このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

南アフリカ−7 ケープタウン旅行編(その2:喜望峰)

  喜望峰。大航海時代、香辛料を求めてインドまで行こうとした船乗り達は、まずアフリカ最南端を目指した。1488年、ポルトガルのバーソロミュー・ディアスが到達し、「嵐の岬」と名付けた。そして1497年、バスコ・ダ・ガマがここを経由してインドのカリカットに到達し、ついに念願のインド航路が開拓された。その後、ポルトガルに希望を与えるという意味で「喜望峰(Cape of Good Hope)と命名された。ただ、この名付け親がはっきりしない。僕の持っている資料によれば、「エンリケ航海王子ともジョアン2世ともいう。」と大辞泉に書かれているが、広辞苑ではポルトガル国王ジョアン2世に限定されており、一方地球の歩き方ではポルトガル国王マヌエル1世説を唱えている。いずれにせよポルトガル人が名付けたことは間違いなさそうだ。ちなみにアフリカ大陸の実際の最南端は喜望峰の南東150kmにあるアグラス岬であるということが後年確認されている。
  当時、香辛料取引はアラビア商人が握っていたという。ヨーロッパにとってみれば、アラビア商人に支払うコミッションを、インドと直に取引することにより削減し、仕入れコストの低減を図るという戦略である。現在の日本では「商社不要論」が一種の定説となっているが、そのような話しは遠い昔から有ったのだろう。

  午前8時に我々はホテルを出た。運転手はM氏が努め、僕はナビとなった。地図も標識も英語のため、理解に時間がかかる。5分ほど走って市街地を抜けるとすぐ海沿いの道に出る。交通量も少なく、のんびりと海を眺めながら走るのには最適のドライブラインであった。残念なのはチャップマンズ・ピーク・ドライブという有名なコースが通行止めになっていたことであった。


  まず、我々はボルダーズ・ビーチに向かった。ここはペンギンで有名である。「地球上で一番手軽にペンギンに会える場所」という標識が立っている。ペンギンといえば南極に生息しているというイメージだが、ペンギンにもいろいろ種類があるらしく、ここにいるのは暑さに強いジャッカスペンギンという種類らしい。人間は遊歩道の外に出ることが出来ないのだが、その遊歩道のすぐそばをペンギンが歩いており、手を伸ばすと触ることが出来る。メインの見晴台まで来ると、砂浜の至るところにペンギンがいた。また、使用料さえ払えばペンギンと一緒に泳ぐことも出来る。

  ここでドライバー交代となった。僕はすっかりオートマしか運転できない体になってしまっていたのだが、レンタカーがマニュアル車だったので、まず駐車場でギアチェンジの練習から入った。発車させようとしていきなりエンストを起こし、M氏の失笑を買った。交通料が少なく、かつ左側通行だからこそ成せる業である。
  ケープ半島の先端は自然保護区となっているので、入場料を支払って中に入る。そこから喜望峰までは15分くらいだったろうか、最高のドライブラインである。建造物が一切無く、自然がそのまま保存されている。花が咲き乱れ、ダチョウや動物が歩いている。周囲に一切車も走っておらず、景色を見ながらのんびり運転することが出来た。
  ケープポイントの駐車場から展望台までは斜面が急なので歩いてしか登れない。徒歩約20分程度だろうか。展望台からの景色はまさに絶景としか表現しようが無い。天気にも恵まれ、海面が光って見える。展望台から向かって右側が大西洋左側がインド洋である。展望台は思ったより狭いのだが、観光客も少なく、とにかく静かであった。振り返ってみると、ケープ半島が一望でき、こちらも素晴らしい眺めであった。景色を文章で表現することは難しく、そのときの興奮をうまく伝えられないのが非常にもどかしい。絶景、壮観、奇観、雄大などという言葉でも表現しきれないほど素晴らしく、感動的な景色であった。僕は南アフリカの景色が載っている写真集を買った。それを見てこのときの感動を思い出している。 (続く)

ケープポイントの展望台からケープ半島を振り返った写真。

展望台から見た喜望峰。



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