このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

アンコール遺跡−7 アンコール・ワット編(1・西参道)

 カンボジアの象徴とも言うべき、アンコール・ワット。その姿はカンボジアの国旗にも描かれている。規模、風格、美しさは世界遺産の名にふさわしい。これから何ページかにわたってご紹介したい。

 アンコール・ワットはスールヤヴァルマン2世(在位1113〜50年頃)が建立したと言われている。スールヤヴァルマン2世は30年間(!)の内戦を経て即位し、王位に就くとアンコール・ワットの建立に取り掛かったようだ。アンコールワットの完成後の1177年にはチャンパに占領されたものの、アンコールワットは破壊を免れた。1181年にジャヤヴァルマン7世が即位し、チャンパを破り、その後建立したのが バイヨン である。
 その後クメール王朝は1431年にアユタヤの攻撃を受け、1432年にプノンペンに遷都する。世界史用語集では、アンコール王朝は1432年までとしているようだ。

<西参道>
 アンコール・ワットは東西1500メートル、南北1300メートルという広大な敷地であり、周囲を幅190メートルの濠が囲んでいる。建物は西向きになっているので、アンコール・ワットは午後に観光すべきと言われている。

 アンコール・トムの観光を終えて、僕はアンコール・ワットに向かった。既に12時を回っていたので、運転手の案内でレストランに連れて行ってもらう。食堂と表現する方が正しいようにも思う。昼間からアンコールビールを飲んでいたところ、にわかに雲行きが怪しくなってきた。南国特有のスコールである。叩きつけるような雨だったので、午後の観光はどうなることかと思ったが、食事の間に無事に上がった。今にして思えばグッドタイミングであった。

 食事が終わって午後の部の観光開始である。
 
 西参道の正面でパスのチェックが行われる。ここは海外からの観光客はパスを提示しなければならないのだが、現地の人は素通りできる。以前、テレビで、 ネプチューン の名倉がここを素通りできるか実験するという番組を見たことがある。
 トゥクトゥクの運転手のようなコスチュームの名倉にゆっくりと近付く受付の係員。名倉が日本人観光客とばれてしまうと、入場券を買わなければならない。名倉も、視聴者も緊張は最高潮だ。名倉の全身を上から下まで見た係員は、名倉から離れていった。素通り成功の瞬間であった。



 上述の通り、最初の訪問時はスコールの後だったので、写真が暗い。この下は、僕の時系列は無視して、西参道正面から参道を歩いて第一回廊入口までの写真を掲載した。地球の歩き方の表現を借用すると、「造形のドラマ」を味わっていただきたい。

 西参道正面からは、中央祠堂が西門に隠れて見えない。西門の左右に、中央祠堂の左右にある祠堂が見える。西門は、中央祠堂を隠して左右の祠堂だけを見せる大きさで造られているのだ。

8月20日13時の西参道正面
西門と左右の祠堂が見える。
8月20日16時
左右に回り込むと中央祠堂が見える。

 濠の上の参道は修復工事中であった。日本も工事に参加しているようであり、掲示されていた作業員の写真の中に日本人もいらっしゃった。

8月20日16時
左右の祠堂も見えなくなる。

 西門まで来ると、中央祠堂、左右の祠堂は完全に姿を消す。近付いているのにもかかわらず、見えなくなるように計算がされている。

西門

 西門の階段を登っていくと、中央祠堂が顔を出す。受付のところから隠されていた中央祠堂が、初めてここで見えるのである。門を額縁に見立てた一枚の絵画である。
 ところで、下の写真を取るのは実に難しい。上の写真を見れば分かるが、ここは観光客でごった返している。初日は何分か粘ったが、人の流れが途切れないので撤退した。翌朝日の出を見に行ったときに撮ったのが下の写真である。

西門
8月21日午前6時30分頃

 西門の中に入って歩を進めると、中央祠堂と左右の祠堂が見える。

西門内部
8月20日16時
 
 西門を抜けたところで視界が開け、やっと全容が見える。この場所から見るアンコールワットの威容は何度見ても素晴らしい。まっすぐに長く伸びる参道と、そびえ立つ祠堂。ちなみに携帯の待受はこれにしている。

西門を抜けたところ
スコール直後
8月22日14時

 参道は結構な距離があり、西門から第一祠堂まで400メートルほどである。その中間点あたりに経蔵があり、左に曲がるとトイレがある。昼食で飲んだアンコールワットビールのためにここでトイレに行ったのだが、人生指折りの汚いトイレであった。女性は緊急を要するとき以外は使用しないほうがよいと思う。アンコールワットの右側にもトイレがあり、そこには行かなかったので不明だが、推して知るべしであろう。アンコールワット観光のときは事前にトイレを済ませておくのは必須である。ちなみにアンコールワットで耐え切れなくなった人の話は こちら の「汚れた世界遺産」をご覧ください。

 さて、そのトイレに行く道の脇に聖池がある。聖池に映し出される「逆さアンコールワット」は定番である。中央祠堂の隣に立っている左右の祠堂も5つ全部がいっぺんに見える。

おなじみのアングル
8月22日14時

 参道に戻ると、階段がある。シンハという獅子の像が4体あるのだが、写真に綺麗に写らなかったのは残念だ。

8月20日13時

 階段を登ると、やっと第一回廊の入口である。

8月22日14時

 第一回廊入口では、祠堂は再び姿を消す。

第一回廊入口



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