫県警のケースに見る問題点
ついで兵庫県警の東灘署、灘署、葺合署、生田署、神戸水上署管内を見てみましょう。
原則として国道2号、山手幹線、山麓線の主要東西道路と、南北幹線の主要なものを概ね指定しています。(国道43号線は防音壁に囲われており駐車どころか停車のしようもないためか指定されていません)
エリアとしては各駅周辺が原則となっていますが、商店街の周辺など路駐が多い、常習犯的なエリアが案外と外れているなど、「市民生活に配慮」したのでしょうか、粗が目立ちます。
また、指定時間も原則9時から18時と、ラッシュ時間帯、特に夕ラッシュと買い物需要が重なる時間帯に甘いのが気になります。三宮周辺など一部は5時、もしくは7時から22時となっていますが、新神戸から三宮を通り税関前までのフラワーロードが朝8時から22時と、朝ラッシュ時を除外しているのはなぜなのか、不思議な点が目立ちます。
結果、全体的に「及び腰」な指定となっています。違反に良いも悪いもないのは承知していますが、路駐の「マナー」と言う意味でも、交差点内にはみ出したり、交差点内であっても路駐するようなひどいケースが目立つ土地柄にもかかわらず、どちらかと言うと「緩い」ガイドラインになっているのでは、本来の目的達成には程遠い結果になりそうですし、逆にノルマ稼ぎのボーダーすれすれの摘発が多発する懸念すらあります。
●都道府県による濃淡の問題点
今回のガイドラインは路駐が社会問題化するような大都市部を中心に適用されています。ですから地方の警察署管内でははじめから対象にならないケースがあることは当然です。
しかし、それを割り引いても首をひねらざるを得ないほどの「濃淡」があるのも事実です。
例えば上記の千葉県警は、千葉、船橋、松戸など京葉、東葛エリアを中心とした9市を対象にしています。また埼玉県警も県北や秩父を除く20市以上、警視庁は全市を対象にしています。
しかし、関西に目を転じると、「緩い」印象を受けた兵庫県警の場合は神戸市内の9署だけで、神戸市内でも有野など裏六甲の管内や西神は対象外ですし、姫路、明石、芦屋、西宮、尼崎など播州や阪神間の各都市も対象外です。
西宮や芦屋は路駐がたいしたことがないかというと、神戸と比べても遜色がないどころか、芦屋のように道路整備が遅れていることもあって路駐による影響が大きいわけで、これはどうしたことでしょうか。
そして路駐といえば大阪と言う不名誉なイメージが定着していますが、ここも大阪市内だけで、政令市の堺、また吹田や高槻、豊中に枚方といった府内各市は対象外です。
このように都道府県によって濃淡があり過ぎるというのも極めて問題です。都道府県によっては都市部の住宅街が終日指定なのに、一方では中心街の商業地でも対象外とか日中のみ指定では、同じ法律の適用において格差が大きすぎ、法の下の平等とまでは行かずとも、公平性を著しく欠くとしか言いようがありません。
以上のように、全般的には批判に配慮したものと言う一定に評価が出来る今回のガイドラインですが、その適用、運用範囲に地域差がありすぎることや、根本的な問題点の存在はそのままになっていることを考えると、やはり今回の施行は見送るべきです。
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