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イギリスの政治家で、知性とウィットに富む数々の名言を残したチェスターフィールドは「なんでもできる人もいないなら、なにもできない人もいない」と言っています。みなさんの中には、よくできる友だちのことを「あの人はなんでもできる人だ」と思ってうらやましく思い、それにひきかえ「自分はなにもできない」と思いこんで落ちこんだ経験があるでしょう。また、人によっては親や仲間たちから「おまえはなにをさせてもできない」などと面と向かって言われたことがあるかもしれません。そこで使われる「なんでも」とか「なにも」、それから「まったく」、「全然」などという言葉は、気をつけて使わないといけない危険な言葉です。そして、チェスターフィールドの言葉も、「なんでも」と「なにも」という言葉の誤用をたしなめる気持ちから出たものと言えます。
ここでチェスターフィールドがたしなめようとした文は、もちろん「あの人はなんでもできる」と「あの人はなにもできない」の二つです。この二つの文を否定すれば、「あの人はなんでもできるとは言えない」「あの人はなにもできないとは言えない」となります。チェスターフィールドはこのように言って人を勇気づけようとしたかったにちがいありません。そして、この最後の二つの文は実は、( Q )と同じ意味になるのです。
参考図書:山下正男(1997)「論理的に考えること」 岩波ジュニア新書, 岩波書店, pp.159-161
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2003年7月6日 にほんごのひろば主人) |
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