このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

 

おもしろトピックの家

おもしろトッピク(15) 小学校と老人福祉施設

 学校の運動場、プール、図書館などは学校から切り離し、社会教育施設として、市町村が直接管理し、学校は必要な時だけそれを利用させてもらうという形がいいと以前より考えていた。もちろん、学期中は児童・生徒が優先的に使う。週末や夏休み、夜間などは付近の住民に当然開放される。学校の施設ではないのだから、校長や先生は施設を管理する必要はない。管理者は学校ではなく、市町村である。市町村で管理するのが大変なら、民営化してもいいだろう。また、老人福祉施設や保育所も併設するのがいいだろう。老人福祉施設を作れば、老人と子供の交流が自然と行われ、ボランティア活動もできる。また、子供は老人からいろいろなことを学ぶことができる。保育所があれば、子供のいる先生は学校に子供を連れてきて、預けることも可能である。


 先日、授業で「日本の福祉政策」をテーマにした授業をするので、インターネットで調べていたら、埼玉県川口市で小学校に老人福祉施設があるという新聞記事を見つけた。私の家の近くでそんな学校があるとは夢にも思わなかった。「燈台もと暗し」である。

 新聞にはこう書いてある。
「川口市芝三の市立芝南小学校の空き教室を利用した市老人デイサービスセンター「芝南れんげそう」(川田英男所長)が、九日オープンした。少子化、高齢化社会の流れの中、教室の転用と福祉施設の充実を狙ったもので、川口市では初の取り組み。

 県内では九六年に小鹿野町、川越市で、九七年に大宮市で例があるが、芝南小の吉田幸治校長(52)は「高齢者の方の様子を見ながら、児童との交流の方法を考えていきたい。教育の一環として、この環境が自然な形で児童に取り入れられていけば」と話している。」(1998.11.10 読売新聞・東京版朝刊 32頁)

 少子化の影響で教室があまり、高齢化が進んでその空き教室に福祉施設を造るという、なんとも奇抜な発想なのだが、学校は学校、福祉は福祉というような硬直した発想を打破した点は、評価しなければいけないし、その勇気はたたえられるべきであろう。

 
 さて、この施設でお年寄りは何をするかを紹介しよう。
 1.機能訓練(日常動作訓練)
 2.介護サービス・生活指導
 3.レクリエーション・ゲームなど
 4.昼食
 5.その他
となっている。

 子供たちは休み時間などにここにやってきて、おじいちゃん、おばあちゃんと遊んだり、体操をしたりするそうだ。施設長の話では、この「芝南れんげそう」で初めて間近にお年寄りを見たという子供もいるそうである。


 




川口市立芝南小学校校門

川口市立芝南小学校校舎全景
左側建物一階に「芝南れんげそう」
がある






芝南れんげそう入り口
ここにワゴン車が入る



子供たちと体操をする






子供たちと楽しそうに遊ぶ
右側、髪の長い、グレーのセーターが
ブラジルからの留学生です


みなさん、とてもお元気です
長生きしてください




 先日、私の学生が「芝南れんげそう」を訪問し、午前中の二、三時間だけだが、お年寄りと交流を行なった。体操、レクリエーション、日本語会話、児童との交流等々、非常に有意義な時間だったと報告されている。「学校」の中にあるので、常に子供たちの声が聞こえ、姿が見えるので、非常に活気があり、未来への光が感じられたとある学生が言った。いわゆる「老人ホーム」の「寂しさ」「悲しさ」が感じられないのがとてもよかったとも言っていた。
 小学校だけでなく、中学校や高等学校にもこの発想の輪を広げていってほしいものである。

 

 

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