このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください


2. 欽ちゃんのどこまでやるの
  僕が生まれて初めて観たテレビ収録が「欽どこ」である。「村の時間」のコーナーの収録が僕の実家から自転車で30分の伊勢原市で行われていた。父の会社の同僚がすぐそばに住んでおり、前日にご連絡をいただいた。僕は葛藤した。当時の僕は中学校一年生であり、部活を簡単にサボることはできない。しかもテレビ番組の収録を観に行ったのがばれたら、きついしごきが待っているのは明白である。しかし、斎藤清六を見る機会は二度と訪れないかもしれない。同じバレー部の友達と相談したが、千載一遇のチャンスを逃すわけには行かない、ということで意見が一致した。二人で別々に顧問とキャプテンに急病を告げた。

  土曜日の午後、僕達二人は自転車で伊勢原市に向かった。斎藤清六に会えるということで、胸はときめいた。当時、斎藤清六は「村の時間の時間です。あぜ道カットでございます。」、「バイナラ、ラナイバ」というギャグが結構受けていた。欽ちゃんが好んで起用するヘタウマ俳優といえよう。父の同僚のお宅に自転車を停めさせていただき、収録場所に着いてみると、意外に閑散としていた。黒山の人だかりを予想していた僕達はやや拍子抜けした。伊勢原市民は斎藤清六に飽きてしまったのか。
  撮影を見て驚いた。そこには斎藤清六ではなく、わらべの倉沢淳美がいた。名前は忘れたが、彼氏役の俳優もいた。(誰か覚えていたら教えてください。)その日はオープニングシーンの収録が行われていた。生まれて初めて観るアイドルに見とれた。テレビでしか見たことの無いアイドルがすぐそこにいる。観客に中学生が僕達二人しかいなかったためか、収録の合間に話し掛けてくれた。なんとやさしいアイドルだろうか。僕達はサインを貰い、一緒に写真を撮った。握手までしてもらった。まさに夢見心地であった。僕はいままで2枚しか直筆サインを貰ったことが無い。このときの倉沢淳美と彼氏役である。その後、倉沢淳美はソロで「プロフィール」というシングルを発売した。もちろん購入した。青春の1ページである。

これが青春の1ページだ。




  
   

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください