このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

シンガポール−1 バクテイ編

 僕のパスポートに押されているスタンプの数で、成田の次に多いのがシンガポールだ。日本からの出張は4回しかない。しかし、シンガポールから、対岸にあるマレーシアのジョホールバルまで行くと、そのたびにスタンプを押されることになるので、数を稼げるのだ。今までの出張で、一日に押されたスタンプの数が一番多かった日は以下のようなスケジュールだった。

バンコク(タイ)出国 → シンガポール入国 → シンガポール出国 → ジョホールバル(マレーシア)入国 → ジョホールバル(マレーシア)出国 → シンガポール入国

 一日に6個の荒稼ぎだ。1999年10月19日のことである。この記録もいつか破ってみたいものだ。日本の場合、出入国はほとんどが飛行機で、10%以下の割合で船であろう。したがって、自動車で国境を越えるというのはどこか違和感がある。シンガポールとマレーシアとの国境では車の中からパスポートを出して、スタンプを押してもらう。ただ、自動車といっても、シンガポールは島国なので国境を越えるときに橋を渡らねばならない。ぜひ一度地続きの国境線というのを越えてみたいものだ。
 また、飛行機・客船・自動車での出入国は経験したので、残るは電車だ。鉄道ファンの僕としてはやはり一回経験しなければならないだろう。香港から中国あたりがチャンスだろうか。徒歩や自転車での国境越えというのも価値があるかもしれない。
 
 ところで、標題の「バクテイ」についてだが、これは豚肉入り胡椒スープとしか表現し得ない料理である。僕が所属している部ではシンガポール出張の際のお約束となっているのだが、なぜか僕は食べる機会が無かった。皆が口をそろえて美味しいと言うバクテイとはどのような料理なのか、僕の中で想像が膨らんだ。しかも美味しくて有名な店が一軒あり、そこは朝早くから開店し、午後3時くらいには閉まってしまうという。もちろん皆その店に行っているらしい。当社シンガポールオフィスも、日本からのお客様や出張者が来ると、その店に連れて行っているということだ。

 シンガポール初出張から足掛け4年、ついに食べることができた。それは南アからの帰りである。ヨハネスブルクからの帰国便は、シンガポールのチャンギ空港に午前6時過ぎに到着する。そして日本への便の離陸時間は午前9時過ぎだ。いくら大きい空港とはいえ、空港で3時間も時間を潰すと言うのは難しい。しかもその後に約7時間のフライトが待っている。ここは市内に出て気分転換をすべきであろう。
 空港からタクシーに乗り込んで、運転手にこう告げた。
「Bakutei Restaurant in Rangoon Street.」 (Bakuteiの正しいスペルは不明。)
 店の名前を言わなくても、これだけ言えばタクシーが連れて行ってくれるのだから、いかにその店が有名なのか分かると言うものだ。

 店に着いたところ、行列が出来ているようなこともなく、一軒普通の食堂だ。歩道にまでテーブルを置いているところが華僑らしい。
 とりあえず適当なテーブルに座る。するとおばちゃんがで出てきて、いきなり「Bakutei?」と聞かれた。他にもメニューは有るようだが、皆バクテイを食べているらしい。バクテイはすぐに出て来た。大きな鍋で煮込んでいて、注文があったらすぐに皿によそっているのだと思われる。見た目は黒いスープの中に大きめな豚肉が浮かんでいると言う、どうってことのない料理だ。なんとも言えない胡椒のよい香りが食欲をそそる。一口スープを飲んだところ、思わず声を上げたくなるくらいの美味しさだった。豚肉を噛みながらスープを飲むと、味も一層深みを増す。胡椒が効いているので舌が刺激され、ご飯も進む。汗をかきながら一気に平らげた。機内食を抜いてくればよかった、と後悔しながら食後のお茶を飲んだ。

 シンガポールに行かれる方はぜひお試しあれ。上述の通り店の名前はわからないが、「Bakutei Restaurant in Rangoon Street.」とタクシーの運転手に言えば連れて行ってくれるはずである。値段も1000円以下である。
 
<追記>
 店の名前が判明した。
「黄亜細肉骨茶餐室(Ng Ah Sio Pork Ribs Soup Eating House)」
住所 : No.208 Rangoon Road Singapore
営業時間 : 午前6時〜午後2時
定休日 : 月曜日


 

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