このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

9. アメリカ横断ウルトラクイズ (その5)
  1992年8月9日。3回目の挑戦だ。ウルトラクイズに興味を持ち始めて10年目である。この年は中学校の時の友人であるT君、F君、W君の4人で参加した。みな中学校の時にクラス内で競った友達である。僕が誘ってみたところ、彼らも参加を快諾してくれた。彼らも興奮を実際に味わいたかったに違いない。

  当日は朝7時にドームの前で第一問発表である。このときに現元木大介夫人の大神アナが登場した記憶があるのだが、定かではない。ビデオで確認してもカットされている。それはともかく、女子アナの前説の後がジャストミートの登場だ。ジャストミートが会場を盛り上げた後、第一問が発表された。

「ニューヨークの自由の女神像 STATUE OF LIBERTY がアメリカ合衆国のコインに描かれたのは1986年100周年記念のときが初めてである。」

  我々4人の意見は、案の定割れた。もちろん誰の意見にも根拠など無く、なんとなくという勘に過ぎないが、3人は自己主張が強いキャラクターだった。どちらかというと控えめな僕は意見の調整に手間取ったが、それでもどうにか意見の一致を見て、僕の主張する○の方で決着した。今にして思えば、3年連続で○の三塁側である。
  僕以外の3人は生まれて初めての東京ドームである。「でけえなあ。」などとすっかりお上りさんになってしまっていた。3回目の僕はもうドームのことなら何でも知っているよ、という余裕を見せ、「トイレに行くなら今のうちだ。」などとアドバイスした。最初は余裕だったのだが、だんだん不安が募ってきた。どうみても×の一塁側の方が人数が多いのである。僕も○という意見を主張した手前、なんとなく責任を感じる。別に全員一致団結して行動しようと約束したわけでもないのだが、結果としてそうなってしまった。

  不安を抱きつつ正解発表の時間となった。今年もジャストミートはバックスクリーンに登場し、ホームベースまで全力疾走だ。
「みんな、ニューヨークへ行きたいかああああああああ!!!!!!!!」
「うぉおおおおおおおお!!!!!!!!」
「罰ゲームはこわくないかああああああああ!!!!!!!!」
「うぉおおおおおおおお!!!!!!!!」
「どんなことをしてもニューヨークに行くぞおおおおおおおお!!!!!!!!」
「うぉおおおおおおおお!!!!!!!!」
  ドーム内のボルテージが一気に上がる。今年は4人もいるので、僕の盛り上がりも昨年以上だ。他の3人もお上り状態から興奮状態に移行している。ここで昨年度チャンピオンのクイズ王能勢氏の登場だ。彼は他のクイズ番組でも活躍しているクイズ界の著名人である。当時は多局でも「100万人のクイズ王」(どの局か忘れました)などの大掛かりな番組を放映しており、能勢氏はそちらでも活躍していた。その能勢氏は我々を見捨て、自身満々に一塁側へ走っていった。不安倍増だ。追い討ちをかけるように、年を重ねて12年連続1問目落ちの疫病神が我々三塁側にいることが判明した。さらに不安が募る。
「○の方、自信は有るかああああああああ!!!!!!!!」
「うぉおおおおおおおお!!!!!!!!」
「×の方、自信は有るかああああああああ!!!!!!!!」
「うぉおおおおおおおお!!!!!!!!」
「答えは、これだ!!!!!!!!」
固唾を飲んでオーロラビジョンを見つめる。時間にしてわずか数秒だが、このときほど正解が出るまで長く感じたことはない。祈るような気持ちだ。
正解

 
歓喜が爆発した。そうとしか表現しようがない。4人は立ちあがって抱き合った。その昔、こいつらには負けまいと真剣に勝負した。ラリアットクイズで間違えてラリアットを食らった。優勝してでかい態度をつい取ってしまい、反感を買った。そのようないろいろな想いが一気に込み上げ、目頭が熱くなっていた。

 (続く)


    
   

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