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1−2. 親知らず抜歯(右上)編

 2001年8月17日。ついにその日がやってきた。
 前回の苦痛があまりにも大きかったため、抜かずに残っていた親知らずから目を背けてきたのだが、ついに痛み出したのだ。前回抜いたのは右下の親知らずだったため、右上の親知らずは噛み合わせる歯が無いために長く伸びてしまい、口の中を噛んでしまう。今まで軽い痛みはあったのだが、今回はついに左側も痛みを感じるようになった。意を決して、昼休みを利用して数年振りに歯医者を訪れたのである。
 今日は女医さんが担当してくれた。
 「虎羽さん、随分前にいらしていただいたみたいですね。年1回くらいは来なきゃだめですよ。」
 「すいません。」
最初からいきなり注意されてしまい、気の弱い僕はすっかり萎縮してしまった。
 「きょうはどうなさいました?」
 「親知らずが伸びて口の中を噛んでしまうので、親知らずを削ってください。」
 「じゃあ、見てみましょう。うーん、これは削るよりも抜いたほうがいいわね。
歯を削りに来ただけなのに、いきなり抜かれてしまうのか?事態の展開の早さに僕は付いていけなかった。
 「え、抜くんですか?」
 「そう、虎羽さんの上の親知らずは、右左両方とも外に向かって生えているの。確かに前は削ったみたいだけど、これ以上削ると象牙質も削らなきゃいけないので沁みますよ。それに虫歯になりかけているし。」
 そこまで言われて、僕も覚悟を決めた。俺も男だ。
 「わかりました。じゃあ抜いてください。」

 「右と左、どちらにします?」

 
どちらの歯を抜くか、患者に決めろと言うのか?症状の重いほうを先にしたほうがいい、などの判断は無いのだろうか?抜かれる歯を自分で決めねばならないという自分に課せられた運命を呪った。
 「それじゃあ、右のほうをお願いします。」
 「はい、右のほうね。」
 その後は見事な流れ作業であった。麻酔→レントゲン→抜歯という工程が滞り無く進められた。右上の歯は幸いにして抜きやすいとのことで、ハンマーで粉砕することもなく、ペンチであっさりと抜かれた。麻酔のときにチクッとした程度で、涙が出るような痛みも無く、抜歯は終わった。
 ここで、一つ誤算があった。
 「はい、お疲れ様でした。じゃあ、明日消毒しましょう。5分くらいで終わりますから、何時でもいいですよ。昼休みは1時30分から2時30分までです。」
 「明日は土曜日なんで会社が休みなんですが・・・」
 
「まあ、我慢できたら来週月曜日でもいいですよ。」
 「明日2時30分からお願いします。」
 明日、僕は1時間以上かけて仕事も無いのに会社のそばまで行き、消毒してまいります。レントゲンを見ながら、左側の上下の親知らずを抜く相談をする予定だ。左上はやや外に向かっているだけだが、左下の親知らずは見事に横に生えている。今回も粉砕するのだろうか。このページ上で、ドキュメンタリータッチで報告するような事態はなんとしても避けたいところだ。


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