このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください


台湾−13 野柳編



 九フンから基隆に戻ってきたのは14時くらいだったと記憶している。まだ時間も有るので、野柳に行くことにした。基隆から野柳まではバスで30分程度だが、バス停を下りてからまた10分程度歩かなければならない。かなり大きな駐車場があり、真っ直ぐ歩くとイルカとアシカのショーをやっている水族館があり、左に曲がると野柳風景特定区である。

 野柳は、なぜか「地球の歩き方31 台湾」では取り上げ方が小さい。コメントもわずか7行で、たいして面白くもない写真が一枚載っているだけである。僕は2000年版の「るるぶ台湾」も持っているが、こちらも扱いが大きいとは言えない。
 はっきり言って不満である。日頃クールさを売り物にしているこの僕だが、はからずも野柳には興奮してしまった。今回の台湾旅行で一番のお薦めポイントは、ここ野柳である。
 
 入口から5分くらいは、取り立てて説明する必要もないような道である。それが、視界が開けると、そこには異様な風景が広がっているのだ。巨大なマッシュルームが地上から生えているように見える。こんな形のお菓子が有ったような気がする。東シナ海の荒波と潮風を受けて、岩盤が侵食されてこのような奇景が作り出されたということだが、上部と下部で色が違うのはなぜだろうか。正直に言って、これほど大きなものとは想像していなかった。

展望台からの風景下りてみると、意外に大きいのが分かる。


< 燭台石 >
 岩盤に赤いラインが引かれており、そこから先は立入禁止となっている。赤いラインまで波が来ることも有りうる、ということなのであろう。もちろん、ほとんどの人は無視している。この燭台石もラインを踏み越えて撮ったものだ。

燭台石


< 女王頭 >
 野柳で一番の見物といえば、この女王頭(Queen’s Head)である。見れば見るほど、女王様の頭に見えてくるから不思議ではないか。どことなく高貴な気品が感じられる。ちなみにこの女王頭は潮風の浸食により年々小さくなっているという。何年かしたら、面影も無くなっているかもしれない。自然が作り出した、はかない芸術品である。

 
女王頭(Queen’s Head)


 地図を見ると、女王頭は、まだ特定区の中間点にも達していないが、その先はあまり人影が見えない。観光客は女王頭周辺で満足しているようである。この先にはあまり見所がないのだろうか。折角来たのだから、もう少し歩いてみよう、と思った。つまらないようだったら、戻ればよいではないか。そう思いながら歩き続けて何分か経過したところ、下のような光景が目に入った。
 
荒涼とした風景
 
 この時点で、僕の征服欲に火が点いた。若干薄暗くなってはきていたが、何としてもこの野柳風景特定区の先端まで行きたい、そう思った。戻って基隆市街を観光するという案は、この時点で諦めた。ご覧になれば分かるとおり、ほとんど人影はない。それでも行く、と僕は決心した。我は行く。蒼白き頬のままで。我も行く。心の命ずるままに。

 女王頭から20〜30分かけて、ついに先端に達した。後ろを振り返った写真が、これだ。ご覧の通り、誰もいない。周囲を見まわしても、誰もいない。台湾の観光地で日本人が一人だけ。僕は孤独に達成感に浸り、ガッツポーズを取った。

野柳風景特定区の先端から振り返った写真



 

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