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17. 恐怖の鉄道(戦慄の予土線)
先日の恐怖体験を皆様にお伝えしたい。
2001年12月23日(土)、僕は予土線という鉄道に乗った。名前が示すとおり、伊予から土佐までの路線である。窪川駅(高知県)から宇和島駅(愛媛県)まで、全長77.8営業キロだ。ここで、2001年12月現在の時刻表を確認しておきたい。
窪川 → 宇和島 宇和島 → 窪川 6:28 → 8:30 6:20 → 8:36 10:03 → 12:05 9:29 → 11:35 13:23 → 15:18 11:28 → 13:43 14:37 → 16:34 15:21 → 17:26 16:23 → 18:40 16:55 → 19:08 17:51 → 19:51 18:02 → 20:17 19:48 → 21:50 −
1日に7本しかないというローカル線である。まだ電化されておらず、ディーゼル車だ。最後の清流と呼ばれる四万十川沿いにのんびりと進むのどかな路線だ。なぜ、それが戦慄の予土線なのか。
12月23日、高知を見学してから列車に乗り、窪川に着いたのが13時53分。駅前の小さな食堂で親子丼を食べた。列車の出発時間は14時37分なので、あまり時間がない。窪川駅のトイレに入ったところ、「これは何かのペナルティか?」と感じさせる惨めなトイレだった。大の方も気になったものの、とりあえず小の方だけ済まして列車に乗った。いざとなれば、列車の中のトイレに入ろう。
列車に乗った途端、僕の背中を戦慄が駆け抜けた。1両編成の予土線にはトイレが無かった。そんな馬鹿な!でも、ペナルティトイレに戻る時間は無かった。この列車を逃したら窪川駅で2時間待ちだ。ピンチになったら途中の駅で下りよう。僕が腹具合を気にしている間に、列車は動き出した。
ローカル線では、無人駅がほとんどである。そのような駅はトイレが設置されていないことが多い。僕は有人駅を確認しようと思い、時刻表を開いた。そのとき、僕の背中を再び戦慄が駆け抜けた。予土線は全部無人駅だった。そんな馬鹿な!!緊張で脂汗が出てきた。この先2時間、もつだろうか?
予土線は窪川から宇和島まで2時間かかる。その間、列車の中にトイレが無い。我慢できずに下りてしまったら、次の列車まで2時間待ちだ。下りるとしても、トイレの有りそうな有人駅も無い。トイレに行きたい人間にとっては、まさに拷問である。
僕が乗ったのは日中だったので、まだマシと言える。これが終電だったらどうだろうか。我慢できずに下りてしまったら、誰もいない無人駅だ。タクシーが無いどころか、周囲に民家も無い。この季節では凍死の危険性すらある。あなたは「人間としての尊厳」と「凍死」のどちらを選びますか?乗り込む人間にこれだけの覚悟を迫る列車、それが予土線だ。
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