このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

台湾−5 楊桃汁編

 台北の中正國際機場(空港のこと)で不思議な味覚のジュースを飲んだ。あまりに大きな衝撃を受けたので、ここにご紹介したい。

 ご紹介する缶ジュースは 黒松股分有限公司 という会社が発売している、その名も「楊桃汁」である。楊桃とはスターフルーツという日本では全然見掛けない果物である。実は日本のどこかで販売されているかもしれないが、少なくとも僕は見たことが無い。本日寮のそばにあるダイエーでは販売されていないことを確認した。実際に日本で販売されたところで、ブームを巻き起こすようなことはまずあるまい。台北の三越の食品売場に行ったことはあるのだが、販売されていたかどうか記憶に無い。
 上の写真ではやや見にくいかもしれないが、スターフルーツは輪切りにすると星型をしている。色は黄緑。味は甘酸っぱいと表現すればよいだろうか。(たびたび実感させられるが、味の表現とは本当に難しい。「美味しんぼ」の雁屋哲を尊敬する次第である。)それほど高級品とは思えない味である。レストランのデザートとしては多分出てこない。つまり星型をしているからスターフルーツなのであって、果物の中のスターという意味ではないことに注意されたい。
 実はこのスターフルーツは台北のナイトクラブでは欠かせない存在である。お客様と楽しく紹興酒を一気飲みしつつ食事をとった後、じゃあもう1軒行きましょう、などという場合にはナイトクラブに行くこととなる。そのときに水割りと一緒に出てくるフルーツ盛り合わせに必ずこのスターフルーツは入っている。盛り合わせのメインはパイナップルやグァバ、メロンなどが占め、このスターフルーツはいわば脇を固める存在である。巨人で言えば川相、相撲で言えば貴闘力といえばご理解いただけるだろうか。
 それはさておき、台北のクラブにいるお姉さんは日本の専門学校を卒業していて日本語が達者な人が多い。したがって、意思の疎通にはそれほど苦労しないものの、共通の話題が無いという問題がある。お客様の手前、沈黙という事態は避けたいため、中国語を勉強するというのが間を持たせる一番の手段である。たとえばカラオケの曲番を言うとき、1352を「イーサンウーアル」と中国語で言うと、お姉さんは喜んでフルーツを楊枝で刺して食べさせてくれたりする。そのときに食べるのがスターフルーツだ。僕にとってスターフルーツはナイトクラブの味だ。

 今回の帰国時、飛行機の中で飲むためにペットボトルのお茶を買おうとしたところ、自動販売機の中には無かった。免税店でも売っていない。台湾のお茶は美味しく、台湾人はよくお茶を飲む。したがってペットボトルや缶ジュースとしてお茶を飲まないのかもしれない。ペットボトルのお茶は一般的に販売されていないのか、それともコンビニなどでは売られているのか、次回の出張時にチェックしてみたい。
 仕方が無いので水でも買おうかと思ったとき、「楊桃汁」が目に止まった。汁と書くと果汁100%のような錯覚を起こさせるが、実際には15%以下である。値段はNT25元、100円以下だ。魔がさした、と言うべきか。スターフルーツがジュースになっているのか、と思ってついボタンを押してしまった。若干緊張しながら飲んでみた。異様な甘さが口の中でスパークした。思わず飲むのを止めて口を離した。確かに成分の中に糖分とは書いてあるが、ここまで甘いとは。しかもスターフルーツの味がしない。何か果物の味がするが、スターフルーツではないような気がする。本当に15%も果汁が入っているのか疑念を抱かせるような味であった。
 勇気のある方はぜひ挑戦していただきたい。感想をお待ちしています。


 

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