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1−4. 親知らず抜歯(左下)編 その2

 左下の親知らずを一本抜くのに2時間45分もかかった割には、翌日の腫れはたいしたことなかった。あまりにも見事に腫れ上がっていたら、デジカメで自分の顔を撮影して写真を掲載しようと思っていただけに残念である。抗生物質と痛み止めを飲み、イソジンでうがいをし、コンビニで鮭ぞうすいを買った。3日ほどで痛み止めは不要になった。順調に回復しているようにみえた。

 抜いてから1ヶ月ほど経過した11月中旬のこと。左下の歯茎に違和感を感じるようになった。歯茎から突起が出ており、舌に当たる。放っておいても治るはずはなく、2001年11月29日(木)、僕は歯医者に向かった。もともとその日は残っている左上の一本を抜くはずであった。椅子に座り、突起物が出来て歯茎が腫れていることを説明した。

「うーん、これはコツですね。」
「コツ?」
「つまりホネです。」

 それなら最初から骨と言ってくれればよいものを。なぜ音読みする必要があるのだろうか。説明によれば、歯を抜いた後の骨というものは、普通内側のほうに倒れるのだが、僕の場合は外のほうに倒れてしまったために歯茎に突起として出てきたのだそうだ。

「それじゃ、今日は歯茎を切り開いて、骨をヤスリでけずり、最後に縫いますからね。」

 このテクノロジーの進んだ21世紀において、骨を削るのはヤスリ。なぜ歯の治療はハンマーやヤスリなど、職人技に頼るような器具が多いのだろうか。そんなことを考えているうちに麻酔を打たれ、歯茎を切開された。
 そのとき、女医さんが助手(推定するに看護学校卒業20台前半)に言った。
「ヤスリを取って。」
「はい。」と言ってヤスリを手渡す助手。
「違う。もっと細かい目の。」
「これですか?」
「違う!」
 僕は口を開けたままの馬鹿面で待っていたのだが、助手はどこかに取りに行ったまま、しばらく戻ってこなかった。普通麻酔を打つ前に準備しておくべきではないだろうか。
 あたふたと助手が戻ってきてヤスリを手渡す。ヤスリで削る作業は案外とあっさり終わり、その後の縫合も早かった。次回は抜糸となり、左上の抜歯は当分延長となった。



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