このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください


台湾−20 碧潭編




 猫空から一時間以上歩いて政治大学でバスに乗ったところ、最寄りのMRT駅行きのバスに乗ったはずにもかかわらず、ものすごく遠回りすることが発覚した。旅にありがちなトラブルである。バスの中の路線図をチェックしたところ、木柵線に戻るはずだったのだが、新店線の方面に行くことが分かったので、とりあえず新店線の萬隆駅でバスを下りてみた。
 
 駅構内で新店線周辺の観光スポットがないか探してみたところ、地球の歩き方に碧潭という場所が小さく紹介されていた。地球の歩き方では、青緑色の水面にボートが何艘か浮かび、「碧潭ではゆったりと時が流れる」と紹介されている。
 僕は正直言って、疲れていた。毎日仕事に追われ、せっかく台北に着ても2泊3日。前日は早起きして成田空港に向かい、ホテルから忠烈祠まで歩き、西門町周辺を歩いた。この日は木柵指南宮を歩き、猫空から政治大学まで歩いた、翌日には日本に帰り、翌々日には会社に行かねばならない。ゆったりと時が流れるような場所で少し休んでみよう、そう思った。静謐な場所で自分を見つめ直すのも、たまには必要だ。
 新店線の萬隆駅から終点の新店駅までは地下鉄で5駅である。新店駅で周辺地図を見たところ、碧潭は駅から歩いてすぐのようだ。橋に向かって歩いていくと、屋台が並んでいる。台湾の屋台はいつ見ても活気があるなぁ、などと考えながら数分歩くと、碧潭橋の表示が見えた。この橋の先が、静寂に包まれているに違いない。
 橋を渡って、見えた風景がこれだ。

碧潭に浮かぶボート見にくいが、中央の岩に碧潭と書いてある。
 
 水面にはおびただしいほどのボートが浮かんでいた。両川岸には屋台がずらっと並んでいる。碧潭橋の上は人であふれかえっている。いったいどこに静かな場所が有るというのだろうか。ゆったりと時間が流れているようにはとても見えない。下の写真を撮るにも、人の流れが途切れるのを待って橋の中心に立つのに数分を要した。

碧潭橋上下から撮った碧潭橋
 
 静謐な場所で自分を見つめなおすのはさっさと諦め、暑い中を歩いて喉が乾いていたので、屋台で缶ビールを買って川岸で飲んだ。
 それ以来、自分の人生を見つめ直す気も起きない。


 

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