このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください





ある地方駅の駅頭にて
公共交通が使われているケースから


駅前を埋める送迎車の群れ




地方の交通といえば「マイカー中心」「公共交通の崩壊」というキーワードで語られることが多いです。公共交通というといわゆる「交通弱者」の利用が専らで、交通というよりも教育、福祉の範疇になった感もあります。

しかし、地方の公共交通は本当に壊滅状態なのでしょうか。

写真はある地方の駅前の様子です。
ちょうど電車が到着した時で、広くもない駅前広場を迎えのクルマが埋め尽くしています。
写真後方には駐車場があり、電車が到着する直前にはあたかもF1のスタートのように、駅前広場の道路との汀線を先頭に駐車場のほうまで整然と、あるいは雑然と並んでおり、電車を降りてきた家族友人が乗り込むと、前のほうから続々と出発していきます。

ここは地方の某都市から電車で少し行ったところにあり、毎時1〜2本が確保されているとはいえ、必ずしも多くはありません。
こうした送迎光景は規模の大小こそあれ、夕方以降に到着時間帯ごとに見られる光景で、時間帯によってはこのように大量のクルマが駅前を埋めます。
特に某都市でお祭りがあったとか、イベントがあったりすると、駅に入りきれない送迎車が周辺道路に待機するなど大変なことになります。

電車の本数は必ずしも多くは無く、特にこの時間帯は毎時1本に近づきます。某都市との間の道路事情も、渋滞が時折発生するもののひどくはありません。出迎えのクルマに乗り込む人々を見ると、交通弱者というわけでもなさそうで、その気になれば某都市まで直接クルマで行っても不思議はありません。
だいたい、駅は旧市街(そもそも市街と言うほどでもないが)にあり、クルマで帰る人々が専ら使う主要道までの道路事情は必ずしも良くは無いし、駅からの距離も長いですから、駅に向かうほうがロスかもしれません。

にもかかわらずいわゆるキスアンドライド(まあ「キス」するようには見えない関係も多いですが)がここまで盛んなのはなぜなのか。はっきりとした理由はわかりませんが、結果として電車利用が目立ちます。

実は日中細々とクルマが向かうであろう集落へのバス便が走っていますが、バスはこうした流れとは全く隔絶した存在になっています。しかしこの時間帯、バスは無いのですが、タクシーはかなり使われており、家から全くクルマを使わない流動も多くはないですがあるようです。

おそらく電車を降りてからの最終交通手段としては、自宅までダイレクトでないと志向されないのでしょう。治安がいいとはいえ、最近は地方でも物騒ですし、よしんば安全と言っても夜道は気味が悪いですから。
しかし、某都市(その隣町やけっこう離れた県庁所在地)とこの駅までの間は電車で一気に行くことが志向されています。

確かにクルマを駆使していますが、一方で公共交通機関も条件が合えばクルマを使える条件下でも選択する。地方の現実はステレオタイプのクルマ至上主義ではなく、案外としたたかに使い分けているのです。





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