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33. 郷ひろみが日本経済に与える影響に関する考察 



 平成16年12月30日は東京証券取引所の大納会であった。終値は11,488.76円。前年の10,676.64円から812.12円(約7%)のアップである。
 日本経済は一時の不況から脱したかに見える。アテネ五輪でデジタル家電の販売が伸びた。自動車も三菱以外は好調である。僕の属する業界も中国特需で利益が大幅に伸びた。

 確かにこれらが理由であることは間違いない。しかし、経済評論家は大事なことを見逃している。

 今年は、郷ひろみが芸能活動を行わなかったからである。

 これは僕が発見したわけではなく、以前にテレビで誰かが話していたもののパクリである。では、下の表で実際に検証してみよう。

西暦郷ひろみ日本経済
紅白歌合戦
出来事
出来事日経平均終値
728月「男の子女の子」でデビュー
レコード大賞最優秀新人賞獲得
紅白出場せず
田中内閣「列島改造」
沖縄返還
5,207.94
73「男の子女の子」で紅白初出場オイルショック
変動相場制に移行
米軍ベトナム撤退
4,306.80
74「花とみつばち」
「よろしく哀愁」が初のオリコン1位
三木内閣3,817.22
75「花のように鳥のように」サイゴン陥落4,358.60
76「あなたがいたから僕もいた」
日本レコード大賞大衆賞受賞
福田内閣
ロッキード事件
4,990.85
77「悲しきメモリー」4,865.60
78「バイブレーション」大平内閣
成田空港開港
6,001.85
79「マイ・レディー」
「キンチョール」CM出演
ソ連のアフガニスタン侵攻
イラン革命
6,569.47
80「How Many いい顔」鈴木内閣
モスクワ五輪ボイコット
7,116.38
81「お嫁サンバ」7,681.84
82「哀愁のカサブランカ」中曽根内閣
東北・上越新幹線開通
フォークランド戦争
8,016.67
83「素敵にシンデレラ・コンプレックス」9,893.82
84「2億4千万の瞳」11,543.60
85「Cool」NTT・JT民営化
プラザ合意
13,113.32
8618,701.30
87二谷友里恵と結婚。竹下内閣
JR民営化
21,564.30
8830,159.00
89昭和から平成へ
宇野・海部内閣
消費税導入
冷戦終結
ベルリンの壁崩壊
天安門事件
38,915.87
90「Wブッキング」イラクのクウェート侵攻23,848.71
91宮沢内閣
湾岸戦争
ソ連解体
東京都庁の移転
22,983.77
9216,924.95
93細川内閣
EU発足
17,417.24
94「言えないよ」羽田・村山内閣
関西国際空港開港
19,723.06
95「逢いたくてしかたない」阪神淡路大震災
オウム事件
19,868.15
96「2億4千万の瞳〜エキゾチック・ジャパン」橋本内閣
O−157事件
19,361.35
97「お嫁サンバ’97」香港が中国に返還
消費税5%
アジア通貨危機
山一・拓銀経営破綻
15,258.74
98「セクシー・ユー」
離婚。「ダディ」発売。
小渕内閣
長銀国有化
毒入りカレー事件
13,842.17
99「GOLDFINGER’99」東海村放射能漏れ事件18,934.34
00「なかったコトにして」森内閣13,785.69
01「この世界のどこかに」小泉内閣
同時多発テロ
10,542.62
02北朝鮮拉致被害者帰国
日韓ワールドカップ
みずほ銀行システム混乱
8,578.95
03イラク戦争10,676.64
04新潟中越地震
UFJと東京三菱統合
11,488.76

 まず、初の紅白歌合戦というめでたい年に、オイルショックという歴史に残る大事件が発生している。日経平均株価は73年、74年と大幅に前年を下回っており、72年の水準に回復するのは75年から78年まで4年もかかっていることから、日本経済に与えた打撃の大きさが分かる。この時期の郷ひろみはアイドルである。
 79年から85年にかけて日本経済は順調に拡大し、85年には78年の倍の株価になっていることが分かる。その間、郷ひろみも確実にヒットを飛ばしているが、曲調は変わっている。既にアイドルを脱皮し、スターと言ってもよかろう。
 
 1985年のプラザ合意に基き、日本は低金利となり、運用先を求めたマネーは株式と土地に向かう。バブル経済の到来である。地上げ屋などという言葉が流行ったのはこの頃である。僕はこの頃高校生から大学生にかけての時期だったため、好景気という記憶は無いが、上司によれば、何もせずに物が売れたという。日本が未曾有の好景気に沸いていたこの頃、郷ひろみは休んでいた。結婚してニューヨークに住んでいたのだ。紅白歌合戦は90年の1回しか出場していない。

 日銀が金融引締めで金利を上げると、バブル経済は崩壊する。僕が就職活動を行ったのは92年だが、そのときには既に「バブル崩壊」と言われていた。しかし、郷ひろみはなかなか姿を現さない。94年から本格的に復活である。

 94年から96年はバブルの後遺症に苦しみながらも持ちこたえていた日本経済だったが、97年の消費税アップ、いわゆる「橋龍不況」が始まる。さらにアジア通貨危機も日本を襲う。北海道拓殖銀行や山一証券の経営破綻など日本経済がどん底に落ち込んでいた頃、郷ひろみは離婚と「ダディ」の発売で話題を提供した。そして、99年に景気がよくなるような歌を歌う。「GOLDFINGER’99」である。「♪ア・チ・チ・ア・チ」というあの歌と振付は郷ひろみにしか出来まい。

 その後、郷ひろみは2001年末で活動を休止する。日経平均は2002年から2003年3月にかけて7,000円台まで落ち込んだものの、2003年後半より回復基調にある。

 さて、お分かりいただけるように、郷ひろみが活躍するのは日本経済が落ち込んでいるときである。郷ひろみが休んでいると、日本の景気はよくなる。
 言いかえると、郷ひろみが落ち込んだ日本景気を活気付ける歌を歌ったために、景気が回復したのだ。現在休んでいるのは、「オレがいなくても日本の景気は大丈夫だ。」と思っているに違いない。

 郷ひろみが芸能活動を再開するのは、いつのことだろうか。


 

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