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11. ゲゲゲの鬼太郎(その3)  



 「ゲゲゲの鬼太郎」の中で一番の脇役と言えば、やはり
ねずみ男であろう。お金が好きで調子のよいねずみ男だが、怪奇大学不潔学科卒業と言うからエリートである。「おばけにゃ学校も試験も何にもない」はずなのだが、堂々と大学卒業を名乗るところがねずみ男らしい。


握手を求めるねずみ男
水木しげるロード
鳥取県境港市
境線境港駅 徒歩20分

 上の写真のようににこやかな笑顔でねずみ男に握手を求められたら、思わず手を差し出してしまうのではないだろうか。その時点で、あなたはねずみ男の術中にはまっている。彼はあなたに甘い言葉をささやくであろう。あなたは彼を信じて、何か頼み事をしてしまうかもしれない。そうすると、彼は前金を要求する。あなたはつい払ってしまう。
 
 その結果が下の写真だ。

お休み中のねずみ男



 さて、水木しげる記念館及び水木しげるロードの取材が終わった後のこと。僕は次の目的地である備中松山城に向かうため、境港駅に戻った。前々ページでご紹介した 鬼太郎電車 の撮影をしていたところ、ある男が車両の中から出てきた。どうやら電車通勤しているようである。
 その男は異常に背が高かった。よく見ると、頭部が肥大しているようだ。通常の人間とは明らかにプロポーションが違っている。
 彼を見つけた人々が歓声を上げた。境港駅は小さな駅なので、プラットホームが外からもよく見えるのだ。ファンを大切にする彼は駅の外の人々に愛想よく手を振り、駅のフェンスの向こうに瞬く間に人々が群がった。人々はデジカメや携帯で彼を撮影している。そのとき、彼は境港駅周辺の人々の視線を一身に集めていた。

 熱いファンの声援にひとしきり応えた後で、彼は改札を抜けるために僕の立っているほうに向かって歩いてきた。ホームにいる人が、彼の写真を撮るために集まってくる。
 電車の発車時刻まではあと3分もなく、この電車に乗れなければホームで一時間以上待つことになり、備中松山城に間に合わなくなるかもしれない。それでも、僕はこの男の写真を撮りたかった。テレビで見た彼が、目の前に立っている。写真を撮らずに立ち去ることはどうしても出来なかった。
 僕は、この男の写真を撮っている女子大生の後ろに並んだ。スターである彼は、ホームに並んでいる我々にも笑顔を向けてくれる。スターらしくポーズまで取ってくれている。女子大生がどいた後、僕は万感の思いを込めて、シャッターを切った。


 その男の写真が、これだ。



小首を傾げたねずみ男



 

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