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. カツラボクサー(その3)


 4月24日、後楽園ホール。小口の入場に観衆がどよめく。カツラはスポンサーが作成した20万円の特注品である。小口が自らヘアカタログで選んだという。


 「京本政樹風」のカツラをかぶった小口は、そのままリングに颯爽と上がってポーズをとり、観客の拍手を浴びる。


 カツラを脱ぎ捨てて、ポーズを取る。


 そして、カツラを客席に向かって投げる。まさに一分の隙も無い、完璧なパフォーマンス。ゴング前だというのに会場の興奮は最高潮だ。
 ちなみにこのカツラは関係者が回収したという。


 ゴングが鳴ると、リベンジに燃える柴田が攻め込んでくるが、小口は軽快にかわして右カウンターでいきなりダウンを奪う。


 偶然のバッティングも有ったが、終始優位に試合をリードした小口が、5回19秒に負傷判定勝ちを収めた。


 試合後の勝利者インタビューの小口は、実に嬉しそうだ。「カツラをつけて合コンでも行ってみますか。」と軽口を飛ばしている。今までは坊主頭で合コンに臨んでいたのだろうか。



  

カツラボクサー キラリ!判定勝ち
2006年4月25日(火) 6時4分 スポーツニッポン

 カツラボクサーが輝いた。24日、東京・後楽園ホールで行われたスーパーフェザー級8回戦に、昨年12月の試合でカツラがずれて人気者となった小口雅之(28=草加有沢)が登場。柴田大地(31=ファイティング原田)との再戦に臨んだ。1回、右カウンターでダウンを奪うなど終始、攻勢。偶然のバッティングで負った柴田の右目尻からの出血が激しく、結局5回19秒に3—0の負傷判定勝ちで返り討ちにした。小口の通算戦績は10勝3KO4敗2分け。

 度肝を抜いた。本来は丸刈りの小口が黒々とした頭髪で入場。リング上では豪快に京本政樹風のカツラを脱ぎ捨て、客席に投げ込んだ。「脱いだ瞬間、いつもの自分に戻った。喜んでもらえたらうれしい」。テレビカメラは10台。スポンサーについた育毛剤のメーカーのモニターを務め、トランクスにロゴが入った。異例の注目度だった。

 試合でも輝いた。1回に右カウンターでダウンを奪い、その後も攻め続けた。5回負傷判定に「完全に倒したかった」と悔しがったが、会場は大いに盛り上がった。

 きっかけはほんの遊び心だった。「いつも丸刈りなんで、格好つけたかった」と昨年12月のプロ15戦目で初めてカツラを着用。だが、パンチでカツラが浮き上がった。上半身にグローブ以外の着用が許されないルールは知らなかった。試合に支障はないと不問だったが厳重注意を受けた。

 ただ、思わぬ関心を集めた。妹の撮影していた試合のビデオがテレビのワイドショーで取り上げられて大反響を呼んだ。大阪のテレビ局にゲストとして招かれもした。だが、その一方でボクサーであることを内証にしていた勤務先にばれ、クビになる悲哀も味わった。

 今回の再戦は「カツラのせいで試合に集中できなかった」という柴田の抗議で実現した。決着をつけ、メーカーからプレゼントされた20万円相当のカツラも、ちゃっかり関係者が回収した。「今度、合コンに着けて行ってみようと思う」。ボクシング界に、底抜けに明るい異色のヒーローが誕生した。

 ▽前回のVTR 昨年12月13日、後楽園ホールで行われたスーパーフェザー級8回戦で、小口と柴田が対戦。3回、柴田の激しいパンチに突然、小口の頭髪が右側頭部から浮き上がった。会場が騒然とする中、4回に入ると、浮き上がる回数が増えたため、ラウンド終了後のインターバル中に、セコンドが小口のカツラをむしり取った。そのまま試合は続行され、連打で7回1分34秒TKO勝ちを収めた。

[ 4月25日 6時4分 更新 ]


小口石頭でガツッ 負傷判定勝ち ヅラとっても強い
2006年4月25日(火) 8時0分 スポーツ報知

 ◆プロボクシング(24日、後楽園ホール) 昨年12月の試合中にかつらが外れる前代未聞の珍事を起こした“かつらボクサー”小口雅之(28)=草加有沢=が、柴田大地(31)=F原田=との再戦で5回19秒、負傷判定で勝利した。選手コールでかつらを脱ぎ捨て、試合だけでなくパフォーマンスでも観衆を魅了。民放全局が取材に訪れるなど、ボクシング界に異質なスターが出現した。

 予告通り、小口はかつらをかぶって入場。まるで京本政樹を思わせるフサフサのヅラでリングイン。リングアナからコールされると両手でかつらを脱ぎ捨てた。大胆なパフォーマンスに場内は爆笑の渦に包まれた。

 かつらはスポンサーが20万円で作製した特注品。髪形はヘアカタログ雑誌から選んだ。脱ぎ捨てたかつらを客席に投げ込んだが「プレゼントはできません」と回収。せこい行動も魅力のうち。光り輝く頭部があらわになると、一気に戦闘態勢を整えた。

 1回には右カウンターでいきなりダウンを奪う。3回にはかつらを捨てた頭が凶器になり、バッティングで柴田の右目上を流血に追い込んだ。5回にドクターが試合をストップ。因縁の再戦をトレードマークの頭で負傷判定を呼び込み、柴田を返り討ちにした。

 すべては昨年12月13日、後楽園で始まった。柴田との試合でかぶったかつらが途中で外れ、試合は勝ったがJBCからは厳重注意の処分を科せられた。ところが、テレビのワイドショーが飛びついた。洪水のように画面に登場し「かつらボクサー」の名前は日本全国に広がった。

 今回の再戦はかつらに惑わされ「本来の力を発揮できなかった」とする柴田側からの要望で実現。注目の再戦に民放全局、テレビカメラ10台が押しかけた。試合後は控室とは別スペースで囲みインタビューを受ける人気ぶりに「今度はアフロをかぶりたい。かつらをかぶって合コンにも行きたい」とノリノリだ。

 次は10月4日を予定。育毛剤とかつらメーカーがスポンサーに付き、まさにかつら様々だが「もっと毛がほしいですよ。タイトルもほしいですし次はもっとすっきりKOします」。夢は増毛と日本タイトル奪取。目標達成へ頭と拳を磨き続ける。

 ◆小口 雅之(こぐち・まさゆき)1977年8月27日、栃木県上三川町生まれ。28歳。作新学院1年から地元のジムに通いボクシングを始める。99年に草加有沢ジムに入門し00年10月にプロデビュー。階級はスーパーフェザー級(58・9キロ以下)。戦績は10勝3KO4敗2分け。身長172センチの右ボクサーファイター。

[ 4月25日 8時0分 更新 ]



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