このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

中国(杭州・紹興・上海)−10 飛来峰


 ホテルでレンタサイクルを借り、白堤を走り、双峰挿雲の石碑を通りすぎて30分、霊隠寺の入口に着いた。16時40分くらいであり、すでにあたりは薄暗くなってきていた。
 霊隠寺は326年の創建である。杭州を訪れたインドの僧慧理は秀麗な山々を「仙霊所隠」(仏道修行者の心霊の隠れ住む所)とみて、ここに寺を建てて霊隠と名付けた。

 入口からすぐのところにあるのが、この石仏である。

石仏

 「地球の歩き方」によれば、霊隠寺の見学は17時までとのことであり、参道左手の石仏は後回しにして、霊隠寺の本堂を目指す。17時までに中に入ればよいのではないか、そう思っていたのだ。

 僕の考えは甘かった。入口は既に閉められ、出口のほうから見学者がどんどん出てくる。時計の針は、16時45分を指していた。まだ閉門まで15分ほどあるはずなのだが、実際に閉まっていては仕方ない。この日に限って早目に閉めたのか、地球の歩き方が間違っているのかは分からない。本堂は諦めて石仏を見て帰ることにした。

 参道から川を挟んだ向かい側の崖には石仏が彫られている。橋を渡ってそばに寄ったところ、既に薄暗かったため参道からは気付かなかったが、数え切れないほど多くの石仏が彫られていることが分かった。
 この石仏が彫られている山を飛来峰という。上述の僧慧理はこの峰を見るなり、「これは天竺国(インド)の霊鷲山の峰の一つだ。どうしてここに飛んできたのだろう。」と驚きの声をあげたことから、この名が付いたという伝説がある。

飛来峰

 川沿いの石段を歩いて下りていくと、理公塔が立っている。1590年に立て直したものだそうだが、風雨にさらされているためか、随分と古いものに見える。

理公塔

 理公塔から入口まではすぐである。本堂は見学できなかったものの、飛来峰の石仏は見ることができたので、まずまずといったところか。そう思っていた。レンタサイクルでホテルまで帰る前にトイレに行っておこうと思い、そばにあった案内図を見ると、写真の理公塔の左奥にあるようだ。

 トイレに向かって歩いていくと、右側にフェンスがあり、見学者がいるのに気付いた。20人くらいの団体旅行もいるようである。別の見所でもあるのかと思い、トイレに行ってから戻ってみると、青林洞と書いてあった。

 事前調査で青林洞の存在は知っていたが、てっきり本堂の奥にあると思っていたのだ。青林洞を見学することが出来たのは、本当に偶然である。
 
 地球の歩き方によれば、青林洞入口上の三尊仏像は951年に彫られたもので、飛来峰の中でも最も古く、芸術的な価値も高いという。すっかり日も暮れてしまったため、はっきりと写らなかったのは残念である。

青林洞上の石仏青林洞入口

 青林洞の中に入ると、左下の石仏が見える。僕の前にいた中国人観光客数名が全員石仏をなでていたので、僕もあやかってなでてみた。どのような効果があるのかは分からない。

 青林洞以外にいくつも洞窟があり、しかも中はライトアップされない。夕暮れ時に行くとスリル満点であるが、石仏の姿がよく見えないという難点もある。洞窟上部が開いていて光が差し込むような場所も有るので、日中に行ったほうが石仏を拝むことができると思う。

青林洞内部
中国人観光客がなでている。
洞窟内部

 それにしても、トイレに行きたくならなければ、この洞窟は見逃していた。旅の神様がいるのであれば、このときは僕に微笑みかけてくれたに違いない。



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