「未来」と「将来」の使い方の違い 「使い方の分かる類語例解辞典:小学館辞典編集部」の語釈は以下の通り。 未来:過去、現在と対立する客観的な時間の概念である 将来:具体的な人や組織などがこれから持つであろう具体的な時間
以下考える。
1.副詞的に用いる (ア)将来、あなたはどんな仕事をしようと思っていますか。(○) (イ)未来、あなたはどんな仕事をしようと思っていますか。(×) 「将来」は副詞的用法があるが、「未来」にはない。
2.具体的な個人や組織がこれから持つであろう時間にプラス評価を与える言い方
(ア)君には将来が約束されている。 (イ)君には将来があるんだから、ここで短気を起こさないほうがいいよ。 この場合の「将来」は出世、昇進、地位の向上、と同義である。 これを「未来」に置き換えた場合、(ア)は少々不自然だが非文とは言えない。「すばらしい未来」と限定されると、「将来」または、「将来性」に近い意味になるようだ。(イ)は「将来性」があるから、短気をおこすなということを述べている。また、「未来」としても、非文とは言い難い。
3.名詞「将来」はその主体のもつ具体的な時間を表す (ア)将来に備えて、食糧を蓄えておかなければならない。(国の将来、個人の将来) (イ)今回の事件は世界の将来に暗い影を落とすだろう。 (ウ)今晩は大学の将来を考えるというテーマで議論します。
これは「未来」に置き換えると、国、個人、世界、大学のもつ具体的な時間という印象が弱くなるようだ。現在と時間がつながっていないような印象があり、「非現実的」「他人事」のように聞こえる。
4.名詞「未来」は単純に過去,現在に続く時間という意味。 (ア)豊かな未来を切り開く新製品。 (イ)このアイディアは未来を先取りするものだ。 この「未来」は現在と比較した時間である。
(ウ)その少年には未来があるという点でその老人とは違っていた。 この「未来」は老人に比べ、その少年が現在から数えてたくさんの時間を持っているという意味である。これを「将来」に置き換えると、ニュアンスが変わってくる。単純に多くの時間という意味だけでなく、それに何か特別なものがあるような印象を与える。例えば、どんどん成長する可能性とか、ほかの少年やその老人にはない彼だけの可能性など。 |