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清 水 谷 峠

清水谷トンネル入口旧清水谷トンネル入口


1 清水谷峠
(今立郡今立町・池田町)

 今立郡今立町と池田町の境にある標高約395mの峠です。現在、今立町西河内から池田町清水谷へ県道武生大野線が越えています。

 古来、池田の谷と府中(武生市)、鯖江を結ぶ重要な道筋の一つで霞越ともいわれました。

 戦後、物資流通量の増大に対応するため、昭和26年(1951)清水谷トンネルの改修工事が始まり、昭和32年(1957)峠の下に総延長857mの清水谷トンネルが完成しました。

 トンネルの標高は東口が275m、西口が255mで、今も池田町と鯖江・武生市を結ぶ幹線道路として利用されています。 峠の地図はこちらです。



2 峠下集落

(1) 西河内
(今立町)

 服部川の最上流域、服部谷の最奥部に位置する集落です。今立郡内にある他の河内村と区別するため、西に位置していたので西河内となりました。

 江戸時代は、服部河内村として越前国今立郡のうちにあり、はじめ福井藩領、

 貞享3年(1686)幕府領、元禄5年(1692)大坂城代土岐頼殷領、正徳2年(1712)から幕府領となりました。

 横住村の枝村で「正保郷帳」では横住村の村高に含まれています。

 「元禄郷帳」では当村など枝村が、それぞれ記されており、村高は141石余とあります。

 明治14年(1881)それまで単に河内村とも称されてきた服部河内村が西河内村に改称されました。明治24年(1891)の戸数33、人口173(男87女86)でした。


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(2) 清水谷(池田町)

 足羽川上流左岸に位置する集落で、地内のあちこちから清水の湧き出る場所があり、

 それが地名になったといわれます。また、この地には殿様清水の名も残っています。

 昔、村の入口の高柳向い平に見張台が設けられ、高柳庄公平という武士が住んでいた屋敷跡あり、付近から五輪墓も出土しているようです。

 江戸時代は清水谷村として越前国今立郡のうちで、はじめ福井藩領、貞享3年(1686)幕府領、

 元禄5年(1692)大坂城代土岐頼殷領、のち幕府領を経て享保5年(1720)から鯖江藩領になりました。

 村高240石余のうち田方167石余、畑方72石余で、元禄年間の村々明細帳では

 家数48、人数234人とありますが、その後、徐々に増加し、文化15年(1818)には家数69、人数304となっています。

 明治22年(1889)上池田村の大字となり、昭和30年(1955)池田村、昭和39年(1964)池田町の大字になりました。



3 清水谷峠の歴史


(1) 清水谷峠の合戦

 この峠は清水坂ともいい、古くから人々に利用されてきた坂峠ですが、史料に出てくるのは朝倉期からです。

 文明3年(1471)9月11日、この峠付近の合戦で栂野和泉守が戦死したとあることです。

 中世、越前守護職斯波家の家臣団として甲斐常治、池田勘解由左衛門、朝倉孝景などの諸将がおりました。

 この三家は、互いに勢力の拡充を図り、他を押さえて斯波家の守護職の代理、守護代を狙っていました。

 この時代、全国的に下剋上が台頭した頃で、お互いに機会を窺っていたわけです。

 その後、朝倉家は、甲斐を加賀へ追い、池田を叩いて守護代の座を占めました。

 次いで斯波氏に代って越前守護職となり、一乗谷に進出して百年の栄華の基を築き上げました。



(2) 越前守護斯波家の家臣、池田勘解由左衛門

 室町時代、今立郡池田庄(池田町)は、越前守護斯波家の家臣で府中(武生市)に在駐していた小守護代の一人、池田勘解由左衛門の本拠地でした。

 文明3年(1471)8月新庄・鯖江合戦に大勝利した朝倉方は、同年9月11日、池田庄清水谷において府中の甲斐常治と結ぶ池田氏と会戦して、これを牽制しました。

 朝倉氏は池田氏を破って以来、この峠下の野尻村付近に見張台を置き、池田氏の動静を監視しました。

 現在、武生市内に「窓安寺」という古刹がありますが、この寺は野尻村から移建した寺と伝えられ、朝倉家の菩提寺でした。

 境内には当時のものという石仏が安置されており、これらの石仏は清水谷合戦で戦死した人達を慰霊するために建立されたと伝えられています。

 文明4年(1472)8月、朝倉氏は府中総攻撃を開始してこれを陥落させ、一帯を平定しました。


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主な参考文献

角川地名大辞典18福井県   角川書店
越前・若狭峠のルーツ    上杉喜寿著
越前朝倉一族       松原信之著




     

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