中国−１　準備編

　今年の夏休みとして、大連を選んだのは結構単純な理由であった。それは、マイレージで行けるからである。僕は出張で南アに行くたびに約２０，０００マイルをゲットしている。これは美味しい。出張でマイルを貯めて、プライベートで使う。サラリーマンのささやかな役得と言えようか。僕は南アに行くときには、キャセイ・パシフィック航空で行くことにしているが、キャセイはＪＡＬと提携している。キャセイでマイルを貯めて、ＪＡＬで使う。ＪＡＬにとってはいい迷惑かもしれない。
　ちなみにＪＡＬのマイレージの特典引換は以下のようになっている。

マイル	都市
１５，０００	ソウル・プサン
２０，０００	香港・マニラ・北京・上海・大連・天津・青島・台北・高雄・グアム・サイパン
３５，０００	バンコク・クアラルンプール・シンガポール・ジャカルタ・デンパサール（バリ島）・デリー・ホーチミンシティ
４０，０００	オーストラリア・モスクワ・ホノルル
５０，０００	アメリカ
５５，０００	ヨーロッパ
８０，０００	サンパウロ

　僕は約１００，０００マイル貯めていたので、一応世界中ＪＡＬの飛んでいるところであれば、どこにでも行けるということになっている。しかし、移動時間を考えると、ヨーロッパやアメリカでは最低１週間は必要であろう。さすがに１週間ぶち抜きの９連休というのは小心者の僕にとっては気後れしてしまう。仕事を考えると、まあ５日程度。そうなると３５，０００マイル以下で行けるところとなるが、これが結構行ってしまっている。まだ行ってないところの中でも、サイパンやデンパサール（バリ島）などのリゾートは男一人で行ってもむなしいだけだ。デリーにも心が動いたが、ここは大連しかないと心を決めた。司馬遼太郎の「坂の上の雲」を読んだ方には、その気持ちがご理解いただけると思う。
　「坂の上の雲」の舞台は日清・日露戦争、主人公は秋山好古・真之の兄弟と正岡子規である。三人とも愛媛県松山市の出身である。兄の好古は陸軍に入隊してロシアのコサック騎兵と戦い、真之は海軍に入隊してバルチック艦隊を日本海で迎え撃つ。日露戦争は当時の日本の国家予算８年分を注ぎ込んだ、日本国の生死を賭けた戦争であった。幕末から大政奉還にかけての混乱を乗り越えて明治維新を迎え、さらに坂の上に見える一流国という雲へ飛び移ろうとした明治時代。日本人はよくぞここまで頑張った、と素直に感動できる物語である。一回その舞台となった大地をこの目で見てみたい、前からそう思っていた。

　さて、大連と決めたからには、中国に行く準備をしなければならない。
①　インターネットで ＪＡＬ のホームページにアクセスし、フライトを予約する。これは手順に従っていけばいいのできわめて簡単だ。しかも登録されている住所までチケットを配達してくれる。
②　フライトを押さえてから、行程を考える。この時間が一番楽しい。飛行機や電車など各種の制約条件を考慮に入れながら、最適のスケジュールを組む。まさに至福の時。中国の国内線のスケジュールを探すのには苦労したが、「 ａｉａｉ　Ｃｈｉｎａ 」という優れもののホームページを発見した。これで行程もバッチリだ。
③　会社のそばの旅行代理店で観光用のビザを申し込む。月曜日に申し込んだところ、ビザを取得できたのは翌週の金曜日であった。意外に時間が掛かる。中国旅行を考えている方は、１ヶ月前から準備を始めたほうがいいだろう。もちろん、ビザ申請中はパスポートを使えないので、急な出張が入るような方は注意が必要だ。値段は１０，０００円程度である。パスポートの写真と同じサイズの写真が必要だ。
④　旅行代理店で併せてホテルも予約する。日本円で８，０００円も出せば、ホリデイ・インレベルのホテルに泊まることが出来る。貧乏旅行を体験したいという学生さんは別として、治安を考えれば１泊１０，０００円程度のホテルに泊まるべきだと思う。その額で、日本よりはるかに広くて立派な部屋に泊まることが出来る。
⑤　日本の旅行代理店では、中国の国内線を扱っていないことが多い。そこで、僕は「地球の歩き方」に載っていた「大連中国旅行社」に電話してみた。すると、流暢な日本語で対応してくれた。早速国内便とツアーへの申込を行う。驚いたことに、電話が終わった後に確認のＦＡＸが届いた。素晴らしい！中国の会社とは思えないサービス！大連に行くなら「大連中国旅行社」だ。ひょっとしたら、ホテルもこちらに頼んだほうが安かったかもしれない、とやや後悔した。


成田から大連の飛行機も、中国国内の飛行機も、ホテルも全て出発前に予約完了。後は行くだけだ。なんの心配も無い。出発前はそう思っていた。　（続く）