このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
韓国−3 食事編
韓国と言えば焼肉と言うイメージをお持ちの方も多いと思うが、実際にその通りである。お客様との食事は昼でも焼肉と言うパターンが多い。最初は確かにおいしいのだが、連日となるとさすがにきつい。韓国の焼肉は、日本で食べる韓国風焼肉屋とは大きな違いが有る。日本の焼肉屋ではサンチュ(サニーレタスのような葉っぱ)の上に肉を乗せ、その上にコチジャン(辛い味噌)を味付けで乗せて食べると言うのが一般的かと思う。
韓国の場合、僕はソウル・プサン・コジェと一応3都市で焼肉屋に行ったことが有るのだが、どこでもテーブルに乗り切らないくらい大量に小皿が出てくる。キムチやカクテキだけで何種類もある。この小皿は最初からメニューに含まれていて、頼まなくても出て来るそうだ。まずはこの小皿をおつまみにしてから焼肉の出番だ。僕が行った店ではなぜかおばちゃんが出てきて肉を鋏で切るというケースが多かった。そして、韓国では葉っぱもコチジャンも種類が豊富である。したがって、食べる前におばちゃんの説明を聞かねばならない。僕は一回だけ一人で焼肉屋に入ったことがあるのだが、お互い言葉はわからなくてもおばちゃんの説明は理解できた。僕が肉にタレだけ付けて食べようとするとおばちゃんがハングルで制止する。なんとなく怒っているようだ。葉っぱを手に取るとおばちゃんがにっこりと笑う。合っているらしい。こんな調子で韓国では食事を楽しむことが出来る。韓国の焼肉は葉っぱの上にとにかく色々なものを乗せると考えれば間違いは無い。忘れてはならないのがニンニクだ。カップにニンニクを丸ごと何個も入れて鉄板の上に置く。これを切るなどのけちなことをせずに丸ごと食べる。こんな食べ方が韓国人の激しい気性を形成するのであろう。まさに猪突猛進型だ。
韓国で注意しなければならないのが酒の飲み方だ。ビールを飲んだらすぐに焼酎だ。日本でも真露や鏡月は有名である。あれを一気用の小さいグラスで飲み干す。台湾と違っているのは、そのグラスを洗って拭いてから、相手に渡すところである。もちろんグラスを受け取った側は、飲み干してグラスをお返ししなければならない。したがって、ペースの遅い人の前には常にグラスが有るという状態になる。さらに遅くなると、グラスが溜まる。これは精神的にかなりきつい。ノルマを課されている気がしてくる。しかも焼酎もハングルしかラベルに書かれていないのでアルコールが何パーセントなのか分からないという恐怖も有る。
実際に僕はポハンで意識を失った。そのときは当社韓国オフィスの社長と僕、メーカーの部長と課長2人という組み合わせだったが、若手3人が完璧に意識を失うと言う激しい飲み方であった。当社韓国オフィスの社長とメーカーの部長が若手を車に引きずり込み、荷物を乗せ、ホテルまで連れ帰った。
「最近の若い者はだらしないですな。」
「いやー、まったく。」
という会話が有ったらしい。
もっと悲惨なのは僕の先輩である。彼が焼肉屋に着いたところ、お客様の上司である部長がちょっと遅れるということであった。上下関係の厳しい韓国では上司が来る前に焼肉を食べることはできない。とは言え、あまり待つのも時間がもったいないと言うことで、大量の小皿をおつまみに軽く飲み始め、部長を待つことになった。まずはビールで乾杯だ。しばし待ったが、部長は来ない。いつしかビールから焼酎に変わっていた。一気が始まっていた。グラスが溜まっていた。部長が入ってきて目にしたのは、すっかり意識を無くしてマグロのように横たわっている当社社員の姿であった。その先輩は、「焼肉屋で肉を食べる前に潰れた男」として今でも話のネタにされている。
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