1994年9月23日のNHK衛星放送午前7時のニュースを紹介します。
島根県出雲市の岩國哲人市長が酒・たばこの自動販売機の設置を規制するという内容であります。一部を抜粋して掲載します。
〔アナウンサー〕
たばこや酒の自動販売機は未成年者の飲酒や喫煙につながっているという批判がありますけど、島根県の出雲市では、(え)これらの自動販売機の設置を規制する方針を打ち出しました。自治体がこうした規制を行うのは、(え)これまでに例がありませんで、議論を呼んでいます。
〔市民の声〕
「困ります......え、それは、考えられません。」
「少し、ちょっと、行政の......ごめんなさい。トップの......ちょっと、走り過ぎという感じが......」
〔市長〕
ま、とにかく、青少年の健全育成を疎外するというものは、できるだけ除くといったような......
〔アナウンサー〕
自動販売機の規制の方法を検討している出雲市の審議会に、今日、市の要項の案が示されました。酒やたばこなどの自動販売機は、学校や図書館などの文教施設から200m以内では、新設を認めず、すでに設置されている販売機も一定の期間をおいて、排除するよう指導するというものです。
〔市長〕
景観の問題、エネルギーの浪費の問題、青少年非行の問題、ポイ捨ての問題、そして、対面販売という原則に違反しているという問題ね......私はそういう酒を自動販売機で売らせてそれを放置している、大蔵省国税庁の責任者は、逮捕すべきだと思ってますね。
〔アナウンサー〕
国税庁の審議会でも、酒類の自動販売機は、一定の抑止効果のあるプリペイドカード方式に変えることを検討するなど、なんらかの規制が必要という声が強まっています。しかし出雲市の要項案は、撤去も求める厳しい内容だけに、波紋が広がっています。
〔市民の声〕
「いま、これがなくなったら、もう、わたしら、たばこ屋、やめたくなります。」
「自動販売機の販売は、もう、なくなってくるのが、時代の流れでしょうね。」
「うーん。別に、撤去したから、じゃ、未成年者が、アルコールを飲まないかというと、たぶん、今度は......かくれて、もの買うようになるだろうしね。」
「ま、まわりが、全部そうならいいんですけど、出雲市だけが最初に、というのは......やっぱり、ちょっと......」
〔市長〕
そういうことをやらなくても、よそもやってないから、いいじゃないか、ということで、日本はずっと何十年来てるんですね。にもかかわらず、中央の政府も、自治体もだれも立ち上がらない。そういう状態の中で、私はずっと、五年間待ってましたよ。東京都がいつ立ち上がるか、京都市がいつ立ち上がるか。
〔アナウンサー〕
出雲市では、今年中には要項をまとめて、来年春から実施したいとしています。酒やたばこの自動販売機がどうしても必要なものなのかどうか、出雲市だけの議論で終わる問題ではないようです。
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