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指示語研究室

指示語の学習・これ/それ PART.1 2000.8.10.作成

 私たちは文章を読むとき、前の文と後ろの文の関係に注意して読まなければならない。この関係を示すものの一つに指示語がある。指示語は前の語、句、文、文章全体などを受けて、後ろの文を発展させたり、説明したり、まとめたりする機能を持っている。
 まず最もよく使われる「これ・それ」から学習する。例をあげる。

(例)その医者は、黄色い薬を私に渡し、言った。「これを飲むと、病気がすぐ治りますよ。」

 アンダーラインの「これ」は何を指しているか。答えは「黄色い薬」である。
 後ろの文の中では、必ず「これは、これが、これを、これに、これと」など、助詞といっしょに使われる。だから、「これ・それ」が意味するものは必ず名詞、または、名詞に相当するものである。では、具体的に考えてみよう。

(1)名詞を受ける「これ・それ」(やさしいもの)

1.課長は私に一枚の葉書を渡した。それは日本のお寺がかいてある絵葉書だった。課長は「これをポストに入れてきてください。」と言った。

                       答え(                       )

2.山道を歩いている時、私は不思議なものを見た。それは花のようでもあり、葉のようでもある草だった。            

                      答え(                       )

3.インドネシアには、仮面をつけて踊る劇がある。これとおなじような劇は、東南アジアだけでなく、日本や韓国など東アジアにもある。 

                      答え(                       )
  ①仮面 mask ②劇 play

4.博物館や美術館に行くと、よく「→」と書かれた看板がある。非常に便利なものだと思う。なぜならば、これに従って行けば、全ての展示品を効率的に見ることができるようになっているからだ。 
 
  ①博物館 museum ②効率的に  efficiently

                       答え(                       )
 
5.現在は、石油のない生活はとても考えられない。私達の周りを見てみると、それから作られるものが非常に多く、ガソリン、プラスチック、洋服、食器など、石油が原料になっていないものを探すのが大変なくらいである。

                       答え(                      )

6.野菜や果物はポリエチレンの袋に入れて売られている。さらにレジに行くと、その店の名前入りの買い物袋をくれ、品物はそれに入れて持ち帰られることになる。

                       答え(                     )

(2)名詞を受ける「これ・それ」(ちょっと複雑なもの)

1.山田さんの考えによれば、友情と愛情は基本的には同じで、違うのはその対象だけだそうだ。それに対して、田中さんは、友情と愛情は基本的に別のものだと言った。
                       答え(                       )

 ①基本的に basically ②別のもの  another one

2.ヨーロッパでは自然は人間と対立するものであるという思想が広まりやすかった。人が生きていくためには、自然と闘い、これを征服し、人間が利用できるものは、何でも利用するという考えが育っていった。  
 ①闘う struggle
                       答え(                     )
 

3.ミツバチは、蜜を外から集めてくるように、水も外から運んできます。しかし、この二つには、はっきりした違いがあります。蜜はいくらでもたくさん取ってきて、それを貯えればいいのですが、水は必要な時に集めるだけで、いつもは決して水を貯えておくことはありません。   

  ①闘い struggle    ②決して never   ③はっきりした clear

                      答え(                     )

4.人間の子供の成長は、その自然的、社会的な環境に応じて決められる部分が多い。その中でも、特に目立つのが言葉の習得です。子供は、自分が育っていく社会の言葉をまず覚えます。そして、それによって、人間社会の文化や習慣を学んでいくのです。

  ①社会 society   ②応じて according to

                      答え(                     )
               
5.一人の人間が経験することには限りがある。人間は言葉というものを持っている。だから、自分の経験を人に伝えることもできるし、人の経験を聞いて知ることもできる。そして、文字を発明したから、本を通じてお互いの経験を伝え合うこともできる。さらに、いろいろな人の、いろいろな経験を比較して、それをいろいろなところから集めるようになった。こうして出来上がったものが学問である。 

   ①互いに  each other ②伝える  tell
   ③〜を通じて through

                       答え(                    )

(3)文を受ける(名詞節 Noun Clauseにする)

 「これ・それ」は単語だけではなく、文を受ける場合がある。例を挙げる。

(例) 成田空港を建設する時、飛行機の騒音は公害の一つであるという理由から、それに反対する声があった。

 「それに反対する」の「それ」は何を指示するか。 「成田空港を建設する」であることがわかる。そして、答えを書くときは、名詞節にかきかえなければならない。

 「成田空港を建設する」→ 「成田空港を建設する/こと」
 
               → 「成田空港を建設する/ということ」
 
1.マレーシアは年々経済発展を続け、人々の生活もだんだん豊かになってきた。これはもちろん大変いいことなのであるが、一方で、生活環境があちこちで破壊されていることも、私たちは忘れてはいけない。

  ①年々 every year

  答え                             こ

2.今、日本の社会は高齢化が進んでいる。これは戦後日本の医学の水準が高くなり、医療技術が進歩して、死亡率が低下したからである。

 ①高齢化   老人の人数が増えること  ②戦後   第二次世界大戦のあと
 ③死亡率   death rate          ④低下   下がる
 ⑤医療  medical technology

   答え                            こと

3.小さいころ、よく父といっしょに川で泳ぎました。今、それがとても懐かしいです。

  答え                             こ

4.冬が近づくと、昆虫の変身は一時停止する。それは非常に合理的だ。木の葉がなく、花もない季節に、毛虫がチョウになっても、死を待つだけである。虫は冬には休眠する。

  ①変身 transformation     ②一時 temporary
  ③合理的  reasonable     ④休眠  dormancy

  答え                              こと

5.蚕は桑の葉を食べて、まゆを作っている。タンパク質のないものから、タンパク質を作っている。別の言い方をすれば、無から有を作っているのだ。これは手品ではなくて、科学的に説明できることである。

 ①蚕 silkworm         ④タンパク質  protein
 ②桑 mulberry( 木の名前)  ⑤無      nothing
 ③まゆ cocoon         ⑥有      being

 答え                               こと

6.ヨーロッパやアラビヤや中国では、石やレンガで建物を造ってきました。ところが、日本では、古代からずっと木造建築を守ってきました。それは、支配者たちに富の蓄積が少なかったことと、建築に適した石材が豊かではなかったことが大きな理由です。

 ①蓄積 accumulation

 答え                               こと

7.緑色には人間の心を落ち着かせる力があると言われています。それは、大昔、地球上は森林におおわれていて、人間はその中で豊かに暮らしていたからでしょう。

  答え                               こと

8.人間という動物は、一度物質的な豊かさを求め始めると、(1)それはとどまることをしりません。物質とは人間の生命を保証するためのものであり、生きるための手段に過ぎないものですが、いつの間にか、(2)それ自体が目的になってしまうのです。一定の財産を得たものが、(3)それで満足した例はありません。

 ①とどまる stop  ②〜に過ぎない be nothing but 〜 ③自体 oneself
 ④一定の fixed

答え(1):                              

   (2):                              

   (3):                              

9.だいぶ以前の話になるが、「チョウやトンボはいるが、ハエやカのいない町づくり」という標語を見たことがある。私は、ばかばかしいと思うと同時に、人間の身勝手さを痛感した。自分に都合のいい自然なんて、本当にできるのだろうか。これは「春だけあって、冬のない町づくり」というのと同じことで、まったくナンセンスである。
 またある日、学校の近くで、ガをつかまえたことがある。すると、テニスウエアを着た女子学生が「キャー」と叫んで、逃げていった。私は何もしないのに、「気持ちが悪い」とか「きたない」というのが、不快の原因らしい。これが、普通の人の、虫に対する感じ方なのだと、私は思った。

  チョウ:butterfly        トンボ:dragonfly     ハエ:fly       カ:mosquito   
  町づくり:city planning    ばかばかしい:silly   身勝手:selfish 
  ナンセンス:nonsence     ガ:moth         不快:displeasure

  答え:                                

10.僕が調べた結果によると、森の土の中には、一平方メートルの面積当たり約五万匹のダニが住んでいる。これをもっとわかりやすくするために、片足の靴の下に何匹のダニがいるかを計算してみよう。

  答え                                 

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