このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

13. ゲゲゲの鬼太郎(その5)  



 このページでは、それ以外の銅像をご紹介したい。


< ぬりかべ・一反木綿 >
 
ぬりかべ・一反木綿ともにかなり図体の大きい妖怪であるはずなのだが、銅像はかなり小さい。コスト面でやむを得なかったものと推察される。ちなみに反は布類の長さの単位である。一反は、鯨尺(鯨のひげで作られた和裁用の物差し)で幅九寸(約34センチ)、長さ二丈六尺からニ丈八尺(約10メートル)であり、一人分の衣服に要する長さである。一反木綿の実物大銅像を作ると、日本有数の大きさになってしまう。

ぬりかべ・一反木綿
水木しげるロード
鳥取県境港市
境線境港駅 徒歩5分


< 京極夏彦の世界 >
 妖怪小説といえば京極夏彦である。彼の京極堂シリーズは妖怪ミステリーという新たなジャンルであり、映像化は不可能に近いと思われる。
 さて、京極夏彦の小説に登場する妖怪を水木しげるロードで2体発見した。僕が気付いたのはこれだけだが、何か見落としがあったかもしれない。姑獲鳥や魍魎がいないのは確かである。がしゃどくろを撮影して、「狂骨の夢」として掲載すればよかったと若干後悔している。
 水木しげると京極夏彦は親交があり、日本妖怪会議等にパネリストして二人で出席したりしているようだ。京極夏彦が「ゲゲゲの鬼太郎」に大きな影響を受けたであろうことは想像に難くない。京極夏彦の髪型は鬼太郎を意識していると思うのだが、いかがだろうか。

鉄鼠
「鉄鼠の檻」
京極堂シリーズ
泥田坊
「今昔続百鬼—雲」
多々良先生行状記


< 都市伝説のヒロイン >
 1970年代末の日本で、ある女性に関する都市伝説が流布した。当時小学生だった僕も彼女の存在を信じ、夕暮れ時は急ぎ足で歩いた。
 彼女は社会現象となった。いかにも現実に存在しそうなキャラクターだったのだ。人面犬などは記憶している人も少ないと思うが、現在30歳以上の方は彼女のことを明確に記憶しているはずである。彼女に関してはいろいろな噂が流れた。
① 整形手術の失敗が原因である。
② ポマードが苦手である。
③ ある小学校の校長が、「日が暮れるまで遊んでいると彼女に襲われるかもしれないので、早く帰りましょう。」と朝会で生徒に話したため、PTAが文句を言って大問題になった結果、校長が辞職した。

 夕暮れ時に、子供達が学校や遊びから家に帰る途中に、道端に立っている女性に声を掛けられる。その女性はコートを着込み、髪が長く、色白だ。一見すると美人のようだが、マスクをしているので表情は分からない。
 彼女は、こう話しかける。

「ねぇ、わたしキレイ?」
「うん、キレイ。」

 そう子供達が答えると、その女性はマスクを取る。子供達は驚愕する。その女性の口の端は頬を通りすぎて目の下にまで到達しているのだ。通常の人の3倍はある口の大きさだ。その口で彼女はこう叫ぶ。

「これでもキレイか!!」

 子供達は慌てて走り出すが、とても逃げ切れない。彼女は俊足なのだ。100メートルを3秒で走ると言う説もあれば、6秒で走ると言う説もある。必死に逃げる子供をやすやすと捕まえると、手に持っていた斧で子供の頬を切り裂き、自分と同じ口の大きさにしたという。
 「キレイ」と返事をした子供には上記のように襲いかかるが、「ブス」などと言ってキレイさを否定すると問答無用で頬を切り裂くと言うから始末が悪い。それでは、彼女にはどのように対応すればよいのか。「まあまあ」や「ほどほど」といった曖昧な表現をすればよいという説もある。「今でも十分にお美しいのですが、ちょっとメイクを変えればより一層おキレイになりますよ。今ならこの化粧品セットを特別価格でご提供致しますが、いかがでしょうか。」などとセールスをしてみるというのはいかがだろうか。

 彼女の名は、口裂け女

  僕は、彼女のことをいわゆる都市伝説の一つだと考えていた。確かにブームにはなったものの、所詮は一過性のものにすぎないと。そのため、水木しげるロードで彼女を見付けた時は驚いた。水木しげる先生は彼女のことを現代の妖怪として正式に採用することにしたに違いない。これで彼女はれっきとした正統性のある妖怪である。この像がある限り、彼女が忘れ去られることはない。

口裂け女
右手に持っているのはマスクである。


< 水木しげる先生 >
 水木しげる先生の銅像が、境港市の正福寺にある。これは水木しげる記念館から徒歩20分ほどの距離である。
 現在日経に連載中の「私の履歴書」も読み応えありだ。健康に留意して、これからも頑張ってください。

水木しげる像
鳥取県境港市 正福寺
境線境港駅 徒歩30分
上道駅の方が近い。



 今回の境港取材は期待以上の面白さであった。惜しむらくは、午前中に行ってしまったことだ。真夏の夜の丑三つ時、人気のない水木しげるロードを歩いてみるのも面白いかもしれない。きっと誰かに出会えるはずだ。


 

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください