このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください
昔の温泉
菱野温泉「薬師館」
五色温泉「五色の湯旅館」
に行って、信州秘湯会の秘湯スタンプラリーにチャレンジすることにした。
菱野温泉は小諸市街に入ってから行こうとすると分かりにくいが、上信越自動車道小諸ICを出て、標識通りに左折すると、分かりやすい。
信州秘湯会は「山奥の温泉宿や里のひなびた一軒宿のグループ」のはずだが、菱野温泉には「甚栄閣」、
「常盤館」
、「薬師館」と、3軒の宿がある。
その一番奥が「
薬師館
」(HP)だ。
明治22年撮影の写真があった。古い温泉宿だ。
島崎藤村
の『千曲川のスケッチ』に「菱野の湯」が出てくる。
この山番のある尾の石は、高峰と称える場所の一部とか。尾の石から菱野の湯までは十町ばかりで、毎日入湯に通うことも出来るという。菱野と聞いて、私は以前家へ子守に来ていた娘のことを思出した。あの田舎娘の村は菱野だから。
昭和12年撮影の写真がある。
その頃の建物が、今でも使われているようだ。
薬湯浮島風呂
池に泳ぐ鯉が見える。池の浮島という感じだ。
泉質は弱アルカリ炭酸鉄泉。
冷・温2つの浴槽があって、交互に入ると効果的だそうだが、冷たいのは苦手だ。
展望風呂は単純温泉。
谷間から八ヶ岳が見える。逆光で、うまく写真が撮れなかった。
千曲川文庫⑰『佐久の短歌散歩』によれば、
若山牧水
は明治43年9月初めより、11月半ばまで病気療養のために
小諸町
に滞在して、菱野鉱泉にもしばしば足を運んでいるそうだ。
9月18日、友人に葉書を書いている。
僕は、いま小諸から一里半ほど登ったところ、浅間の山と浅間の裾野と間接する林の中に鉱泉のわく菱野といふところへ独りで来てゐる。
9月18日付佐藤緑葉宛葉書
源泉といっても、泉温は32℃。だから鉱泉と書いている。
停車場で、真黒な汽車が出て行つたあとはバカに淋しかつた。薊かに日の暮れるまでゐて、月が出てから山にかゝつた、山中(?)の湯は黄色な木の葉につゝまれてゐる。
散りのこる櫻もみぢのさびしさか松の木をきる斧のたえ間か
11月7日付山崎斌宛私製絵葉書
牧水は11月13日まで小諸に滞在し、地蔵峠を越えて
鹿沢温泉
へ。
『佐久の短歌散歩』は2,000円。買うには、ちょっと高い。
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