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中国(上海・蘇州・無錫)−16 ゲン頭渚公園編
2002年9月7日。無錫は蘇州からバスで一時間ほどの距離である。そこで、僕は蘇州から日帰りで行くという行程を立てた。確かホテルを出たのは午前7時30分、タクシーに乗って5分ほどでバス乗り場に着いた。チケットは前日購入済だ。18元で一時間だからお得だろう。バスの中では寝ていこうかと思ったが、行程中ずっとカラオケがBGMで流れていたのには閉口した。テレビ画面に歌詞が表示されていたが、なぜかマイクは回らず、歌う人はいなかった。しかし、それでは何のためのカラオケだったのだろうか。
無錫駅前のバス乗り場に着いてまず向かったのがトイレである。この先のトイレに不安を感じていたからだ。バス乗り場であれば比較的しっかりしたトイレではないだろうか、という僕の淡い期待はあっさり裏切られた。そこは僕の人生指折りの最低なトイレだった。
昨年長春の空港で入ったトイレは、腰の部分しか覆いがないものであった。そのため、しゃがんでいる人の顔や後頭部を見ることができる。そのときは入るのにややためらいがあったが、腹を壊しつつあるときだったので、どうせ知っている人もいないことだし、と思って勇気を出した。
無錫のバス乗り場のトイレには、その覆いすら無かった。まさに全開バリバリである。おっさんが何も気にせずにしゃがんでいるのが、見たくなくても見えてしまう。女性用トイレがどうなっているかわからないが、推して知るべしだと思う。日本人には心理的抵抗感が極めて強いトイレである。そのときは、腹具合に異状は無かったので小で済ませた。
引き続き、僕は無錫駅の写真を撮るためにインスタントカメラを探した。前日の蘇州でデジタルカメラは使い切ってしまい、楓橋で買ったインスタントカメラも使い切った。朝、蘇州のコンビニとバス乗り場で探したが見つからず、やむを得ず無錫まで来たのだが、案の定見つからなかった。無錫のバス乗り場、駅の売店、ホテルまで探したが見つからない。せっかく無錫まで来たのに、ひょっとしたら写真を撮れないのか?無錫旅情の歌碑も撮れないのか?駅前は諦めて、タクシーに乗ってゲン頭渚公園に向かった。前ページで無錫駅の写真が無いのは、そのような理由による。
ゲン頭渚公園の駐車場に着いたところ、売店がひっそりと営業していた。覗いてみると、見たことも無いメーカーのインスタントカメラが3つだけ売られていた。富士フイルムでもコダックでもなかったのは確かである。性能に不安はあったが、他に選択肢はない。祈るような気持ちでそれを買った。
ゲン(元に亀という字)頭渚公園のゲンはスッポンという意味であり、形がスッポンの頭に似ているところから付けられた名前である。
僕には、カメラの性能のほかにもう一つ不安が有った。それは、無錫旅情の石碑が公園のどこにあるか分からなかった、ということである。事前の調査で石碑があるのは分かったが、場所までは判明しなかったのだ。ゲン頭渚公園は結構広い公園である。結局見つからなかったらHPのネタに出来ないではないか。不安を感じながら料金を支払い、パンフレットを貰う。早速広げてみてみると、半島の一番先に「無錫旅情石碑」の文字とイラストを発見した。これで安心だ。
僕は、まず鹿頂山を目指した。安心したためか、心なしか足取りも軽い。山頂の標高は95メートルだそうだが、意外に坂道は急だった。山頂に着いたら、一目散に塔を登った。塔の上からの眺望は素晴らしい。曇り空だったのが悔やまれる。晴天だったら、もっといい景色だったに違いない。塔の上で、僕は日本からわざわざ持参した無錫旅情の歌詞を取り出した。歌詞をじっくり味わおうと思ったのだが、ふと気づいたことに、他に観光客は一人もいない。塔の管理人さえいなかった。そこで僕は声高らかに3番まで歌い上げた。太湖を見て、心の中まで広くなっていたのだろう。
誰もいなかった鹿頂山頂 太湖
心の中まで広くなりそうだ。
すっきりした気持ちで鹿頂山を下りていくと、門が見える。僕は駐車場から歩いてきたが、観光バスはここまで入れるようだ。この先は進入禁止であり、歩いてしか入れない。
門
門をくぐると、すぐに太湖佳絶処である。ここからの太湖の眺めは確かに素晴らしい。この辺は、観光客が多かった。
典型的アーチ型の長春橋 帆を立てているジャンク(小船)は見当たらなかった。
公園の一番先端に無錫旅情石碑は有る。上の長春橋から歩いて5分ほどのところだ。ちなみに、ここでは歌わなかった。
無錫旅情石碑
無錫旅情石碑から5分も歩かないうちにゲン頭渚公園と神スッポン(本当はゲンの字)が有る。
下の写真には誰も写っていないが、それは結構待ったためである。両写真とも、少なくとも5分は順番待ちをしている。一般的に中国人は写真が大好きなようだ。ポーズを取り、一枚の写真にやたら時間を掛ける。他の人が待っていようとお構いなしだ。
ゲン頭渚石碑 神スッポン
残念ながら僕は時間が無くて行けなかったが、ゲン頭渚公園から遊覧船が出ていて、すぐそばの太湖仙島というところにも行くことができる。ゲン頭渚公園だけで本来なら丸一日必要だ。
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