このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください





路上駐車との上手な付き合い方
ある地方都市の工夫を見て




2006年6月の改正道交法施行による駐車違反摘発の厳格化、効果は絶大とのことで、駐車監視員の増強や対応エリアの拡大を具体化しているようです。
確かに道路はスムーズに走れるようになっています。しかし、クルマを使うときは目的地に駐車場の有無を確認するようになり、駐車場がない場合はそういう目的地は避けるという傾向がより鮮明になったというのを実感します。
特に、クリーニングなどかさばってかつ汚れたら困るようなものなどは、クルマで行くケースが多いわけですが、実際には店先での受け渡しには時間がかからなくてもやはり心配なので、駐車場がある遠い店に行くというような、クルマでの無駄な移動という意味では本末転倒な選択をするようになっています。

先日は近所のラーメン店に入ったのですが、通常なら混んでいて待たされて当然の時間帯なのに、妙に空いています。これも路上駐車をしなくなった効果なんですが、環七や環八のように路上駐車をすると車線が完全に塞がれるというような道路なら摘発も当然でしょうが、路側帯が充分に取ってあり、普通の乗用車ならきちんと寄せればまず交通に影響しない道路なのに重点道路に指定されています。

店も店先に監視カメラ?を設置して店頭での取り締まり状況を確認できるようにしているのもいい根性をしていますが、死活問題という認識なんでしょう。
個人的にはそこへクルマで行くことはないのですが、このままいって客足が落ちて閉店にでもなるとそれはそれで困るわけです。「違法行為」前提の商売の擁護はけしからんという向きはあるでしょうが、地域経済の崩壊という意味では少なからぬ問題でしょう。道路が空くという効果はすぐに目に見えますが、客足が落ちて経営が傾くというのはやや時間差があります。今後、櫛の歯が欠けるように店じまいをするケースがそこかしこで出てくるかもしれません。

そういう迷惑にならないようなケースまで重点区間に指定する反面、少しの路駐でも迷惑な区間での取締りが相変わらず手薄で、元の木阿弥のように駐車車両が目立つケースも出てきています。また、これまであったパーキングチケットに寄る駐車スペースが廃止されたケースまであるように、メリハリどころか一方的な厳格化も進んでおり、公平かつ効果的な運用を切に願いたいです。

また、「違法行為」前提の商売というとより悪質なのがドライバーに酒類を平然と提供する飲食店ですが、飲食店の摘発はよほどの例外を除くとついぞないのが現実ですが、駐車禁止に対する「情熱」と比べるとあまりの落差に驚きます。
こうした重点課題の「取り違え」が、先日の福岡での悲惨な死亡事故をはじめとする飲酒運転事故が後を絶たない原因でもあるわけで、まず何をすべきかも含めて、「交通取締り」の優先劣後を決めてもらいたいです。


さて、クルマに依存せざるを得ないことも多い買い物ですが、郊外の大規模ショッピングセンターに対して、いわゆる中心市街地は駅前ということで公共交通機関に頼り過ぎていたり、古くからの市街地で、駐車場を充分に確保できないケースが目立ちます。
それでもこれまでは路駐することで対応できたわけですが、一方で通行が困難になってしまうという弊害も目立ちました。

こうした中心商店街、今回の厳格化により道はスムーズになっても、客が来なくなっては商売上がったりで、郊外との競争に関しては、実は大きなハンデを背負うことにもなっていました。

そういう中心商店街の駐車場確保、アイデアはあってもなかなか具体化に至るまでには、誰が土地を提供するのかとか、誰の資金で駐車場を作るのかというように、問題は山積です。
そういうなか、先日訪問した福井県鯖江市の中心街で面白い取り組みを見つけました。

こちら側が駐車禁止

路側帯もあまり広くない片側1車線、対面通行の商店街、街角には「今月はこちら側が駐車禁止です」の看板が道路の片側、ドライバー目線の位置に立ち並んでいます。
反対側は「今月はこちら側に駐車できます」とあり、月番で駐車できるようにしているようです。

確かに片側だけなら普通車同士の通行ならなんとかなるわけで、常に同じ側だと反対側が不利になるので、隔月交互になっています。
ただ、奇数偶数での分離は常に偶数側が年末商戦に対応できて有利などの問題になりかねませんが、一方で偶数は金が動かない「ニッパチ」を抱えており、奇数偶数の区分で固定化されているようです。

「奇数月」の補助標識


こうしたアイデア、交通の確保と利用者の利便性の両立という意味で、当事者がそれぞれ譲歩した結果とも言えます。
通過流動から独立しているようなエリアでは、路側帯があれば駐車禁止を解除する、足りなければ片側解除にするといった対応策を、地元や行政、そして警察も積極的に導入することで、本来厳格化と車の両輪であったはずの「メリハリのある運用」につながるはずです。



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