このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

12. 19XX  


 今から10年ほど前、フジテレビの深夜番組が人気を集めた時代があった。

「やっぱり猫がすき」もたいまさこ、室井滋、小林聡美の芸達者3人が繰り広げるトークバラエティ。本当に台本があるのか?というくらい会話が自然だった。
「奇妙な出来事」斉木しげるがやっていたときの方が緊迫感があって面白かった。
「カノッサの屈辱」日本史、世界史になぞらえて物事の歴史を紹介。教授役の仲谷昇も味が出ていた。放送終了後に本としてまとめられたのだが、僕は迷わず購入した。
「夢で逢えたら」ウッチャンナンチャン、ダウンタウン、野沢直子、清水ミチコのショートコントを中心としたバラエティ。野沢直子はまだアメリカで暮らしているのだろうか。
「カルトQ」うじきつよしと中村江里子が司会していた、その道のマニアが出場していた番組。中村アナは当時地味だったような気がする。今のようなキャラクターになった転機は何だったのだろうか。

 
  そんな中、僕が一番好きで毎週欠かさずに見ていたのが「19XX」だ。確か半年間しか放送されず、ゴールデンタイムに進出することも無かったのでご記憶されている方はそれほど多くないかもしれない。
  この番組の面白さは、ある年に流行った歌を、その当時の映像で放送したことに尽きる。司会もなく、ゲストもいない。ただ淡々と映像が流れつづけるという番組形式が新鮮だった。たとえば1970年特集の日であれば、70年に流行った歌だけを70年当時の映像で紹介したのである。当時の歌手のファッションと言うのも見応えがあった。秀逸だったのは、基本的には歌手の映像が続く中で、毎週必ず1曲か2曲の時に当時の世相の映像が流れたのである。この年にはこんな事件があったのか、という現代史の知識整理にも役立った。
  人には誰も、思い出の歌がある。ある歌を聴くと、そのときの思い出が、記憶が、感覚が鮮明に甦える。僕の場合、サザンの「みんなのうた」を聞くと高校3年(1988年)の体育祭の、チューブの「サマードリーム」を聞くと高校2年(1987年)の文化祭の記憶が自動的に再生される。もちろん大学の時の思い出の歌、中学校の時の思い出の歌もそれぞれ有る。ところが、なぜか会社に入ると同時に歌との縁は切れてしまった。カラオケ恐怖症のトラウマなのかもしれないが、そもそも音楽に対する興味が全く無くなった。今となっては発売と同時に買うのはサザンだけになってしまったが、はたして次の思い出の歌は何だろうか。

    
   

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